民族時報 第998号(03.02.21)


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    世界600都市で反戦平和デモ

 史上最大規模 各国で同胞も参加 「米国はイラクを攻撃するな」

 ブッシュ米政権のイラク戦争に反対する集会とデモが十五日、韓国や日本をはじめ世界各地で大々的に行われ、六十か国六百の都市で一千数百万人が参加する史上最大規模の「反戦平和」行動となった。韓国では七百余の市民団体がソウルをはじめ各地で集会を準備し、日本やドイツでも多くの同胞がイラク攻撃反対とともに米の対北強硬政策の中断、女子中学生れき殺事件への謝罪を叫んだ。(関連記事は下記)

 ロンドンでは当初の五十万人の予想が二百万人に大幅に増え、マドリード二百万人、バルセロナ百五十万人、ローマ三百万人、ベルリン五十万人、パリ二十五万人などと大規模な参加になった。米国でもニューヨーク五十万人、ロサンゼルス十万人など二百か所以上に広がった。

 韓国ではこの日、ソウル、釜山、大邱、光州、大田、蔚山、原州など各地で、「戦争反対平和実現共同実践」と「米軍装甲車による女子中学生シン・ヒョスン、シム・ミソンさん殺人事件汎国民対策委員会」の共催で「イラク攻撃反対・朝鮮半島の戦争脅威反対、二・一五国際共同反戦平和大行進」が開かれた。

 ソウル大会には国内民衆のほか、中東系の外国人ら三千人が参加した。呉宗烈全国連合常任議長は「老人や子ども、女性に殺人戦を行っている米国は戦争をやめよ」と発言するとともに、「イラクでの戦争、殺りくの暗雲が朝鮮半島に覆って来ている。祖国の未来のためにわれわれすべてが立ち上がろう」と呼びかけた。

 参加者らはデモの後、ブッシュ大統領に女子中学生れき殺事件の謝罪などを求めて光化門までキャンドルデモを行った。

 日本でもこの日、東京都渋谷区の宮下公園で「世界の人々とともに、イラク攻撃を止めよう!ピースアクションイン東京」が行われた。反戦・反基地運動を進める市民団体などが呼びかけ、約五千人が参加した。韓統連、韓青のメンバーも米軍装甲車による女子中学生れき殺事件に抗議するプラカードやパネルなどを掲げて参加した。

 集会後、参加者らは「イラク攻撃反対」「小泉政権は戦争に加担するな」などと叫びながら、繁華街をピースウォークした。イラク攻撃に反対するため、人間の盾になろうと現地入りする「イラク国際市民調査団」のメンバーらも参加し、出発にあたって決意を明らかにした。

 大阪や広島などでも行われ、韓統連や韓青のメンバーらが参加した。

 またベルリンで開かれた集会には、ドイツ居住の韓民族欧州連合のメンバーが農楽隊を先頭に、「駐韓米軍撤収・朝鮮半島平和」「イラク戦争の次は北朝鮮か」などの横幕を掲げて参加した。

論説・秒読み段階に入った米国のイラク戦争

 世界の反対世論もどこ吹く風で、米国のイラク攻撃の準備が進んでいる。最新鋭の戦闘爆撃機を搭載した空母エイブラハム・リンカーンが二月初めにペルシャ湾に到着し、すでに配置についていた二隻の米空母と合流した。湾岸地域に派遣された海兵隊など米軍兵力も日ごとに増強されており、イラク侵攻は秒読み段階に入ったといえるだろう。しかし、国際社会が要求していたイラクに対する武力侵攻の根拠は依然として決定的な確証が示されないまま、米国の一方的な戦争作戦だけが着々と進められているのが実情だ。

十四日に開催された国連安保理では、イラク査察に対する二回目の報告があったが、ハンス・ブリクス査察委員長の報告は「これまでどのような大量破壊武器も見つけることはできなかった」というものであった。とくにイラクは査察によく協力していると付け加えた。そこで国連安保理でもイラクに対する武力侵攻はますます説得力を失っており、常任理事国のうちロシア、中国、フランスが戦争に反対している。非常任理事国のなかでも米国と英国の戦争強行シナリオに賛成している国はスペインだけで、他の国はみな反対の立場だと伝えられている。

いま、なぜイラクを攻撃しようとするのか

 九・一一テロが起こると、米国はフセインとビンラディンの連携説を流し始めたが、米情報機関の必死の捜索と工作にもかかわらず、フセインとビンラディンとの連携証拠は探せなかった。そこで米国はイラクの大量破壊兵器を再び問題にするようになった。昨年初めにイラクを「悪の枢軸」国家の一つに規定して、大量破壊兵器で世界の平和を脅かす政権は打倒するとの意志を世界に誇示した。しかし査察団はイラクで古い化学兵器の弾頭数個を発見しただけで、それもイラン・イラク戦争当時に米国から供給された残がいであることが明らかになった。

いまや米国は査察結果と関係なくフセインを除去すると主張し始めているが、説得力のある論理ではなく、中世のキリスト教の十字軍と似た誤った宗教的信念に取り付かれた感がする。「決定的証拠が戦争を促すが、決定的証拠に欠けてもフセインが査察団に武器を隠していたという意味で、はるかに大きな戦争の理由になる」とのラムズフェルド米国防長官の発言は、米国こそ唯一の「ならず者国家」であることを見せつけてあまりある。

 米国の雑誌「フォーブス」が昨年十月二十八日付で明らかにしたように、ブッシュ政権がフセインを追い出そうとする本当の理由は、イラクに親米政権を樹立して石油の民営化を断行させることであり、その過程で米石油資本の利権を最大限確保することである。

周知のように、ブッシュ政権は石油などエネルギー産業を権力の基盤としている。ブッシュ大統領自身も一時石油産業に従事したことがあり、チェイニー副大統領やライス補佐官は、いまでも石油関連企業と密接な関係を結んでいる。また中東石油に対する依存度がますます高まる米国としては、イラク新政権を通して石油を増産させて価格を下落させ、石油輸出国機構(OPEC)を掌握しなければならない切迫した事情もあることを注視しなければならない。

OPEC会員国は一日二千九百万バーレルの原油生産量を確保しているが、高油価政策を維持するために生産量を二千百万バーレルに抑えている。イラクの原油埋蔵量は世界第二位で、サウジアラビア(二千六百億バーレル)に次いで多い一千二百億バーレル(潜在埋蔵量は二千億バーレルで世界最大)である。湾岸戦争以後、国連の監視と制裁でイラクの一日の生産量は二百万バーレル以下に落ち込んでいるが、フセイン以後に親米政権が樹立されれば八百万バーレルまで生産が可能となる。この場合、現在の一バーレル当たり三十ドル程度の油価が十五ドルに下落する見通しだ。

核兵器の使用も考慮するとは

 ところで、フン英国防長官は「米国と英国は必要な場合、イラクに対して核兵器を使用することができる」との極言をためらはなかった。彼の発言が単なる脅しでないことは、ブッシュ大統領がすでに昨年九月十四日、「米国は敵国の大量破壊兵器の使用に対応して、潜在的に核兵器を含む圧倒的な武力で応ずる権利を持つ」とする「国家安保のための大統領作戦命令」に署名した事実からも確認することができる。存在も立証できないのに、イラクが大量破壊兵器を隠し持っているかもしれないとの理由だけで、もっとも恐るべき大量破壊兵器である核兵器の使用を論じるとは、どうしてこのような言語道断のごり押しが国際政治を支配するようになったのか。

しかし、米国は全世界で上がっている反米、反戦平和の喚声から、これ以上顔を背けてはならない。二月十五日に韓国、日本など北東アジアからはじまり、オーストラリア、インド、欧州を経由して米大陸へとつながった史上最大の反米平和デモが行われた。これでも米国がイラクに侵略戦争を強行するなら、その野蛮な覇権主義は必ず敗北を免れないであろう。(漢拏山記者)


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