民族時報 第849号(98.4.11)


 

 焦点

 

 韓国政府―元慰安婦に生活資金支給へ

 

 元日本軍「慰安婦」問題をめぐって、「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)の支給によって問題を終わらさせようとする日本政府と、それを拒否して公式謝罪と賠償を要求する被害当事者の対立が続くなか、韓国政府が被害当事者に生活安定資金を支給することを決めた。この措置は、日本の「アジア女性基金」支給に対抗して肩代わりする性格を持ち、改めて日本政府による謝罪と賠償の実行を問うものとなった。

 韓国政府は三月二十八日の次官会議で、「慰安婦」被害者百五十五人の生活安定資金として政府一般会計予備費から四十八億八千万ウォンを支給することを決めた。政府資金は被害者一人当たり三千百五十万ウォンであり、これに挺(てい)身隊問題対策協議会(挺対協)など民間団体の募金を合わせて、一人当たり三千八百万ウォン(約三百六十万円)を早ければ四月上旬に支給するというものだ。

 アジア女性基金は、九六年八月から韓国や台湾などの元「慰安婦」約三百人を対象に支給事業を開始したが、国家責任を民間に肩代わりさせるものだとして被害者から反発が続出、これまで受け取った人は今年初めの段階で五十人(基金事務局公表)にとどまっている。韓国では九七年一月に七人が受け取ったものの、その後は現在まで何らの進展もなかった。こうしたなかで高齢の被害者の生活保障が急務となり、さらに日本政府によるアジア女性基金にかわる政府責任による対応を求める意味から、今回の措置が取られた。

 韓国政府は日本政府が将来、政府次元での賠償を行った場合には今回の生活安定資金は国庫に回収し、またアジア女性基金を受け取っている七人についても、それを返還すれば同様の措置を取るとしている。

 今回の措置をよって、「慰安婦」問題など過去の清算問題は「韓日条約によって終わった」として、民間募金を中心としたアジア女性基金を進めてきた日本政府としては、このままでは対処できなくなったことを意味する。昨年十二月には、台湾政府が自国の元「慰安婦」被害者四十二人に対して補償金の立て替え支給(二百万円)を決定している。これらは事実上、日本政府に国家次元での謝罪と賠償を求めたといえるだろう。

 アジア女性基金政策は大きな壁に突き当たったといえる。日本政府は過去を真摯(し)に謝罪し、被害賠償の原点に立ち返ることが求められている。

 ところで、新たに中国東北部に生存している韓半島出身の七人の元日本軍「慰安婦」が確認された。元「慰安婦」らによると、日本軍が管理していた慰安所では、妊娠防止や性病治療の名目で「慰安婦」女性に水銀を含む薬を強制服用させたり、水銀蒸気を身体に浴びせた。この影響で顔が歪(ゆが)むなど水銀中毒で死亡した女性も多かったという。日本軍による蛮行がまた一つ明らかにされ、韓国社会に衝撃を与えている。

 


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