民族時報 第830号(97.9.11)

 

論説

 

日米安保再定義は「北韓侵略」戦争シナリオ

 

 米国と日本の安保協力は、@日米安保条約A防衛計画大綱B日米防衛協力のためのガイドラインC日米共同作戦計画という四つの枠組みからなっている。「日米安保再定義」とは、@はそのままにしてABCを脱冷戦の情勢に見合うように改定する作業である。日米軍事同盟の骨格である日米安保条約(一九六○年調印)は、「ソ連封鎖」という冷戦時代の遺物である。一九九一年に冷戦の片方であったソ連が崩壊して、安保条約などが無意味になったにもかかわらず、日米安保体制を冷戦時代と同じように維持するために、「安保再定義」を行っているのである。冷戦維持のために、日米安保条約には手を付けないまま脱冷戦時代に便乗するために、ABCを修正・再解釈する安保再定義には矛盾がある。

 冷戦と脱冷戦がごちゃまぜになっている安保再定義の目的は、ソ連の代わりに新たな仮想敵国として北韓(戦術的仮想敵国)、中国(戦略的仮想敵国)を想定して、自衛隊の活動半径を日本周辺地域から拡大することにある。日米安保条約第五条の「日本有事」の規定にしたがって、ソ連封鎖に傾注してきた自衛隊が、日米安保条約第六条の「極東有事」規定によって、日本の領土外に進出するという意味である。安保再定義は、「極東有事」よりもさらに広範囲な「周辺有事」に対備するガイドライン見直しで絶頂に至る。

 安保再定義は、@米政府が九五年二月に提示した「東アジア戦略報告」A日本政府がこれに追従して九五年十一月に策定した「新防衛計画大綱」B九六年の日米首脳会談で発表した「日米安保共同宣言」の三段階に分けて進行した。これからもアジア・太平洋地域に十万人の米軍を維持し、韓半島統一以後も米軍を駐屯させるとした「東アジア戦略報告」は、東アジアの平和と韓半島の統一の障害となっている。

 「日本防衛」から「アジア・太平洋の平和・安定の維持」へと方向転換したことで、安保再定義の本質をあらわにした「新防衛計画大綱」は、日本軍国主義勢力の活動舞台がアジア・太平洋地域へと移行していることを反映している。「東アジア戦略報告」の延長線上で、安保再定義の基本的な枠組みを確定した「日米安保共同宣言」は、仮想敵国・北韓に対する「介入」と「拡大」政策を再確認しながら、ガイドラインの見直しを約束した。仮想敵国・北韓の情勢に「介入」し、仮想敵国・北韓にまで米国式民主主義、市場経済を「拡大」するとの野心作が「日米安保共同宣言」であり、これを実践するために七八年のガイドラインの改正を進めている。

 「北韓介入」政策は、九三年の核疑惑騒動以後に露骨な「北韓崩壊」戦略へと転換する。寧辺地域の核施設をじゅうたん爆撃する計画を立てた米国は、ピョンヤンを七日間で占領する「作戦計画5027」を立てる。ところが北韓を武力で吸収統合しようとする「作戦計画5027」は、日本の後方支援なしには成功しない。寧辺を爆撃する戦闘機が沖縄基地から出撃し、北韓の反撃を阻止する第七艦隊の空母が横須賀から出港するので、日本の基地が非常に重要な役割を果たす。

 さらに日本の空港、港湾、道路、鉄道などの提供が、北韓攻撃作戦の必須条件である。日本国土全体を活用しなければ、北韓を完全に屈服させることができないことを遅ればせながら気づいた米国は「作戦計画5027」の不備点を補完すると同時に、完璧な北韓せん滅戦略を仕上げるためにガイドラインの見直しに乗り出す。日本の後方支援なしに北韓を攻撃することができないと判断した米国が、自衛隊の支援を受けて北韓に進撃しようとするのが安保再定義の核心である。

 ガイドラインに集約される日米安保再定義は、米軍と自衛隊が韓半島で戦争を引き起こすか、北韓政権を接収するための戦争シナリオである。米国の国益と日本の軍事大国化のために、北韓をスケープゴートに選択した戦争教範がガイドラインである。今年に入って、これまで二十回を超える韓米合同軍事演習と、十四回にわたる日米合同演習は、北韓侵略用のガイドラインの予行演習である。ガイドラインは、韓半島の統一は死んでも嫌だという日本支配階級の永久分断の画策である。平和維持活動(PKO)を通して自衛隊の海外派兵に成功した日本軍国主義勢力が「ガイドライン」という刃を振りかざし、再び韓半島に上陸するためにち密な準備をしている。

 安保再定義とガイドライン見直しの根拠を「北韓有事」に求めた日米の好戦勢力は、韓半島エネルギー開発機構(KEDO)協定締結以後も、北韓のミサイル、化学兵器問題を提起し、北韓脅威論を絶え間なく作り出している。北韓の核開発疑惑が消滅すれば、今度は「ミサイル・化学兵器開発」という新種の北韓脅威論が、日米安保再定義―ガイドライン見直しの新たな理由を提供している。北韓の首を絞めるために、執ように「北韓脅威、北韓有事」論を量産する日米安保再定義は、韓半島での戦争・南北韓紛争をあおり立てるものであることから、反民族・反平和・反統一的である。

 食糧難によって「苦難の行軍」を行っている北韓が、日米軍事同盟を脅かす仮想敵という論理は飛躍である。むしろ「力による北韓吸収統一」を狙っている日米の好戦分子が、「韓半島統一の仮想敵」である。したがって統一の仮想敵である日米安保再定義ーガイドライン推進勢力の力を砕くことが、民族の緊急な任務として浮上している。

 安保再定義の主導者である米国は、朝には北韓の降伏を狙ってガイドライン見直しの作業をし、夕方には「四者会談」のテーブルについている。このような米国の二重戦略が続くかぎり、韓半島での戦争危機説は鎮静しない。米国と日本が真に韓半島とアジアの平和を願うというのであれば、安保再定義―ガイドライン見直しを直ちに中止し、冷戦時代に締結された韓米相互防衛条約と日米防衛条約の破棄に乗り出さなければならない。

 (李正萬記者)