民族時報 第1233号(12.12.01)


【シリーズ】追跡―韓国大統領選挙4

    文在寅民主党候補で野党一本化が実現

 

 十二月十九日の大統領選挙を前に、候補登録(公示)を終えた候補らは二十七日、二十二日間の公式選挙運動に突入した。民主統合党の文在寅候補と無所属の安哲秀候補の野党一本化交渉は、登録日直前の二十三日、安候補が「政権交代のために白衣従軍することを宣言する」と候補辞退を表明したことで、文候補が野党一本化候補に決定した。安氏は一本化に向けて調整できなかったなかで、候補を譲りながら「一本化候補は文在寅候補」と強調し、文候補に声援を送ってほしいと国民にお願いした。この間、一本化交渉の結果をもどかしい思いで待っていた国民は、野党一本化候補が候補登録日前に決定されたことによって、安堵(あんど)することになった。これにより、野党の文在寅候補とセヌリ党の朴槿恵候補による民主改革対保守、二強対決の構図で、激しい選挙戦が繰り広げられることになった。

 文候補と朴候補、そして統合進歩党の李正姫候補は二十五日、候補登録を終えた。

 

文候補「安候補と約束した新政治共同宣言は必ず実践する」

 文候補は、安候補の辞退について「安候補の真心と涙を決して忘れないだろう」「安候補の支持者、候補一本化を願ったすべての方々とともに、大韓民国の未来を変える国民連帯をなし遂げる」と述べ、安候補と合意した「新政治共同宣言」を必ず実践し、政権交代と新時代を作りあげると記者会見で誓った。

 文候補はまた、民主勢力と未来勢力が力を合わせ、合理的な保守勢力まで含めた大統合の選挙陣営を作り、政権交代後も連帯して国政運営を成功させる改革と統合の基盤になるようにすると約束した。さらに、最終合意と発表には至らなかったが、安候補側と実務合意した「政治福祉政策共同宣言」と「新時代の朝鮮半島の平和のための共同宣言」の具体的実行計画も、国民連帯の枠組みの中で立案していくことを約束した。安候補との合意を最大限尊重するということだ。

 「新政治共同宣言」は▽新しいリーダーシップと新しい国政運営方式で、意志疎通と協治(多様な主体がともに行う政治)の時代を開く▽政治革新▽果敢な政党革新による政治に対する国民の信頼回復▽新しい政治と政権交代のための国民連帯をなし遂げ、ともに韓国の新時代を開く─という内容だ。

 今回の大統領選挙は、過去勢力と未来勢力の対決として政権交代を強調する文候補は、経済民主化の時代、平和な朝鮮半島、だれもが職を持てる社会、あたたかい福祉国家、すべての地域が均衡発展する地方分権国家、公平と正義の価値がしっかりした社会、多数の普通の人々がともに幸せに暮らす未来を開かなければならないと強調した。

 文候補陣営は文・安選挙陣営、進歩政治勢力、市民社会、労働界など、政権交代を熱望するすべての勢力を包括する共同選挙対策委員会の構成に着手した。

 

文在寅・朴槿恵、大接戦の予想

 安候補の辞退後に実施した各報道機関の世論調査をみると、文候補と朴候補は誤差範囲内で順位が入れ代わる大混戦を見せている。安候補支持層の動向を見よう。ハンギョレ・韓国社会世論研究所の世論調査では、安候補支持層の五〇・七%が文候補支持、朴候補支持が二六・四%、分からないが二一・九%と出た。KBS・メディアリサーチの世論調査では五五・七%が文候補支持、一九・二%が朴候補支持、分からないが二四・六%だ。SBS・TNS調査では五一・八%が文候補支持、二四・二%が朴候補支持、分からないが二二・五%だ。

 辞退直後に実施された世論調査のため、一本化効果が十分にあらわれていないが、安氏支持層と浮動層を自身の支持層に引きこみ、一本化効果を最大のものにすることが文候補の課題だ。安氏支持層の票が最大のカギを握ると予想されるだけに、安氏の選挙支援が期待される。安氏はこれまで、今回の大統領選挙でセヌリ党を退場させる政権交代を主張してきたため、このまま座視することはないと見られる。

 文・朴候補で一、二%差の薄氷の勝負になると予想される状況のもとで、群小候補の得票率が選挙結果に決定的な影響を及ぼすこともあるという展望だ。統合進歩党は四月の総選挙での得票率が一〇・三%。進歩陣営の固定票が文候補側に行くならば、大統領選挙の構図に影響を及ぼす可能性が大きい。

 進歩的有権者の結集を引き出し、大統領選挙で熱風を起こすという統合進歩党の李候補は、野党連帯に関して「政権交代を切に望み、政権交代のために献身する」と発言し、終盤の野党連帯の可能性を示唆した。李候補は、中央選挙管理委が三回実施する大統領候補招請討論会に文、朴候補とともに参加する。参加資格は選挙法上、国会五議席以上の政党の候補、世論調査で平均支持率五%以上の候補だ。李候補は五%以下だが五議席以上の政党の大統領候補として参加することになる。

 一方、朴候補は選挙勝利のために政治生命をかけてきた。「大統領選挙で国民の信頼を受けることができなければ、政治の旅を終える」と述べ、議員職を辞職し、選挙敗北時の政界引退を公言した。薄氷の勝負が予想される状況下で保守層を結集し、しっかりけん引するためという評価だ。セヌリ党はそのうえ、安氏の刷新案は自分らの刷新案と同じ方向だとし、安元候補支持者の吸収に必死だ。

 政権交代をなし遂げて明るい未来を築くのか、再び暗い社会で生きていくのか、有権者の賢明な選択がわが民族の運命を左右するといっても過言ではない。

(河民宇記者)

(おわり)


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