民族時報 第1225号(12.06.15)


【読書案内】

    移住労働者と連帯する全国ネットワーク編『移住者が暮らしやすい社会に変えていく30の方法』

 

 本書のあとがきに、「お互いに『ちがい』を認め合うには、その前にお互いが『おなじ』であることに気づく必要がある」という言葉が紹介されている。

 いま日本で野放しにされている在特会などによる、極端な民族・人種差別の暴言(ヘイトスピーチ)と集団行動(暴行や強要)が、「日本」「日本人」であるか、ないか、にボーダーラインを引くことで、少なくない「日本人」から無言の支持を得ていることを、残念なことに否定することはできない。

 本書はこの寒々しい日本社会の排外的な差別状況に、歴史と現実と未来、そして〈おなじ人間同士であること〉を対置する。

 午後十時も過ぎてコンビニで弁当を買う私たち、というごくありふれた日常で、移住(労働)者と無意識に出会っている現実。かつては世界各地に移民を送り出していた日本という国。移住者が〈少子超高齢化〉のいまの日本社会を支えてくれており、その位置は未来にむけてますます高まること。それなのに、ともに生きている社会に受け入れることを拒み、〈おなじ人間同士であること〉を拒もうとする法律や制度の不条理を厳しく指摘する。

 本書は、見えているのに、見えないふりをしている私たちに、おなじ人間である移住者のことを、具体的で、わかりやすく教えてくれる。そうして、私たちに「移住者が暮らしやすい社会に変えていく方法」が、たくさんあることを悟らせてくれる。

 いつの時代も、少数者、差別されている者が、人間であることを根拠に声をあげ、社会を発展させてきた。それは多数者をも幸せにする結果をもたらした。本書は、その真理をもう一度想起させてくれるはずだ。

 (黄英治)

 (合同出版・定価1400円+税)


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