民族時報 第1225号(12.06.15)


【解説】管理の基本姿勢変わらず、ICチップ付カード発行

    改定入管法の施行、何が問題か

 

 改定入管法・入管特例法、住民基本台帳法(住基法)が七月九日から施行される。これに伴い、外国人登録法(外登法)は廃止される。一九四七年の外国人登録令に始まる「外国人管理」制度の全面的な改編となる。

 日本社会では一九九〇年代からさまざまな国籍の外国人が急増し、二〇〇五年には外国人登録者数が二百万人を突破。二〇〇九年末の統計では、永住者(約五十三万人)が最多で、次に戦前から日本に住む旧植民地出身者の在日韓国人ら特別永住者(約四十一万人)、そのほか日本人配偶者(約二十二万人)、定住者(約二十二万人)、留学生(約十五万人)と続き、この二十年間でさまざまな在留資格の外国人が急増した。日本政府(法務省)は、より状況に合わせて在日外国人の在留管理をするために法改定に乗り出し、二〇〇九年七月に改定法が国会で成立した。

 新制度では、在日外国人は特別永住者(在日韓国・朝鮮人、台湾人)、中長期在留者(永住者、定住者、日本人の配偶者ら)、非正規滞在者(超過滞在者、仮滞在許可者ら)の三つに分類される。

 特別永住者の場合、外登法の廃止によって外国人登録証明書(外登証)がなくなるかわりに、顔写真入りの特別永住者証明書というICチップ付のカードが発行される。外登証の発行者は市区町村の長になっているが、特別永住者証明書は法務大臣が発行者となり、市区町村を経由して発行されることになる。

 二〇〇九年に国会で法案が一部修正され、特別永住者証明書の常時携帯義務はなくなった。しかし提示義務は残り、求められた場合は保管場所まで同行するなどして提示することが必要になる。拒否した場合は、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金。つまり常時携帯義務は実質的に課せられているといってよい。また居住地を変わったとき十四日以内に「転入届」「転出届」を出さないと、行政罰(五万円以下の過料)に加えて刑事罰(二十万円以下の罰金)も科せられる。このことからも、日本政府は在日韓国人らを管理対象としか見ていないことがわかる。

 また、市区町村では外国人住民票を作成する。五月上旬から確認のために仮住民票が届けられている。これまで市区町村の外国人登録課などで外国人登録原票記載事項証明書を発行していたが、これからは住民課などで住民票の写しなどを請求することになる。

 今回、「みなし再入国」という制度が新設された。特別永住者の場合、二年以内(中長期在留者は一年以内)の出国―再入国については再入国許可が不要となる。日本を出国する際、入管局の審査官に二年以内(一年以内)に再入国することを伝えて、旅券と特別永住者証明書(中長期在留者は在留カード)を提示すればよい。

 特別永住者証明書(在留カード)の国籍・地域欄に「朝鮮」と表示されている者は「正式な旅券がない」という理由で、法務省は「みなし再入国」を認めない方針だ。こうした差別的な措置は問題だが、法務省の自由裁量による再入国許可制度自体が人権侵害だとの批判が起こっている。

 中長期在留者の場合、地方入管局で顔写真入りのICチップ付在留カードが発行される。次に市区町村で在留カードに「居住地」を記載してもらわなければならない。特別永住者と同様、転居届など届け出が遅れると、行政罰と刑事罰のほか、それが九十日を超えると、在留資格を取り消されるなどの三重罰が科せられる。

 在留資格のない非正規滞在者(約八万人)の場合、これまでは在留資格がなくても各自治体で外国人登録ができ、行政サービスを受けられていた。だが施行後は住民票が発行されないため、それが受けられなくなり、社会的に排除される恐れがある。

 移住労働者と連帯する全国ネットワークなどが今年一月から三月まで、全国百の地方自治体に行った調査によると、非正規滞在者に対し、これまで母子手帳交付や就学、結核治療などの行政サービスを提供してきた自治体も施行後、提供しない意向を示していることがわかった。政府(法務省)は施行後も在留資格にかかわらず行政サービスを提供することを明言しているが、いまだに現場に浸透していない実態が明らかになっている。

 改定法による今回の新制度は、日本政府の外国人に対する管理・抑圧・排除の基本的な考え方が変わらないこと、義務を課し罰則を科しながら外国人の基本的権利は認めようとしない閉鎖的で反人権的な姿勢を依然として示している。


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