民族時報 第1225号(12.06.15)


【焦点】日本企業に賠償責任

    韓国最高裁「強制徴用未払い賃金、個人請求権は有効」

 

 朝鮮半島が日本に植民地支配されていた当時に強制徴用された被害者ら八人が三菱重工業と新日本製鉄に起こした未払い賃金の支払いと損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、韓国の大法院(最高裁判所)は五月二十四日、個人の請求権は有効だ(消滅していない)との初めての判断を示したうえで、審理を釜山高裁に差し戻した。日本企業の賠償責任を認める判決が出る可能性が高くなった。また、国内の元労働者や遺族らが不二越(富山市)を相手に損害賠償を求めて提訴する構えだ。

 原告の一部は一九九七年、未払い賃金の支払いと損害賠償を求めて日本政府と新日鉄を相手に大阪地裁で提訴したが、六年後に最高裁で「一九六五年の日韓請求権協定で請求権は消滅した」として敗訴が確定。わずかな期待をつないで韓国で裁判を起こし、今回の朗報を得た。

韓国政府は二〇〇五年八月から現在までに約七万七千人を強制徴用の被害者と認定、現在さらに約十四万七千人が認定を待っているという。

 原告と支援者らは三十一日、記者会見を開き、問題解決を放置してきた韓国政府を厳しく批判、政府の立場を明らかにして判決に沿った措置をとること、政府全体の対策機構の構成や国会次元での特別委員会の設置などを求めた。

 これに呼応し、最大野党の民主統合党は同日、問題を早期解決するため、与党セヌリ党に国会での特別委員会の設置を要請した。同党の李庸燮政策委員長は「画期的な判決が出たが、多くの被害者が次々と亡くなっている。国会が進み出て解決を急ぐべきだ」と述べた。

今回の判決は、日本司法の判断が日本の朝鮮半島の植民地支配が合法的だったとの認識に立っていることを、韓国側(司法)としては認められないことを明確にするとともに、韓国政府がこれまで請求権協定の対象外と明示していた日本軍「慰安婦」、原爆の被害者、サハリン残留韓国人に加えて、徴用された人などにもその範囲を広げたものとして、評価されている。

 政府(外交通商省)は二十九日、「請求権問題のわれわれの立場に変わりはない」とし、請求権は消滅して解決済みとの従来の見解を改めて示した。

しかし、昨年の憲法裁判所の「慰安婦」判決に続く韓日関係の土台を揺るがす事態に、韓日協調を基本とする政府当局は困惑を隠せない。慰安婦問題で中断している韓日軍事協定の締結にも影響を及ぼすものとみられ、レイム・ダック状態の政権にさらなる打撃となっている。


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