民族時報 第1173号(09.12.15)


【論説】労働弾圧の先頭で号令発す/KBS社長に側近を任命

   李大統領の独善に国民の不満高まる

 李明博大統領の独善的な国政運営に、国民の不満が高まっている。

 国民「生存権を無視した四大河川事業

 李明博大統領は十一月二十七日、全国三十五の放送局を動員し、「大統領との対話」を生放送した。しかし、その内容は、国民との対話ではなく国民と野党が強く反対している「四大河川事業」と「世宗市」に対する立場表明と、政策広報だった。野党と環境団体は、「四大河川事業」を擁護するために国民を誤導し、意図的に事実をわい曲したと、李大統領を強く批判した。李明博大統領には、生態系の破壊と環境汚染問題は念頭になく、生存権対策のない四大河川の整備は、取り返しのつかない大災難であり、「四大河川の破壊」というのだ。しかし、国民の反対にもかかわらず、政府・ハンナラ党は十二月八日、国会の国土海洋委員会で「四大河川を生かす事業」の予算を強行通過、処理した。

 「大統領との対話」と関連した韓国社会世論研究所(KSOI)の世論調査(十一・三十)では、「国民との対話」が別に助けにはならなかった四七%、助けになった四〇・七%だった。「四大河川事業」は中断すべき四〇・八%、規模縮小一九・八%、従来の計画通り推進すべき三一・八%と、否定的意見が圧倒的だった。

 最近では、政府が四大河川事業の正当性を強調するため、虚偽の広報資料を作成したという事実も明らかになった。各種法律と手続きを踏まえず、国民が反対する四大河川事業を推し進めるのは、次期大統領選をにらんで、李大統領がソウル市長時代に人気をえた「清渓川事業」の効果をねらおうという政治的意図がありありとあらわれている。

 世宗市問題に対しても、李大統領は、「恥ずかしく、後悔する」と公式謝罪したが、修正の推進意志ははっきりとしている。新都心に予定されている世宗市の問題は、大統領候補時代に「原案通りに推進する」とした国民公約を破棄した。世宗市は国土の均衡発展のために、盧武鉉政権が中央行政機関の九部二処二庁を世宗市に移すと法律に定め、移転を推進していた。この原案を全面白紙化し、企業と研究所、大学などを誘致するというのだ。民主党は、「前任大統領がなぜ世宗市への移転を推進しようとしたのかを、なんら考慮せず、行政の効率性が最高の価値のように考え、驚きを禁じえない」と、李大統領を批判した。世宗市原案修正は、民主党をはじめ、あらゆる野党とハンナラ党内の親朴連帯、朴槿恵・元ハンナラ党代表、特に忠清道民の反対の声が大きい。世宗市での突破もまた、次期大統領選挙を見すえた政治的意図を垣間見ることができる。

 東アジア研究院(EAI 十一・二十九)と、韓国リサーチの世論調査でも、「共感する」三九・八%、「共感できない」五二・五%と、圧倒的に国民の反対意見が多い。

 李明博大統領が労使問題に超法規的権限行使

 鉄道労組のストと関連し、李明博大統領は「公共機関の先進化ワークショップ」(十一・二十九)で、長官らに「適当に妥協してはならない」「法が遵守されないなら、今回のことはくり返されるだろう」と強硬対応を求めた。順法精神を先導すべき大統領が、超法規的な権限を行使し、憲法に保障された団体行動権の行使を不法と規定し、労働基本権を抹殺する行為をおこなったのだ。李大統領の発言後、警察は鉄道労組と全国公務員労組の事務室を押収捜索し、スト中の鉄道労組執行部十五人に逮捕令状を発布した。状況は、まるで軍事独裁時代だ。李大統領が労働者を国民としてではなく、企業主の立場からいつでも解雇できる雇用人程度に考えているという辛らつな批判も出ている。労組のストに対する超強硬対応は、四大河川事業と世宗市の修正推進に対する強い反対世論に直面した政府が、国民の関心をそらせようという意図と疑わざるをえない。

 運河反対全国教授の集いと環境運動連合は、李明博大統領を「間違った政治的目的で河川を破壊することに大きな影響をおよぼした」という理由で、「真実をわい曲し、河川を破壊する主要人士」と選定した。

 一方、李明博大統領は、言論市民団体と学会、一般市民の圧倒的な批判世論にもかかわらず、大統領選挙時の自身の選挙参謀だった金仁圭氏を韓国放送公社(KBS)社長に任命した。すでに、言論悪法で言論を掌握した李大統領が、韓国放送公社を政権広報のための放送局にし、放送の掌握をさらに強化しようとしている。

 「変化した時代状況に対する理解なしに、過去に回帰しようとする大統領の時代錯誤的独善が、政治と経済、文化の全領域で不協和音を引き起こしている」(チン・ジュングォン元中央大兼任教授 十二・二オーマイニュース―ヒューマニスト共同特別講座)と皮肉った。しかし、李明博大統領の独善を国民はいつまでも看過しないだろう。

(金明姫記者)


[HOME] [MENU] [バックナンバー]