民族時報 第1151号(09.01.01)


【新年辞】

李政権の反同胞政策、日本政府の敵視政策に反対し、在日社会の和合を!

 

 在日韓国民主統一連合 議長 金政夫

 親愛なる韓統連会員のみなさん! 会員団体の在日韓国青年同盟、在日韓国人学生協議会、在日韓国民主女性会に集う、青年・学生・女性の仲間のみなさん!

 未曾有(みぞう)の厳しい経済状況のもとでも、わたしたちの組織と運動に対する物心両面での献身的な支援を惜しまない在日同胞のみなさん!

 朝鮮半島の自主的平和統一を支持し、朝鮮半島と日本との関係正常化のため、平和と民主主義のために闘う、わたしたちの大切な日本の友人のみなさん!

 そして、李明博政権の弾圧によって酷寒の獄中で年を越さなければならなかった人々をはじめとする、敬愛する韓国の闘う仲間のみなさん!

 希望に満ちた新年を迎え、みなさんに心から謹んで新年のあいさつをおくります。

 韓国では、李明博政権の時代錯誤(さくご)的な反動せん風が吹き荒れ、日本では北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対する制裁と在日同胞に対する公安弾圧が持続し、社会の反動化が一層進められています。

 李明博政権の登場によって南北関係は大きく後退しました。

 日本政府はこれを積極的に支持しながら北朝鮮に対する圧迫政策を強め、米国の政策転換に対しても必死になって反対しています。

 さらに、韓国独裁政権時代からの政府補助金「利権」を独占してきた、一部の在日民族団体の腐敗した幹部たちは、李明博政権の反統一政策に力を得て、六・一五宣言による南北和解政策を露骨にひぼう中傷しながら、同胞社会を再び分裂と敵対へと逆戻りさせようとしています。

 祖国の平和統一を実現し在日同胞社会の和合を促進するためにも、李明博政権の反統一的で反同胞的な政策に反対し、日本政府の対北朝鮮政策を転換させるために闘うことは、今年、わたしたちに課せられた緊要な課題です。

 一触即発の戦争の危機という軍事的緊張を恒常的にともないながら、南北分断が六十年にわたって持続してきた朝鮮半島の根本矛盾は、米国の朝鮮半島政策にあります。

 日本帝国主義の植民地支配からの解放によって自主独立を求めた民族的念願を踏みにじり、力づくで民族を分裂させた根源は、「解放」直後の米国の占領政策でした。

 済州島四・三民衆抗争が明らかにしたように、米国は、南における単独選挙を強行し、ソ連・中国という強大な社会主義ブロックに対抗する防波堤として韓国を反共基地にしようとしたのです。

 以来、米国の朝鮮半島政策の基調は、韓国に対する支配と干渉を強めて米国の反共戦略と新植民地政策を貫徹し、北朝鮮を軍事的政治的経済的に圧迫して社会主義体制を崩壊させることでした。すなわち、民族の自主権に対する支配と干渉が、米国の朝鮮半島政策の基調なのです。

 こうした政策が、恒常的な戦争の危機をつくりだし、韓国における独裁政権を強化し、日本の北朝鮮敵視政策を中核とする社会の反動化を促進し、韓米日の軍事同盟体制という銃声無き戦時体制を持続させてきたのです。

 韓国の国家保安法体制と日本の北朝鮮敵視政策は、朝鮮半島の根本矛盾に規定された主要矛盾であるといえます。

当面の課題である主要矛盾の解決のために闘うことは緊要です。そのためにも、常に主要矛盾と根本矛盾との関連を正しくとらえていなければなりません。

 ソ連の崩壊と社会主義圏解体によって東西冷戦が終結し、二十年近い歳月が経過したにもかかわらず、米国の朝鮮半島政策は変わらず、軍事緊張と分断が持続されてきました。

 こうした事実から、朝鮮半島問題の本質が、資本主義体制と社会主義体制の対立という「体制矛盾」ではなく、民族の自主権に対する米国の支配と干渉による、民族自主と覇(は)権主義の対立という矛盾にあり、それが「根本的な矛盾」であることが明白になっています。

 韓国では、反独裁民主化闘争が自主・民主・統一運動へと発展し、民族分断の原因が北朝鮮の体制にあるのではなく、米国の覇権主義にあることが闘いを通して明らかにされてきました。冷戦の終結によって、「北の脅威」の虚構性が露呈し、米国こそが平和と安定にとって「脅威」であるという国民世論が拡散しているのです。

 にもかかわらず、いまだに分断の原因と責任が北朝鮮の体制にあるとして、「北の脅威」に対抗しなければならないと主張しているのが、李明博政権であり、日本政府です。

 しかし、米国の朝鮮半島政策は変わったのです。米国はついに、これまでの敵視政策を放棄して、北朝鮮との共存政策へと大きく舵(かじ)をきりました。「テロ支援国」指定解除はそのことを象徴しており、オバマ新政権は、朝米関係正常化のために積極的に踏み出すことは間違いありません。

 このような米国の政策変更は、「核疑惑」をめぐる朝米のし烈な軍事的政治的対決を経過しながら、敵対から和解へという南北関係の劇的転換による朝鮮半島情勢の地殻(ちかく)変動によってもたらされたものです。

 一方で、イラク侵略戦争の破たんと泥沼化は米国の国際的な孤立を深め、ぼう大な軍事費増大による経済的危機を促進し米国社会を混迷させてきました。

 「悪の枢軸国」に「冷戦の勝利者」である米国の「価値観」を植えつけようとした米国の覇権主義は、「民族自主」と「反戦平和」という国際的な潮流の前についに屈服したのです。そうした意味で、ブッシュ政権は米国覇権主義の没落を象徴する政権として歴史的に記憶されることでしょう。

 米国の政策転換は、朝鮮半島分断の根本矛盾を解決するうえで、決定的な契機となるものです。根本矛盾に規定されて主要矛盾が生まれ発展してきたことからして、米国の変化は、李明博政権や日本政府にも根源的な政策転換を促進していくことは間違いありません。

 しかし、このことは、米国の政策転換が自動的に韓国や日本政府の政策転換を導くということを意味するものではありません。

 米国の政策転換が一年以上も前に既定路線となっていたにもかかわらず、その進展を押しとどめてきたのは、米国政府の強硬派と連けいした韓日両政府による巻き返し策動によるものでした。こうした反転攻勢を打ち破ることが現段階における緊要な課題なのです。

 夜明け前の闇(やみ)がもっとも深いといいます。米国の覇権主義の後退と朝鮮半島政策の転換は、とりわけ日本の反動勢力を直撃しており、政権内部の動揺がどれほど深刻であるかは、この一年間の日本政局の迷走ぶりが立証しています。政権基盤の脆弱(ぜいじゃく)な李明博政権の動揺はさらに深刻であり、なりふりかまわない強硬策動は、彼らの危機意識の表れなのです。

 「民族自主」と「反戦平和」という国際的潮流をさらに推し進め、李明博政権の反統一政策を破たんさせ、日本政府の対北敵視政策を転換させなければなりません。

 今年、わたしたちは、在日同胞と日本の良心勢力、そして国内同胞らとともに、自主民主統一運動をさらに進展させ、全力で闘いを展開することでしょう。

 祖国統一は目前に迫っています。南北の体制を相互に尊重したうえで「共存・共栄」するゆるやかな形態での統一は、米国の干渉がなくなれば、民族的合意によって、統一を宣言することによって実現するのです。

 この統一は、体制統一に至る過渡的段階なのでは決してありません。将来の課題であれ、あくまでも体制の統一をもって統一の完成と見なす考えは、結局、民族よりも体制を優位に考える体制統一論であり間違っています。北の社会主義体制や南の資本主義体制を不変のものとして固定的にとらえてはならないのです。

これまでの世界の歴史が証明しているように、社会体制は歴史の発展段階に現われる過渡的形態であって、時代の進展と共に変化発展するものです。

 統一によって、百年にわたる植民地と分断の歴史に終止符をうち、ようやくはじめて、自主的で独立した民族の歴史が始まります。

統一は、ゴールではなくスタートなのです。

 もちろん、将来的な体制統一に向けたスタートなのではありません。わたしたちが目指すゴールとは、人類が理想としてきた社会を祖国の大地に打ち立てることです。人類の理想、それは、自由で平等な社会なのです。

 自由で平等な社会、そのような社会を実現するための公正な社会秩序としての民主主義を確立することが、人類の理想でした。

 「自由とは必然性の洞察である」という有名な言葉があります。

 世界は物質的に統一されており、自然と社会、精神を貫く普遍的な法則性にしたがって、不断に変化発展しています。

 このような世界のあり方を、「必然性」、すなわち必然的な法則性をもつものとして正しく把握し、その法則性にのっとって生きることによって、人間性を限りなく発展させる自由を獲得することができるのです。

 差別や抑圧など人間性を束縛(そくばく)するものからの解放をわたしたちは「自由」と呼んでいます。しかし、「人間性」とは先天的に与えられたものでなく、「社会的存在」である人間が社会の発展によって歴史的に獲得してきたものです。

 人間は他の動物とは違って、自らの意志にもとづいて目的意識的に対象に働きかけ、創造力を発揮して目的を実現することによって、物質的・精神的富を創りだします。そのことによって社会の発展に寄与し、社会の発展が人間の可能性と役割をさらに高めるのです。

 人間性とは、このような無限の発展の可能性をもった主体的で創造的な人間の特性を言うのであり、自由とはこのような人間性の発展を促進する、人間解放の根本理念なのです。

 人間は「社会的存在」です。人類社会が民族の共同体を単位として構成され、歴史的に長い歳月をかけて民族国家が形成されてきました。すべての人間が民族国家に所属し、民族国家の下で社会生活を行うことで、民族特有の文化と伝統を身につけ、それぞれの民族性を保持し発展させてきました。

 人間性の発展のために、人間が人間らしく生きるためには、民族の自主性を確立しなければならず、民族の自主性を強化するためにも民族性を守り発展させることは重要なのです。

 これは、わたしたちの民族だけでなく、日本人を含めすべての民族にとっていえることです。

 自主性と民族性を強化発展させることが、人間の解放にとって必要であり十分な条件なのです。

 朝鮮半島の統一は、朝鮮への侵略から始まった日本のゆがんだ近代化の歴史を清算し、アジア諸国との善隣友好を柱とした、新しい日本の歴史が始まることでもあります。

 祖国の統一を実現し、統一祖国と日本との新たな関係を創造していくことをとおして、人類の理想社会の実現に向けたわたしたち同胞と日本の人々との新しい時代が始まるのです。それは、人類の「本当の歴史」を創造する、新たな時代の始まりでもあるのです。

 在日同胞のみなさん! 日本の友人のみなさん!

 在日同胞の運命は、祖国と日本社会に深く結びついており、在日同胞の将来は、祖国統一を促進し、統一祖国と日本との互恵平等な友好親善関係を創造していく過程にこそ展望することができます。このような在日同胞の存在は、新たな時代をきりひらいていく「希望」なのです。

 わたしたち韓統連は、在日同胞の立場にしっかりと立ちながら、内外同胞と共に展開する民族運動と日本の良心勢力との連帯運動を二つの重要な柱として、今年も、一層努力していきます。

 みなさんにとって、今年がよりよい年でありますように!

 どうか、いのちを惜しみ、健康に留意しながら、自らを愛するように家族を愛し、家族を愛するように仲間を愛して、がんばってください。

 みなさんと、みなさんの家族、友人たちにとって、健康で幸せな一年でありますように!

二〇〇九年一月一日


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