民族時報 第1149号(08.12.01)


【論説】国情院を政権維持の道具に/キャンドルデモへ報復続く

    独裁時代へ回帰の李政権の公安弾圧

 「庶民の骨の髄をしゃぶり、金持ちの倉をいっぱいにすることだけに没頭している李明博政権とハンナラ党の政策が、この国を金持ち天国、庶民地獄に追いやっている」。十一月十五日にソウルで開かれた市民社会団体による「経済破たんと国政失敗の李明博政権糾弾、内閣総辞職要求大会」での闘争宣言文だ。彼らは、韓米FTA(自由貿易協定)批准など、反民生法案と国家情報院(国情院)法改悪など、反民主「MB(李明博)悪法」阻止と、現内閣の総辞職を掲げて、全国民的な闘争展開を宣言した。李明博政権による国民無視の政策と、政権維持のための法律整備で公安政局をつくり出していることに対し、正面から立ち向かうという挑戦状をたたきつけたのだ。

 国情院法改悪、政権維持への悪用を憂慮

 ハンナラ党議員六十一人が、十一月の定期国会で国情院の国内監視、情報収集などの職務の範囲を無制限に拡大する国情院法改定案を発議した。改定案のもっとも大きな問題点は、@国情院の職務の範囲を国益に重大な影響をおよぼす国家政策樹立に必要な情報に拡大し、国内政治への介入の口実を与え、A国情院長所属の国家対テロセンターを設置し、情報収集機能と執行機能を統合、行使することで、国情院がすべての国家組織を直接指揮し、国政を左右できるようにしている点だ。

 一九九四年、国情院の職務を「国外情報および国内の対共、対政府転覆、防諜(ちょう)、対テロ国際犯罪組織の情報収集と作成および配布」に限定したのは、工作政治、公安統治、職権乱用、捜査権を利用した人権侵害など、情報機関の弊害をなくすためだった。それでも国情院の人権侵害と職権乱用は、批判の対象になってきた。

 李明博政権とハンナラ党が国情院法を改定する意図は、政権維持のために国情院が政治査察を本格化する法的根拠を整える、法律整備といえる。まさに公安統治用だ。

 それ以外にも、政府とハンナラ党が、現在推進中の国情院関連悪法は、通信秘密保護法改定とテロ防止法の制定だ。また、国家サイバー危機関連法制定と秘密保護法制定も推進中だ。市民社会団体は、この五大法案は、李明博政権の保衛のための反民主的悪法であり、国益を名分にした市民社会団体と政党、政治家、国民に対する人権弾圧法だと警戒している。こうした悪法が通過すれば、これを根拠とした政治査察と報復捜査が大手を振るうようになるのは、火を見るより明らかだ。李明博政権は、歴史の歯車を逆戻りさせ、悪夢のような独裁政権時代に回帰しようとしているのだ。

 全国民的な反対運動に拡散した、BSE(牛海綿状脳症)の危険がある米国産牛肉輸入反対キャンドル集会を阻むことができなかったことを骨身にしみた政府が、その再発を防ぐためにつくろうとしている法が「サイバー侮辱罪」といえる。この法は、被害者の告訴、告発がなくても、捜査当局の恣意(しい)的な判断で処罰を可能にしており、表現の自由を萎縮させる。またインターネットメールと携帯電話も盗聴できるようにし、全国民が李明博政権の監視下に置かれる憂慮がある。まさに李明博政権を批判する勢力に対する弾圧装置というわけだ。

 さらに、今回の定期国会でハンナラ党は、済州四・三事件委員会、軍不審死委員会など、過去の事件と関連した十四の委員会を統廃合するとし、独裁政権下で正当に評価されなかった多くの事件が、そのまま闇に葬られる危機にさらされている。

 キャンドル集会主導の嫌疑で進歩連帯の常任代表を拘束

 米国産牛肉輸入反対のキャンドル集会に対する報復も、継続している。十一月に入って、韓国進歩連帯の呉宗烈代表らが、キャンドル集会を主導、または背後操縦したとの嫌疑で拘束され、キャンドル集会と関連して六人が警察に検挙された。ゼネストを主導した嫌疑で民主労総の李錫行委員長は、現在も手配中だ。市民を保護すべき警察も、攻撃的だ。前述の「内閣総辞職要求大会」には、千人の警察兵力が源泉封鎖に動員され、取材記者を無差別殴打し、カメラを奪って十数人を強制連行するなど、国民を敵対視する李明博政権の露骨な姿勢があらわれている。

 一方、蔚山地裁は十一月十七日、非正規職の差別解消と韓米FTA反対を主張してデモを行った嫌疑で起訴された、民主労総の組合員三十三人全員に、懲役刑を宣告した。李明博大統領も十一月十八日、「不法ストに対しては、厳格に対処する」と語っており、労働者らの生存権闘争に対する全面弾圧も予想される。

 それだけでなく、政権出帆と同時に推進されたKBS放送などに対するマスコミを掌握しようとする企図も、依然、進行中であり、言論が政権維持の道具へと転落している。保守政権の後押しを受けて、ニューライト集団が台頭し、中学・高校の韓国近現代史の教科書記述内容も、冷戦時代に戻る危険にさらされている。今、韓国社会は、独裁政権時代の公安政局をほうふつとさせている。

 これに対して、民主労働党、民主党、創造韓国党、進歩新党と市民社会団体「民生民主国民会議(準)」は共同で、国情院法の改正案を提案する予定だ。また、「ともにする市民行動」などの団体も、「サイバー統制三大悪法阻止共同行動市民社会団体宣布式」を開き、サイバー侮辱罪、強制的インターネット実名制、インターネット盗聴など、悪法撤回を主張し、立ち上がっている。

 今まで十年以上にわたって実現した、南北協力関係を破たんさせ、再び冷戦時代に回帰する李明博政権に対して、国民の憤怒は、政権退陣闘争も辞さない勢いだ。

(金明姫記者)

 

 

 

 


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