民族時報 第1141号(08.08.01)


【解説】10月までに第2段階終了/米大統領選挙などリンク

    6者首席代表協議の合意と今後の展望

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が六月二十六日、核計画の申告を行い、米国のブッシュ大統領は同日、北朝鮮に対する「テロ支援国」指定解除と、敵国通商法の適用除外の意向を議会に通知した。朝米の「同時行動」を受けて、六者協議の首席代表は九か月ぶりに北京に集まり、七月十日から十二日まで、第六回六者協議首席代表会議を行った。

 首席代表らは十二日、「(〇五年)九・一九共同声明の履行のための第二段階の措置における肯定的な進展について高く評価し、こうした進展が北東アジアの平和と安定に貢献するとの点で一致した。六者は、第二段階の措置の完全かつ均衡的な履行について、重要な合意に達した」として、六項目の「報道発表文」を採択した。(報道発表文は別掲)

 日本のマスコミは、北朝鮮の核計画の検証問題ばかりに焦点を当てたが、今回の会議の核心は、「行動対行動」の原則を再確認し、十月末までに北朝鮮が寧辺の核施設の無能力化を、他の五か国が北朝鮮に対する経済・エネルギー支援を完了する、外相会合を北京で開催するなど、六者協議プロセスの進展に重要な合意をなしとげたことだ。

 「報道発表文」は第一に、「九・一九共同声明にしたがい、朝鮮半島の非核化を検証するため、六者協議の枠組みの中に、検証メカニズムを設置する」とした。これは専門家で構成し、朝鮮半島の非核化作業部会に対して責任を負い、@施設への訪問A文書の検討B技術者との面談C六者が合意するその他の措置で行い、国際原子力機関(IAEA)から助言と支援を受けることができるとした。具体的な計画および履行は、非核化作業部会が決定する。

 第二に、首席代表で構成する監視メカニズムを設置するとした。これの任務は、「不拡散および北朝鮮に対する経済およびエネルギー支援を含め、約束を尊重し履行することを確保すること」だと明らかにした。

 以上から再確認できるとおり、六者協議の合意の履行とは一方的なものではない。参加国すべてに合意の尊重と履行が求められている。今回の合意も、北朝鮮の核無能力化だけでなく、北朝鮮に対する五者の経済・エネルギー支援に関しても監視メカニズムを設置するとした。それは、ブッシュ政権や日本政府が合意の履行をサボタージュしてきた歴史を反映しているといえる。

 第三に、「寧辺の核施設の無能力化、および他者による北朝鮮に対する残余の重油および重油以外の支援は、並行して完全に履行される」として、十月末までと期限を設定した。日本は拉致問題の進展がないとして、「環境が整えば、可能な限り早期に」としているが、協議中に日本への名指しの批判があったと報道されてもおり、政治決断がせまられている。

 第四に、「北東アジアの平和および安全に関する指針」について議論を継続するとし、第五に、「適切な時期に六者外相協議を北京で開催することを再確認した」と明らかにした。これらは、六者協議の今後の方向性を示唆するものだ。外相協議の開催によって朝米および朝日関係が一段階ランクアップすることになり、朝鮮半島の非核化のみならず、北東アジア地域の冷戦構造が名実ともに崩壊することにつながる。

 九・一九共同声明履行の第三段階は、朝鮮半島全域での非核化が課題となる。これを実現するためには、南北関係を発展させ、朝米と朝日間の敵対的で不正常な関係を清算し、正常化する課題が、まったなしに提起されることになる。

 南北間においては、李明博政権の発足以来の停滞している関係を六・一五共同宣言に基づいて復元し、十・四共同宣言を履行することで一層発展させること。さらには、朝鮮戦争の終戦を早期に宣言して、国交が結ばれていない朝米、朝日関係の正常化を実現することなどが六者協議と並行し、あるいは密接に関連しながら、実現されていかなければならないだろう。

 米国の北朝鮮に対する「テロ支援国家」指定解除は八月十一日、確定する。これによって朝米関係は、関係正常化に向けて新たな段階に入る。

 北朝鮮は世界銀行、アジア開発銀行からの融資の障害が取り除かれる。南北経済協力の政治的障害も緩和される。七月二十三日にASEAN地域フォーラム(ARF)に合わせて六者協議の参加国が外相会議を開いた。六者の外相会議が定例化される可能性もある。こうして朝米関係の変化は後戻りできない流れとなりつつある。

 問題は、日本政府と日本の世論が与える小さくない否定的な影響力である。拉致問題を口実にしてエネルギー支援に背を向けてきた日本は、北朝鮮が提出した核申告書に「核兵器に関する内容は含まれなかった」と主張して、独自制裁を継続している。本来、六者協議と無関係の拉致問題を結びつけて、対北朝鮮エネルギー支援の義務履行を先延ばししようとしている。朝日正常化部会や外交チャンネルが正しく機能しないのは、強硬一辺倒の世論に手足を縛られている日本側の事情が大きく作用している。日本の硬直した世論を転換させ、朝日国交正常化へ前進する課題は、ますます大きくなっている。

(高雄埴記者)


[HOME] [MENU] [バックナンバー]