民族時報 第1137号(08.06.01)


【現地レポート】キャンドル文化祭 「土曜ならもっと集まる」/大統領の国民弾劾に現実味

    「国民はだまされない」立ち上がった老若男女

 李明博大統領が国民の健康を無視して、BSE感染の危険性がある米国産牛肉の輸入全面開放を決定したことに国民の怒りが爆発、五月二日を皮切りにおこわなれたキャンドル文化祭は全国に広がった。五月九日の全国同時開催のキャンドル文化祭には、ソウルで三万人、全国で九万人が参加したと集計され、その後も、「ほぼ毎日、韓国のどこかで」キャンドル文化祭や集会が開かれている状況だ。これらの文化祭には、労働者や農民、市民ばかりでなく、中学生や高校生といった若い学生らが多数参加し、注目を集めている。

 国民の怒りが大きな広がりを見せるなか、五月二十二日の午前、李明博大統領は国民への談話を通して、「政府が国民の十分な理解を求め、意見を収れんする努力が足りなかった」「国政の初期の不足はすべて私の責任」だとして、国民に謝罪した。しかし、談話のほとんどは、第十七代国会で韓米FTA(自由貿易協定)の批准案の通過を求める内容だった。

 これに対して統合民主党は、「本質的回答をまったく提示していない談話」だとし、民主労働党は、「間違った(韓米)交渉に対して、国民への心からの謝罪と再交渉に対する決意を表明しなければならないのに、李大統領は依然として国民の要求と正反対の立場に立って、嘘と弁明を繰り返している」と厳しく批判した。

 この日の夜、ソウルの清渓川広場で「国民はだまされない―第十五回キャンドル文化祭」が開かれ、約五千人の市民らが参加した。李大統領の談話にも、国民の怒りは一向に収まる気配はない。壇上では、ロックバンドによるコンサートが開かれており、音楽を通して今回の米国産牛肉の輸入全面開放を非難している。参加者らは「交渉無効」「BSE牛肉輸入開放決死反対」といったプラカードとキャンドルを掲げて、音楽に合わせて踊っている。「九九%安全?それなら四十八万人は死んでもかまわないのか!」といったプラカードを掲げた労働者もいる。

 参加者は若い人たちだけでなく、さまざまな年齢層が参加しており、老若男女を問わず、この問題に対する国民の関心の高さをうかがうことができた。ある参加者は「今日は木曜だから少し人数が少ない。土曜になるともっとたくさんの人が集まるよ」と言っていた。

 米国産牛肉の問題が、「食の安全」という国民の生活と健康に直結するわかりやすい問題であることから、中高生までも巻き込んで今回の国民的批判を巻き起こしたのは事実だが、それは契機に過ぎず、これまでの「富裕層」中心の組閣人事や公共事業の民営化、福祉切り捨てなどから、李明博政権に対する国民の失望と離反は急速かつ明確に表われていたといえる。四月の段階で支持率が三〇%台まで下がり、さらに就任から三か月にも満たないこの時点で、二〇%前半台(五・二二付け韓国日報)にまで下がっていたからだ。そのことは、清渓川広場でのキャンドル文化祭で、米国産牛肉の問題だけでなく、「教育問題」や「朝鮮半島大運河計画」などを批判する横断幕や、「李明博を弾劾しよう」「李明博OUT」といった、李明博政権を直接批判、糾弾する内容の横断幕が非常に目立っていたことからもうかがえる。

 青瓦台(大統領府)の噴水広場では、米国産牛肉の輸入全面開放を糾弾する野党議員らによる徹夜の座り込みがおこなわれていた。その場には、「BSE牛肉全面再交渉」「政府の告示を無期限延長しろ」「これ以上国民をだますな」といった立て看板や横幕が張られていた。

 テレビ番組でも、毎日のように「米国産牛肉問題」が扱われている。ある視聴者参加型の討論番組で、統合民主党の議員ら米国産牛肉輸入全面開放の再交渉を求める論客三人と、ハンナラ党議員当選者ら輸入全面開放支持派の論客三人による討論がおこなわれいた。そこで、ハンナラ党の議員当選者は「政権が出帆して三か月もたっていないのに、評価を下すのは時期尚早だ。大統領の弾劾を求める動きまである。車だって最初のうちは慣らし運転が必要だ」と語る。それに対して民主党の議員は、「盧武鉉大統領が就任してからも弾劾の動きがあった。それは野党(ハンナラ党)が意図的におこなったものだったが、今回は国民の自発的な動きによるものだ」と切り返す。また、討論を傍聴していた視聴者が、ハンナラ党議員当選者に対して「李大統領は実用主義を掲げて先進化を唱えているが、国民の健康を無視して福祉を切り捨てることが先進化なのか」と詰め寄る。支持派の論客らは苦しい弁明を繰り返すが、結局「国民が何に怒っており、何を求めているのかわかっていない」と厳しく批判される始末だ。

 五月二十四日の第十七回キャンドル文化祭に参加した市民らは、街頭デモを行い、李明博政権を厳しく糾弾した。それに対して警察が強硬に弾圧、市民らが強く反発し、李明博政権に対する批判はますます高まっている。韓国民はこれまでも街頭に進み出て韓国社会の変革に直接参与してきた。「国民が何に怒っており、何を求めているのかわからない」まま、民心を無視した弾圧をおこなうなら、李大統領は手痛いしっぺ返しを受けるだろう。

(李政秀記者)


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