民族時報 第1137号(08.06.01)


【焦点】市民社会団体、学校から回収を要求

    冷戦回帰の統一教育指針

 李明博政権下で初めて出された「統一教育指針書二〇〇八・学校用」(統一教育指針書)が、一九七〇年代の南北対決をあおる安保教育をほうふつさせ、新政権になって冷え込む一方の南北関係をさらに悪化させるのではないかと、憂慮の声が高まっている。

 統一部の統一教育院は五月十九日、全国の約一万校の小・中学校に配布したと発表した統一教育指針書で、「二〇〇〇年の南北首脳会談の推進過程が透明でなかった」とし、「六・一五共同宣言の〈わが民族同士〉の協力と、〈低い段階の連邦制〉という部分が社会的な論議を呼び起こした」と明示した。

 また昨年の十・四宣言について「北側の核問題が依然として解決されておらず、北側の変化が小さいなかで合意・推進された南北交流と協力、対北支援などは、国民的な合意と支持を引き出すには大きく不足した」と評価した。

 そのうえで指針書は「この主題を扱うときの強調点」で教師らに、「歴代政府の努力について肯定的・否定的評価をバランスよく説明すること」と注文した。また、北側の軍事力を脅威だとし、過去十年間の交流協力の成果と現状部分を削除し、現政権の「非核・開放・三〇〇〇」を教育するよう求めた。

 これに対して、韓国進歩連帯、民主労働党、全国教職員労働組合(全教組)は二十一日、統一部庁舎前で開いた記者会見で、「旧時代の安保教育指針書をすべて回収して、反統一的な行為をただちに中断しろ」と要求した。

 記者会見に参加した全教組小学労組のシン・ジョンギュ委員長は、「李明博政権は日本政府には過去を許して未来指向と言いながら、〈わが民族同士〉については反目し、敵対する内容を教えるよう強要している」と厳しく批判した。

 参加者らは記者会見文で「平和統一の対象である同族と約束した〈わが民族同士〉の精神を否定し、国民の圧倒的な支持でなしとげた共同宣言を履き古した履物のように取り扱う一方で、米国とは戦略的同盟強化という美名のもと、国民の健康までささげる現政権の姿は情けないことこのうえない」と、一貫性のない外交・統一政策を強く批判した。

 また、最近の米国産牛肉の輸入全面開放に反対する集会に中高生が大挙して参加していることに関連し、「(彼、彼女らの)高い政治意識に向かって、背後操作をうんぬんしている現政権なので、時代がどうであろうと生徒たちに注入しさえすれば、それに従うと判断しているのかもしれない」としながら、「生徒たちに好戦的な価値観と冷戦意識を強要しても、思い通りにはならないだろう」と警告した。

 何が何でも、前政権の政策を否定するという李明博政権の内政、外交、統一政策の迷走ぶりを憂慮し批判する声は、日を追って高まっている。


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