民族時報

民族時報 第1278号(16.9.2)


【論説】

大統領府と朝鮮日報の泥仕合

禹柄宇疑惑をめぐる大統領府などの動き
執権後半期に入った朴槿恵政権が、大統領府の禹柄宇民情首席秘書官の不正疑惑を報道した朝鮮日報と泥仕合をする醜態をさらしている。

 事態の経過は次の通りだ。朝鮮日報が7月、禹秘書官の家族の不動産投機などに関する疑惑を相次ぎ報じた。市民団体は禹秘書官を公務執行妨害と職権乱用などで告発、野党は一斉に解任を要求した。

 世論の批判に押され、政府高位幹部の不正疑惑を調査する李ソクス特別監察官が、禹秘書官の親族系会社「正剛」の横領背任、息子への特恵と関連した職権乱用などの疑惑に関して検察に捜査を依頼した。

 すると大統領府は、李監察官と禹秘書官の不動産疑惑を報じた朝鮮日報記者の通話内容を、MBCを通じて報道。監察記録の流出疑惑を根拠に「国紀びん乱」と規定した。そして、監察記録の流出可否を確認するとして、2人の携帯電話を押収捜索、検察捜査を要求した。これに対し、李監察官はこれ以上正常な職務遂行は不可能と判断、8月29日に辞表を提出した。朝鮮日報は、禹秘書官の疑惑報道に対する報復だとし反発した。

 セヌリ党の金鎭台議員は、朝鮮日報の宋フィヨン主筆が「大宇造船海洋から約2億ウォン(約1800万円)の外遊接待」を受けたと暴露。これを受けて、宋主筆は辞任した。いよいよ禹秘書官も辞任しなければならないという世論が高まるや、大統領府は宋主筆が昨年、大宇造船海洋の高位幹部の再任を大統領府に要請するロビー活動をしていたと暴露したのだ。

 これに対し朝鮮日報は、李監察官と記者の通話内容、SNSを通じて共有したメモが丸ごと流出したとし、国家機関による不法な盗聴、監聴(裁判所の許可を受けた合法的「盗聴」)、ハッキング疑惑を訴えている。

 一方、批判世論のため、禹秘書官と李監察官を同時に捜査しなければならなくなった検察特別捜査チームは、李監察官の監察室と携帯電話のみ押収捜索し、禹秘書官の事務室と自宅は除外し、携帯電話も押収しなかった。「うわべ捜査」「見てくれだけの捜査」との評価だ。

 大統領府と金議員の暴露資料は、検察や国家情報院などでなければ入手困難といわれる。盗聴・監聴の結果などは捜査機密とされる。

 大統領府が検察や国家情報院などの査定機関を動員し、「禹柄宇擁護」に乗り出したとの指摘だ。朝鮮日報主筆などに対する暴露も、「禹柄宇疑惑の関心そらし」であることに疑いの余地はない。

 朝鮮日報は8月30日、「ジャーナリスト個人の逸脱と、権力不正の報道を連関させてはならない」とする社説で、禹秘書官の疑惑報道は有力な情報をもとに、社会部法曹チームの記者たちが確認し取材した内容であり、こうした疑惑を報道しなければ言論とはいえないと主張している。

 朴政権は不利な局面のたびに、査定機関を動員し邪魔な特定人物を排除することで危機を乗り越えてきた。代表的なのが、2013年に国家情報院の大統領選挙介入疑惑の捜査責任者だった蔡東旭前検察総長を、「隠し子」疑惑報道で排除したことだ。

 朴大統領は、なぜ査定機関を総動員し、禹秘書官を必死に守ろうとするのか。大統領の動きをすべて把握している民情首席秘書官を放り出すわけにはいかないという指摘にもうなずける。セウォル号惨事において、真相が明らかになっていない「大統領の7時間」。そして朴大統領退任後の計画などだ。朴政権の没落が目に見え始めた。

(河民宇記者)


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