民族時報 第1119号(07.08.15)


【論説】歴史問題が米日間の矛盾に/反復される妄言を断つ契機

    米下院「慰安婦」決議 その内容と意義

 日本軍「慰安婦」強制動員に対する日本政府の公式認定と謝罪、歴史的責任を要求する「慰安婦」決議案(H121)が七月三十日、米国下院本会議で満場一致で通過した。

 これまで安倍首相は、「日本軍『慰安婦』制度に軍の強制性があった」とする九三年の「河野談話」の日本政府見解も無視し、「『慰安婦』強制動員の証拠がなく、決議案が採択されても日本政府として謝罪するつもりはない」(三・一)という妄言もためらわなかった。むしろ日本政府は、決議案採択を阻むため、米議会と政府を対象に大々的なロビー活動と政治的、外交的圧力も行使した。またワシントンポスト紙の全面広告(六・四)を通して「『慰安婦』は許可を得て売春行為を行った」という奇弁で、「慰安婦」女性らの人権を再び踏みにじった。

 しかし米国下院は、日帝の「慰安婦」動員を「二十世紀最大規模の人身売買のうちのひとつ」と規定した。安倍首相と日本政府が自ら招いたものといえるだろう。決議案採択は、安倍政権出帆十か月後の参議院選挙で、自民党惨敗で首相継続の危機に直面している安倍政権に大きな政治的打撃を与えるものと思われる。

 「慰安婦」は人身売買

 決議案では次のように、日本政府の蛮行を断罪している。「日本政府は『慰安婦』として知られている若い女性らを、帝国軍に対する性的サービスを目的に動員することを公式に委任した。日本政府による強制軍隊売春制度である『慰安婦』は集団強姦と強制流産、辱め、身体切断と死亡および窮極的な自殺を招いた性的暴行など、残虐性と規模において前例のない二十世紀最大規模の人身売買のうちのひとつだ。日本の学校で使用されている新しい教科書は、慰安婦の悲劇と日本の戦争犯罪を縮小している」と規定し、日本政府に対して以下のとおり要求している。

 @性奴隷の事実を公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならないA日本の首相が公式な声明を通して謝罪しなければならないB日本軍が「慰安婦」を性奴隷として人身売買を行った事実はないという主張に対し、はっきりと公開的に反ばくしなければならないC国際社会が提示した「慰安婦」勧告にしたがって、現世代と未来の世代を対象に教育を行わなければならない。

 この日の決議案採択に先駆けてラントス下院外交委員長は、「歴史をわい曲、否定し、『慰安婦』の犠牲者らを非難するなど、ふざけた日本政府の態度は吐き気がする」と批判し、ホンダ議員は「歴史には時効がない」、ウルシー議員「女性は戦利品ではない」、ジャクソン・リー議員は「慰安婦問題は女性を性奴隷にしたということ」と、厳しい批判が相次いだ。

 日本政府は受容表明を

 米下院の決議案採択は、法的拘束力はないが歴史的意味は大きい。第一に、歴史的真実にそむいて歴史わい曲を正当化しようとする日本政府に猛省を促す契機となり、第二に、慰安婦強制動員を否定する日本政府の不当性を、日本の最大の友邦を自任する米国の議会が確認、公式文書として歴史に残ることになり、政治的打撃を与えた。第三に、日本政府の歴史わい曲と人権じゅうりんを全世界に知らせる契機になった、といえるだろう。安倍政権の非倫理的で不当な態度をこれ以上座視できないと判断したものという評価もある。過去の歴史問題を清算しなければ、米日共助も国際社会での逆風を受ける可能性があるという警告ともいえるだろう。

 挺身隊問題対策協議会(挺対協、各界二十二団体)と慰安婦被害生存者ら百十六人は同日、記者会見を開いて、日本政府に早急な受容意思の表明と責任履行を求めた。また行政的、立法的措置の施行、高齢の被害者らへの公式謝罪と法廷賠償の実施、人権じゅうりん犯罪再発防止のための正しい歴史教育実施を要求した。東京では、日本軍「慰安婦」問題行動ネットワークが「慰安婦」決議採択を歓迎する記者会見を開き、声明で「日本政府と国会は内閣決議および国会決議などの公式的な形態で日本の責任を明確にし、謝罪を表明」するよう主張した。一方、中国の人民日報(八・一)は、「日本の誤った歴史観が、いっそう国際的な反発を招来するだろう」とし、反省を求めた。

 しかし安倍首相はこの日の記者会見で、「この問題に対する私の考え、政府の対応は、四月の訪米時に説明した。こうした決議案が採択されて遺憾だ」と一蹴し、「重要なことは二十一世紀を人権侵害のない明るい時代にしていくこと」だと語った。日本政府が犯した二十世紀最大の人権じゅうりんに対する反省と清算なくして、人権侵害のない明るい時代を作ることができるのか、安倍首相に聞いてみたい。

(金明姫記者)


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