民族時報 第1110号(07.04.01)


【論説】安部首相ら見解の修正狙う/米紙「国家指導者として恥」

    「慰安婦」強制否定 国際的な非難噴出

 安倍首相の日本軍「慰安婦」強制動員を否定する発言に、内外から非難の声が噴出している。「慰安婦」強制動員は被害者らの証言と歴史的記録により明らかにされており、一九九三年当時、村山内閣が河野談話を通して日本軍の介入を公式に認めている。

 安倍首相は、自民党右派の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の河野談話再検討提案に対して「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」(三・一)と語り、日本政府の公式見解を覆した。参議院予算委員会での答弁(三・五)でも「狭義の強制性を裏付ける証拠はなかった」と語り、慰安婦問題の謝罪を要求する米国下院外交委員会の決議案が議決されても「日本政府が謝罪することはない」という強硬姿勢をとった。

 彼の破廉恥な発言に国内外から非難がわき起こるなか、日本政府は閣議(三・一六)で「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接あらわす記述は発見されなかった」と首相の発言をかばう立場を公式に明らかにした。一方、下村博文官房副長官は「慰安婦の一部は父母が娘を売った」という妄言を行い、安倍政権の道徳的姿勢の欠如を証明した。

河野談話は軍関与認定

 「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」(九三・八・四)は当時、慰安婦被害者からの聴取調査をもとに@慰安所は軍当局の要請に従って設営され、慰安所の設置、管理および移送に日本軍が直接または間接的に関与A慰安婦募集に官憲などが直接加担した、などの内容になっている。

 「慰安婦問題は(河野談話による)政府の公式立場を継承する」(就任直後の昨年十月の国会で)と明らかにした安倍首相が発言をひるがえしたことに対し、自民党の山崎拓前副総裁は「慰安婦がいたのは事実」と言いながら弁明するような態度をとってはいけないと皮肉った。また小沢一郎民主党代表も「歴史認識に疑問を感じる」と安倍首相を正面から批判した。

 国際社会の非難はより激しい。韓国政府は「慰安婦強制連行の直接関与を認定しないのは、歴史的真実の隠ぺい」(三・一七、外交通商部)と強力に抗議した。米国務省は「日本が犯罪の重大性を認める率直で責任ある態度で対処する」よう公開的に要求した(三・二六)。トーマス・シーファー駐日米大使も「慰安婦(被害者ら)は日本軍に性的暴行をされたことを意味する」(三・一六)、「強制動員は嘆かわしいこと」(三・二、ネグロポンテ米国務副長官)と非難した。こうした米国の日本政府に対する強力な公開批判が注目されている。

 首脳会談時に訪日したジョン・ハワード・オーストラリア首相も「強制動員は身の毛もよだつことで、厳正な事実」(三・一二)と指摘、オランダのバルケネンデ首相は日本の内閣発表は「不快で驚いた」(三・一六)という立場を明らかにした。

奇怪で無礼な二重姿勢

 ワシントン・ポスト紙は社説「安倍晋三の言い訳」(三・二四)で、彼が北朝鮮の拉致問題に対しては熱心なのに、日本が犯した慰安婦への戦争犯罪に対しては知らんぷりしていると批判した。また拉致問題を争点化して支持を高めることに利用したが、数十万人にいたる女性らを拉致、強かん、性奴隷にした責任を認めることからはむしろ後退するという、奇怪で無礼な二重の態度を見せており、これは「民主国家の指導者としての恥」だとしんらつに批判している。ニューヨーク・タイムズ(三・六社説)も「日本の政治人らが真実を認めることが、恥ずかしい過去を克服しうる最初の段階だということを認識すべき」だと忠告した。

 安倍首相と日本政府に対する非難世論が日ごと高まるなか、米国下院に上程された日本政府の慰安婦強制動員への謝罪を要求する決議案(HR一二一)が採択される可能性が高い。この決議案を支持する議員は三月二十六日現在、六十九人だ。下院外交委員会は共同発議者が百人になり次第、決議案を表決に付す計画だ。またカナダでも日本の首相に公式謝罪を要求する決議案が議会に提出されている。

 拉致問題を政権支持率の確保に利用しながら、慰安婦犯罪に対しては責任を回避しようとする安倍首相の非良心的な二重の態度は、満天下に明らかにされた。数百万人の強制連行、二十万人の南北をはじめとしたアジアの女性らを拉致などの手段で強制的に動員し、日本軍の性奴隷として一生を踏みにじった行為に対して、心から謝罪し反省することが先行されなければならないということは、子どもでもわかることだ。内外の批判が高まるや、仕方なく「河野談話を継承する」「強制動員を謝罪する」(三・二六参議院予算委員会)という誠意のない言葉でその場を繕おうとする姿勢は、信頼を得られないだろう。

 日本が過去、朝鮮半島を占領し犯した戦争犯罪に対する謝罪はおろか、言い逃れをしながらむしろ在日同胞を弾圧の対象とすることは、「民主国家」として恥ずかしいことではないだろうか。拉致問題を持ち出して平和的解決に進む六者協議に難関をもたらそうとする行為も決して正しい姿勢とはいえないだろう


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