民族時報 第1110号(07.04.01)


【焦点】ブッシュ政権 事実無根の政治策動

    「金融制裁」全面解除

 米国と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は三月十九日、マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」で凍結されている北朝鮮関連資金約二千五百万ドル(約二十九億円)全額を凍結解除することで合意した。

 いわゆる北朝鮮に対する「金融制裁」の経緯についていえばこうだ。〇五年九月、米財務省はBDAを「マネーロンダリング(資金洗浄)の懸念先」に指定し、米金融機関はBDAとの取引を停止した。この措置を受けてマカオ当局も、北朝鮮関連口座の資金約二千五百万ドルを凍結した。こうして、米国による北朝鮮に対する事実上の「金融制裁」が発動された。同年十一月に開かれた六者協議は、北朝鮮が米国の「金融制裁」措置に強く反発して休会となった。その後、〇六年七月の北朝鮮の弾道ミサイル発射と同年十月の核実験をへて、同年十二月に六者協議が再開したが、六者協議と並行して、朝米が二度にわたって金融専門家会合を開き、これへの対応を協議してきた。その結果が今回の合意として発表された。

 六者協議では〇五年九月に、朝鮮半島の核問題を包括的に解決するための「九・一九共同声明」を採択したが、北朝鮮はその直後に始まった米国による「金融制裁」を、「対北朝鮮敵視政策」の象徴とみなし、強く抗議し反発してきた。

 今回の合意についてマスコミの論調は、米国が核問題の解決を優先するためにとった「政治決着」だとするものが大半だ。しかし、まず指摘されなければならないのは、米国がこの間主張してきた北朝鮮のBDA資金問題が、結局は米国が「九・一九共同声明」の履行を嫌い、北朝鮮を圧迫するために、恣(し)意的にあおってきた事実無根の政治的策動であったことが明らかになった点である。

 今回「金融制裁」は、北朝鮮が要求していた「全面解決」の形で決着した。これは「米国が誤りを認めた」ことにほかならない。実際、合意に先立つ十六日に、BDAを傘下に置くデルタ・アジア・ファイナンシャル・グループの区宗傑会長は、米国の指摘を全面否定し、米財務省を提訴する用意があると語っている。

 そして評価すべきは、六者協議共同声明(〇五年九月)に明記されながら、その後ほごにされ続けていた「約束対約束」と「行動対行動」の原則が、協議や交渉で貫徹されなければならない状況が生まれたことだ。

 外交交渉は事実に基づいて、対話を通じて平和的に、合意にもとづいて誠実に行われなければならない。米国は今回のこと通じて、そのことをしっかりと肝に銘ずるべきである。


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