民族時報 第1110号(07.04.01)


【主張】

    「行動対行動」原則の重み

 第六回六者協議が三月二十二日、議題をまったく討議することができずに休会した。今回の協議は、二月の第五回第三段階六者協議で採択した、朝鮮半島非核化のための「初期段階措置」(二・一三合意)の履行計画を論議することになっており、内外から期待と関心を集めていた。それだけに、会期中に北朝鮮代表団が帰国するという形で協議が中断したため、日本のマスコミは一斉に北朝鮮を非難する社説を掲げた。

 しかし、これらの主張こそ、今回の中断の本質である朝米の不信と対立の根深さと、それを解く方式として採用された「行動対行動」原則の重みに対する無知と無理解の産物であるといわざるをえない。

 そもそも、昨年十月の北朝鮮の核実験は、米国が〇五年九月の第四回六者協議で採択された、北朝鮮の核兵器を含むすべての核計画の放棄と、米国の対北敵視政策の放棄を約束した「九・一九共同声明」の履行を妨害するために、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮資金を凍結して「金融制裁」を発動したことに端を発している。

 さらにさかのぼれば、北朝鮮の核放棄の見返りに、五十万トンの重油提供と軽水炉原発の建設を約束した一九九四年の朝米基本合意と、米国の対北敵視政策の放棄と関係正常化をうたった二〇〇〇年十月の朝米共同コミュニケを、一方的に反故(ほご)にしたのも米国だった。

 また近くは、現在の「朝鮮半島第二次核危機」の発端となった〇二年十月のケリー国務次官補(当時)訪朝時に、北朝鮮が「ウラン濃縮による核兵器開発を認めた」とする一方的な発表がある。しかしこれも、最近になって米国高官が、計画はあったかもしれないが、実際に開発に乗り出した証拠はないと、相次いで発言している。

 イラクに大量破壊兵器がなかったにもかかわらず、「ある」と情報をねつ造して先制攻撃したブッシュ政権の手法が、北朝鮮にも適用されたわけだ。

 今回の焦点となったBDAの北朝鮮資金についても、米国自身が凍結の全面解除に踏み切らざるをえなかった事実が、北朝鮮の「ニセドル・麻薬・資金洗浄」キャンペーンと「金融制裁」は、「九・一九共同声明」の白紙化にその目的があったことを反証している。実際、BDAを傘下に置くデルタ・アジア・フィナンシャルグループの区宗傑会長は三月二十六日、「(北朝鮮の不正行為を見逃してきたとする)米国の告発に証拠はない」とし、米側の「北朝鮮製のニセドル取引に関与した」との指摘に反論して、「北朝鮮の顧客との取引も合法的だ」と主張する声明を発表した。

 米国は今年一月の朝米ベルリン協議で、BDAに凍結された北朝鮮資金を返還すると約束していた。北朝鮮は、それが実行されないなら、これまでの米国の手法からして、「行動対行動」の原則が崩されてしまうとして、強い態度にでたといえる。朝米の不信と対立はそれほどにも深刻なのである。

 米国側に非がある送金問題は早晩解決するだろう。しかし問題は、対話と根本的に対立する対北軍事演習など山積している。「行動対行動」原則の重みは、さらに増していくと見なければならない。


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