民族時報 第1042号(04.08.11)


【トップ記事】人権団体「代替立法は不必要」

    国家保安法廃止なるか

  九月の定期国会に向けて国家保安法(保安法)の廃止問題が大きく浮上しはじめている。

 最近の同法関連事件の判決では、一審で懲役七年の実刑判決を受けた宋斗律教授が、二審では朝鮮労働党の政治局員候補だったとの検察の主張が証拠不十分で棄却され、執行猶予で釈放され(七月二十一日)、十一期韓総連議長の鄭栽旭氏も執行猶予で釈放(同二十九日)される一方、韓国青年団体協議会については「利敵団体」だとされて幹部らに有罪判決が出された(同二十日)。この相反する判決は、これまで保安法が政権維持のために同族である北朝鮮を「敵」=反国家団体と規定し、韓国内の民主勢力を「利敵団体」として弾圧して、国民の人権を制限してきた歴史の終わりが近づいていることを示すとともに、守旧・公安勢力が同法の存続に血眼になっていることを示すものと評価されている。

 しかし、六・一五共同宣言で開かれた南北の和解と協力の時代に逆行する保安法廃止の流れは、押し止めようがないものになっているようだ。

 与党の「開かれたわが党」(ウリ党)の任鍾ル議員ら十三人は四日、「国家保安法廃止のための立法推進委員会」(推進委)の初会合をもち、推進委参加議員の第一次分名簿四十六人を発表するとともに、廃止法案の八月末提出を目標に活動することを明らかにした。彼らは第十七代国会の最初の改革課題は「保安法廃止」だとし、今年下半期中に必ず保安法を廃止するとの立場だ。

 インターネット放送局「民衆の声」が七月二十六日から二十九日まで実施した国会議員に対する電話アンケート(二百九十九人の議員のうち百七十四人が回答)によると、廃止(七十一人)と改正(六十九人)があわせて八〇・五%に達している。廃止を政党別に見るとウリ党五十八人、ハンナラ党三人、民主労働党議員は所属議員全員の十人だった。改正はウリ党二十一人、ハンナラ党四十五人、民主党・自民連・無所属それぞれ一人だった。このように、第十七代国会では保安法改正はすでに既定事実で、廃止できるかどうかがポイントになっている。

 各党の指導部は民主労働党とウリ党が廃止に積極的な一方、ハンナラ党指導部は部分改正という消極的な立場をとっている。ウリ党の場合、辛基南議長は個人の所信として廃止を表明したが、千正培院内代表は「党内の意見調整をしなければならない立場なので表明が困難」としている。ハンナラ党の場合、朴槿恵代表が「廃止に反対」として部分改正にとどまっている。

 このように、制定五十六年目にして初めて具体的な廃止論議が日程にのぼった国家保安法だが、存続を望む側からは、廃止を見こして代替立法の推進や、刑法に新条項を追加するとの問題が提起されている。

 これに対して、人権運動団体などは新しい人権弾圧法は必要ないと主張している。実際に、保安法のすべての条項は刑法などの現行法で十分に代替可能だ。同法の核心である「反国家団体条項」は刑法の犯罪団体組職罪で対応できる。また、目的遂行罪に関しては現行法も五十五の刑法条項で処罰することになっているからだ。

 これまでの韓国の政治体制は、「分断・国家保安法体制」だったということができが、これを「合法化」してきた国家保安法の廃止は、「自主・平和統一体制」への移行を決定づけるものとなるだろう。


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