民族時報 第993号(02.12.11)


【記事3】

    大統領選挙中盤へ 盧・李両候補の対決

  十九日に投開票される第十六代大統領選挙には、新千年民主党の盧武鉉(五十六歳)、ハンナラ党の李会昌(六十七歳)、民主労働党の権永吉(六十一歳)、ハナロ国民連合の李漢東(六十八歳)、社会党の金栄圭(五十六歳)、護国党の金吉洙(五十四歳)、無所属の張世東(六十六歳)の各候補七人が届け出た。(関連記事は三面)

 選挙戦初日の十一月二十七日、盧武鉉候補は釜山駅前広場などで演説を行い、「古い政治を清算して新しい政治を開く」とし、「冷戦的、対決式思考にとらわれている人は南北問題を解決できない」と李候補を批判した。

 李会昌候補も釜山で「今回の選挙は腐敗政権の継承勢力と腐敗政権を審判しようとする国民との対決」だとし、「急進腐敗勢力は危険」と強調、盧候補を批判した。

 権永吉候補は党本部での出陣記者会見で「今までわが国の政治は、持てる者、既得権者だけを代弁する政治だった」とし、「これからは『汗を流して働く者の政治』に変えなければならない」と主張。「民主労働党の権永吉は、わが友の労働者、農民、都市庶民が主人になる社会をつくる大統領になる」と述べた。

 今回の大統領選挙は、実質的には盧候補と李候補の対決といわれているが、権候補が百万人(三・六%)の得票を超え、五%台に届くかどうか注目される。

 また三十年間、韓国政治を左右してきた三金(金大中、金泳三、金鍾泌)の影響力が完全に消滅したのも、特徴の一つだ。

 

論説・大統領候補のテレビ討論を見て

 いよいよ十九日に迫った二十一世紀最初の韓国大統領選挙は、新千年民主党の盧武鉉候補とハンナラ党の李会昌候補との事実上の両強対決(一騎打ち)となった。盧氏との候補一本化竸選で退いた国民統合21の鄭夢準氏は、盧候補の名誉選対委員長として後押しする。

韓国のメディアは、今回の大統領選挙を指して「国民の命運のかかった国民的行事」(「連合ニュース」)と指摘した。それは、三日夜に行われた三候補(盧、李候補に加えて民主労働党の権永吉候補)の合同テレビ討論会(政治・外交・安保分野)でもはっきりとあらわれた。

 韓米関係・韓米駐屯軍地位協定(SOFA)問題については、米軍による女子中学生れき殺事件が大きな政治・外交問題になっていることもあって保守・親米派の李候補も含めて三者ともに不平等なSOFAの改定、ブッシュ米大統領に対する謝罪要求で一致した。

 盧候補は、今回の事件と関連して「韓国の外交が対米追随、批判のない外交で一貫している」とし、一昨年の事件の際のSOFA改定問題の提起に対して李候補が「反米感情を問題にした」ことを指摘した。李候補は「韓米SOFAは米日、米独SOFAに比べて不均衡的だ。国益と国民の安全という外交目標にしたがい是正を要求すべきだ」と、今回は珍しく対米要求の姿勢を示した。

 一方、権永吉候補は「SOFAの改定で刑事裁判権、民間請求権、環境保護問題を解決し、特別協定によって韓国の米軍防衛費分担を減らし、さらに韓米相互防衛条約も改定すべきだ」と主張した。

 不正腐敗・非理問題について、李候補は盧・鄭両氏の候補一本化について「政策が違う」と異議を唱え、現政権や金大中大統領の息子たちの不正腐敗に対する「与党候補(盧氏)の責任論」を提起した。また李氏は、盧・鄭候補一本化後に突如として持ち出した「国家情報院(KCIAの後身)による盗聴問題」に対する盧候補の対応をただした。

 これに対し、盧候補は「鄭氏とは政策合意をみた」「金大統領とは国事を論議したが、不正腐敗を分け合うことはなかった」「盗聴問題が事実ならば、資料の出所を明らかにすべきだ」と一蹴(しゅう)した。同氏は、そのうえで「李候補は地域主義に依存し、家臣(派閥)政治を行い、不正腐敗の疑惑をもたれるなど、三金式の古い政治に堕している」と指摘、「古い政治の清算」「世代交代」を強調した。

 権候補は「李候補のハンナラ党は、親日勢力後裔(えい)党、外勢依存党、守旧勢力本党、財閥党、腐敗元祖党」だと手厳しく比喩した。

対北・統一・安保問題について、保守・守旧の李候補と中道の盧候補、進歩の権候補との理念、政策の違いが明確に示された。李候補は「三段階統一方案」(和解協力―南北連合―民主統一)を提示し、「対北相互主義と検証」を力説した。

 これに対して、「太陽(包容)政策の継承」を掲げる盧候補は「統一はそのような形式的な手順によってできるのではなく、平和の積み重ねが必要だ。そのためには相手側の立場を考慮した信頼構築が必要だ」と反論した。また権候補は「太陽政策の問題点は南北和解と協力にとどまり、軍事的緊張緩和ができなかったことだ。そのためには南・北・米間の平和協定が必要だ」と主張した。

 北の核問題については、盧、権両候補は「対話による平和的解決」を主張した。盧候補は「民族の生存がかかっている問題だけに、忍耐をもって対話し、南側が対話を主導すべきだ」と強調した。これとは反対に、李候補は「北側がジュネーブ合意を違反した」として、「現金支給の中断など強制手段も考慮すべき」だと強硬論を展開した。とくに李候補は「北は核兵器を所有している」と何度も言及。その根拠としてラムズフェルド米国防長官の話を持ち出すなど、対米依存・従属的な姿勢が目立った。

 このようにテレビ合同討論会を通じても、李候補の守旧、反民主、反民族、反統一的な政策と姿勢が明らかにされた。もし李候補が勝って執権するとなれば、地域主義や三金式の古い政治手法が温存される一方、せっかく築かれた南北間の和解と協力・交流は頓挫し、朝鮮半島を取り巻く情勢は冷戦時代に逆戻りするおそれを否定できない。

 そのためいま、韓国民の間では、盧候補が勝利して大統領になれば韓国に新しい政治が行われるであろうし、「太陽政策」は維持されて南北間の和解と協力は増進され、南北間の平和が保障されて統一への機運も盛り上がるだろう、との期待が高まっている。また権永吉候補の得票率が上昇し、民主労働党の掲げる平等社会、市民福祉、朝鮮半島の平和構築実現への基盤が拡大強化されることを望む声も高い。 (金恩澤)


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