民族時報 第989号(02.11.01)


【記事3】

    北朝鮮外務省が核開発問題で立場表明

             談話で米国に不可侵条約提案

 北朝鮮の外務省スポークスマンは十月二十五日、談話を発表し、「米国が不可侵条約で、われわれに対する核不使用を含む不可侵を法的に確約するならば、われわれも米国の安保上の憂慮を解消する用意がある」と、米国に不可侵条約の締結を提案した。(関連記事は三面)

 スポークスマンは談話を通して、「小さい国のわれわれにとって、すべての問題解決の基準点はわれわれの自主権と生存権に対する脅威の除去」だと明らかにし、「われわれは協商の方法でこの基準点を充足することを願っている」と、対話を通した問題解決の意志を再確認した。

 また米国が核開発プログラムの「先破棄」を求めているのは「正常でない論理」と明確に拒否し、「丸裸になって何をもって対抗せよというのか」と述べ、「われわれは、米国が第一にわれわれの自主権を認め、第二に不可侵を確約し、第三にわれわれの経済発展に障害をつくらないとの条件のもとで、この問題を協商を通して解決する用意があることを明らかにした」と指摘した。

 スポークスマンは、@軽水炉建設の遅延A敵対政策および経済制裁の持続B核先制攻撃の対象設定C軽水炉の核心部品納入後に核査察の合意、などを指摘しながら、「基本合意文の四項目のうち、米国が順守したものは一つもない」と指摘した。続いて、「ブッシュ政権は、われわれに対する核先制攻撃を政策化して核不拡散条約(NPT)の基本精神を完全にじゅうりんし、南北非核化共同宣言を白紙化させた」と主張した。

 またケリー米特使のピョンヤン訪問と関連して、「われわれは、特使に米国の度重なる核圧殺の脅威に対処して自主権と生存権を守るために、核兵器はもちろん、それ以上のものも持つことになっていると明言した」と明らかにした。

 

解説・朝米交渉の本質を正しく見なければならない

 十月三日から五日までケリー米国務次官補がピョンヤンを訪問し、ブッシュ政権で初めて朝米間の高位級協議が実現した。ちょうど鉄道と道路を連結する工事が始まるなど南北関係が持続的な進展を示し、朝日関係も首脳会談を契機に正常化に向けた新局面がつくられた時点であった。だから、今回の訪北は朝米関係の改善と朝鮮半島の平和保障を望む内外の大きな関心と期待を集めたのである。

 しかし、ブッシュ大統領の特使というケリー次官補は真剣な話し合いをしに行ったのではなく、米国の立場を一方的に通告し、強要と圧迫を加えるために訪北したようだ。十月十六日、米国政府は朝米間の対話内容を一部公開し、「北は核開発計画の存在を認めた。これはジュネーブ合意違反なので、北に対する制裁を強化しなければならない」と言うように、対北攻勢を繰り広げている。しかし、はたして米国政府の主張が真実なのか、朝米交渉の内容と、この間の朝米関係の推移を冷徹に分析してみる必要がある。

合意の違反者は米国

九四年十月二十一日にジュネーブで締結された朝米基本合意文は四項目で構成されており、核問題の根本解決と朝米関係の正常化のための双方の履行義務を規定している。これを要約すると、北が黒鉛減水炉とその関連施設を凍結する代わりに、米国は二〇〇三年までに二基の軽水炉発電所を提供する(第一条)、双方は政治および経済関係を完全に正常化する(第二条)、米国は核兵器を使用しないし、核兵器で威嚇もしないとの公式保障を北に提供する(第三条)、軽水炉の核心部品の納入が完了した時点で、北は国際原子力機関(IAEA)の核査察を受ける(第四条)である。これは決して、どちらか一方だけの履行を義務化した不平等条約ではなく、朝米両国が対等な立場で同時に履行しなければならない双務協定である。

 ところが、この間の朝米関係の推移を振り返ると、合意内容を履行したのは北であり、終始一貫違反してきたのが米国であることがたやすくわかるだろう。米国の意図的な怠慢により、軽水炉工事は大幅に遅延しており、いつ完工するのかわからない状況だ。またこの八年間、対北敵視政策と経済制裁を続けてきた米国は、今に至っては北を「悪の枢軸」とば倒し、先制核攻撃もいとわないとこけ脅しをかけている。それだけでなく、米国は軽水炉工事を遅延させた責任を負うどころか、文書にもない早期査察を持ち出して、まるで北が履行の義務に反しているかのように国際世論を誤った方向に導いている。これは、米国の先制核攻撃のための名分づくりではないか、との疑問を抱かせる。

 建国以来、米国がはたらいた醜悪な領土拡張の侵略史を見ると、その卑劣さと残忍無道さに歯ぎしりする思いだが、「核拡散防止と世界平和」を隠れみのにしながら、北を武装解除させようとする歴代米政府の圧殺政策こそ、盗人(ぬすっと)たけだけしいといわざるをえない。ブッシュ政権が繰り広げる現在の核騒動は、朝鮮半島と北東アジアで起きている和解の流れをさえぎり、軍事的緊張をつくりだし、冷戦時代の対決構図を維持しようとする計画的な欺まん策にほかならない。

問題解決の方途は何か

 北の現体制を否定するだけでなく、その打倒を目標とし、先制核攻撃も排除しないと米大統領が何回か公言したならば、これは事実上の北への宣戦布告と変わらない。米国が加える核圧殺の脅威に対処し、自主権と生存権を守るために、北が「核兵器はもちろん、それ以上のものも持つことになるであろう」との立場を表明したのは、正当防衛の概念を引用するまでもなく、きわめて当然の反応だと考える。北の外務省スポークスマンは十月二十五日に談話を発表し、米国の一方的な報道内容を是正し、朝米間の懸案問題を解決するための具体的な方途を提示した。北はケリー次官補に「不当な軍事圧力策動には決して屈服しない。米国が北の自主権を認め、不可侵を確約すると同時に、経済発展に障害をつくりださない条件で、交渉を通した問題解決の用意がある」と明らかにしたという。また、北はこの日の談話を通して、重ねて朝米不可侵条約の締結を提案しており、米国が核不使用を含む不可侵を法的に確約すれば、米国の安保上の憂慮を解消する万端の準備ができていることを表明した。

 北が追求するのは戦争でも核開発でもなく、公正な対米交渉だ。これを通して米国の軍事的脅威を解消し、経済を再建することで国際社会の堂々とした一員として認められるというものだ。北は今回の外務省談話で「すべての問題解決の基準は、われわれの自主権と生存権に対する脅威の除去だ。これを充足させるには、交渉の方法もあり、抑制力の方法もあるが、われわれはできるだけ前者を望んでいる」と強調した。米国政府はこのくだりを虚心坦懐に読み取らなければならないだろう。(漢拏山記者)


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