民族時報 第986号(02.10.01)


【焦点】

    中央選挙管理委が大統領選寄託金引き上げ案を提出

 韓国の中央選挙管理委員会(選管委)が九月八日、大統領選挙立候補者の寄託金を現行の五億ウォンから二十億ウォンに引き上げ、新聞広告と放送演説を院内交渉団体に限定するなどを内容とする選挙法および政治資金法改正案を国会に提出して以来、政党、市民団体などから一斉に反発の声があがっている。

選挙法改正の骨子は、選挙運動をテレビ合同演説会と政策討論会などメディア中心方式に転換し、国家が大部分の選挙費用を負担するなど、事実上、完全な選挙公営制を導入するというものだ。

改正案によれば、選挙運動期間中、政策分野別の合同新聞広告費用すべてを国家が負担し、新聞広告八十回とテレビ・ラジオ放送広告百回の場合、費用の半分を国家が負担して、一定比率以上得票した候補者に対しては、残りの半分も選挙後に補填(ほてん)するなどとしている。

このような選管委の改正意見が七月に明らかにされた際、選挙公営制の導入について各政党、市民団体などほとんどがこれを肯定的に評価し、歓迎する雰囲気だった。ところが、提出された内容は、国家が選挙費用の大半を負担する選挙公営制の恩恵を院内交渉団体(民主党とハンナラ党)に限定しており、少数政党(候補)を完全に排除している。選管委はその理由を、選挙公営制実施のためにはばく大な財政が必要であり、少数政党(候補)の乱立を防ぐためと主張しているが、各界からきびしい批判が噴出している。

民主社会のための弁護士の集い(民弁)は十一日、改正案は憲法違反だとする声明を発表、大統領候補の寄託金引き上げと選挙公営制の恩恵を一部の候補だけに限定するなどの内容は、憲法に保障された国民の平等権、選挙権などを侵害するものであり、ただちに撤回すべきだと主張した。市民団体の経実連も、声明で「改正案はむしろ政治改革の意思がまったくない既存政党に利用されるだろう」と訴えている。

今回の改正案に最も憤激しているのは民主労働党だ。党の大統領選挙候補選出大会で権永吉代表を圧倒的多数で選出したその日に、それも日曜日に選管委が発表したことに対して、明らかに民主労働党に打撃を与えようとする意図があるとみているようだ。

権代表は、改正案はハンナラ党と民主党の主張を多く受け入れており、保守政治圏との団合の結果で、成立するなら大統領選挙を拒否せざるをえないと警告している。

民主党とハンナラ党は、ともに表面的には改正案に批判的な立場を明らかにしているが、国会での処理がどうなるかはきわめて不透明だ。


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