民族時報 第965号(02.02.01)


【焦点】

    CIA報告書で「北のミサイル脅威」誇張

  米中央情報局(CIA)傘下の国家情報委員会(NIC)は一月十日、上院情報委員会に提出した「外国のミサイル開発と二〇一五年までの弾道ミサイル脅威」という国家情報評価年例報告書を通して、「北朝鮮のテポドン二号は射程距離が一万五千キロまで伸び、米全土を射程圏に入れることになる」と予想しながら、「二〇一五年までにロシアと中国以外にも、北朝鮮、イラン、イラクなどから大陸間弾道ミサイル(ICBM)の脅威に直面する可能性が大きい」との見解を明らかにした。

  CIAは一九九五年、弾道ミサイル脅威に関する報告書を初めて提出したのに続き、九八年からは議会の要請にしたがって報告書を作成してきた。九八年には「ロシアと中国以外に、二〇一〇年まで米領土を脅かす長距離大陸間弾道ミサイルを開発する国はないだろう」としていたが、翌九九年に「北朝鮮は米本土を攻撃できる大陸間弾道ミサイル実験をいつでも行うことができる」「イランは今後五年以内に開発する」と大幅に修正、今回の報告もそうした分析を再確認したものといえる。こうした評価が米国のミサイル防衛(MD)体制構築を促進する根拠となってきたのは周知の事実だ。

  ところが、北朝鮮などのミサイル脅威に対する評価が、実は米議会の圧力によってわい曲され誇張されていたという事実が明らかにされ、衝撃を与えている。

  ワシントン・ポストは一月十四日、米情報当局が北朝鮮やイランなどの長距離弾道ミサイル開発能力を評価する過程で、米共和党とイスラエル強硬派の政治的意図が作用し、北朝鮮などのミサイル脅威が大きく誇張されたと報道した。

  報道によれば、共和党が支配する議会は、米本土に対するミサイル脅威は当面ないだろうとした九五年の情報当局の分析に反発して、MD体制推進論者のラムズフェルド国防長官を委員長とする委員会を構成し、九八年七月に報告書を作成した。このラムズフェルド報告書で、北朝鮮などの「ならず者国家」が弾道ミサイル開発を決定さえすれば、五年以内に米国の主だった都市を破壊できるだろうと結論づけ、これが情報当局の評価に決定的な影響を与えたという。

  こうした結論に根拠を提供したのは、ロッキードとボーイング社などの軍需産業の技術者で、それも第三世界の国々が米国内の主要な軍需産業のようにミサイル部品や技術にたやすく接近できれば、という非現実的な前提にたっており、大陸間弾道ミサイルに対しても「少なくとも理論上、米国のどこかに到達しえる能力があるすべてのロケット」と拡大解釈したものだという。

  こうしたことからも、「ミサイル脅威」の真相は、好戦勢力と兵器を売りたい軍需産業の政治的、経済的思惑にあるようだ。


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