民族時報 第946号(01.06.01)


【論説】

 南北和解を妨害する米政権

  ブッシュ共和党政権の強硬な対北政策が注目されている。チェイニー副大統領、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官、ライス大統領補佐官ら強硬・保守派で政権中枢を固めたブッシュは、三月の金大中大統領との会談で、金大統領の対北包容政策を支持すると述べた。

  だが、その一方でブッシュは「北朝鮮の指導者に対して懐疑心を持っている」と語り、「北朝鮮の核開発や拡散」に「不透明」な部分があり、その「検証問題」など対北政策の全面的見直しが必要で、それが終わるまでは朝米対話を再開しないと述べた。

  韓米首脳会談での「懐疑的」だというブッシュ発言は、金正日国防委員長に対してだけではなく、金大中大統領にも向けられている、と外電は報じた。つまり、二月末の金大中大統領とプーチン・ロシア大統領との共同宣言で、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の「維持強化」をうたったことと、昨年六月の金正日国防委員長との南北首脳会談について事前に米政府と協議しなかったことに疑念を抱いている、というのである。

  ここにブッシュ大統領及び、その政権のごう慢で強圧的な体質がにじみ出ており、昨年六月の六・一五南北共同宣言以来、強まっている民族的な和解と団結、統一へと好転している朝鮮半島情勢を、南北共同宣言以前の対決状態に逆戻りさせ、米軍の駐留を正当化して北朝鮮を武力で圧殺しようという狙いがかい間見えている。

 その一つが、「北朝鮮のミサイルの脅威」をうんぬんしつつ推進している「ミサイル防衛(MD)システム」構築の構想がある。クリントン前政権は、いわゆる「ならず者国家」の「ミサイルの脅威」や、ロシアなどの「偶発的発射」に備えるという名目で、同盟国や世界各地の駐留米軍の防衛を目的とする戦域ミサイル防衛(TMD)及び、米本土ミサイル防衛(NMD)計画を推進してきた。

  ブッシュ政権は、この二つのミサイル防衛システムを一体化して全世界に張りめぐらし、中国やロシアをけん制して軍事的覇権を握り、米国の一極支配、世界で唯一米国だけが支配し、意のままに動かして見ようとしている。しかも、ABM制限条約の破棄まで企んでいる。

  その一環として米軍部は、すでに日本と台湾をTMDシステムの中に取り込み、MDシステムによる実戦配備までの短期的な対策として、「北のミサイル発射」に備えるという口実のもとに、東海上に迎撃ミサイル搭載のイージス艦二隻を配備する方案を検討しているという。五月初旬に訪韓し、韓国政府にMD計画への「理解と支持」を求めたアーミテージ国務副長官の乗った車が、抗議の市民団体からタマゴをぶつけられた。

  六・一五南北共同宣言以来、民族の和解と交流協力が促進され、駐韓米軍撤退の声が広がり始めた。すると、ブレア米太平洋軍司令官は「北朝鮮は今も太平洋における米国の第一の敵である」と公言してはばからず、ヘスター在日米軍司令官は「日本の安全保障にとって、駐韓米軍の存在が大きい」と、韓米日軍事連携を強調する始末である。

  あまつさえブッシュ政権は、クリントン大統領が保証書簡で義務履行の意志を公式表明した「朝米基本合意文」の全面的見直し問題まで持ち出し、朝米関係への一連の肯定的な結果を白紙化しようとする動きさえ見せている。

 言うまでもなく、九四年十月の朝米基本合意文は、北朝鮮が黒鉛減速炉関連の施設を凍結し、その代わりに、米国側は北朝鮮に二〇〇三年までに二〇〇万KWの軽水炉発電所を建設して提供し、その間は年間五十万トンの重油を提供することを公約した。この基本合意文は朝米両国政府が「核問題」を解決し、相互間の不信を解消して信頼を築き、両国関係を改善するという法的文書である。

  事実その後、昨年十月の金正日国防委員長の特使=趙明禄・国防委員会第一副委員長の訪米と朝米共同コミュニケの発表、オルブライト国務長官の訪朝などを通じて双方の話し合いは急進展し、クリントン大統領の訪朝日程まで組まれた。そうした関係をブッシュ政権は白紙化しようというのである。共和党の一角には、提供される軽水炉も「核兵器開発に悪用されうる」として、軽水炉を火力発電所に修正することまで提案している。軽水炉発電所建設が遅れに遅れて二〇一〇年になろうかという事態だというのにである。もし朝米基本合意文が破棄されるか大幅修正となれば、朝米関係は九〇年代の対決状態に逆戻りすることになる。

  一方で、ブッシュ政権は四月には「作戦計画五〇二七」の一環である「連合戦時増援演習」を、五月には軍事境界線一帯で米第二師団の大規模機動訓練を強行しつつ、北朝鮮に対しては「通常兵器の削減」を要求している。

  ブッシュ政権は、クリントン政権が「核問題」を巡って北朝鮮との対戦を回避して対話に転換したことの教訓をくみ取り、冷戦式の思考と対応を捨て、北朝鮮との関係改善をはかるべきである。そうすることが世界の平和のためにも、米国自身のためにも唯一の選択である。  (金明哲記者)


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