民族時報 第942号(01.04.11)


【解説】

 「歪曲歴史教科書」検定合格の示すもの

 日本の歴史教科書わい曲に対し、韓中両国など国際的な抗議のなかで三日、二〇〇二年から使用される中学校の歴史教科書の修正本がすべて検定に合格した。「新しい歴史教科書をつくる会」の関係者は、「やむをえない修正を余儀なくされた部分もあるが、つくる会が掲げた趣旨の教科書が誕生したことを喜ばしく思う」と感想を述べた。彼らが認めるように、日本帝国主義の膨張政策と侵略戦争を肯定的に記述し、自国に不利か否定的な事実については言及を避けて日本の優越性を露骨に浮かび上がらせ、わい曲した内容で埋め尽くされた教科書である。

「つくる会」の教科書修正本の韓国関連部分の記述を見てみよう。

「韓国の併合が日本の安全と満州の権益を守るのに必要だと考えられた」「英国、米国、ロシアの三国はこれに異議をはさまなかった」「韓国内部に併合を受け入れようとの声もあった」と記述、朝鮮の武力占領を列強三国が黙認した事実をもって正当化し、韓国にも一端の責任があったと転嫁している。また「日本は植民地朝鮮で鉄道施設を整備するなどの開発を行い、土地調査事業を始めた」と、韓国近代化への施恵論を展開している。

日本政府も公式的に認めた従軍「慰安婦」記述はまったく見当たらない。また植民地化の責任を被害国に転嫁し、朝鮮の軍制改革支援は近代化と独立のためであったとでっち上げている。

太平洋戦争を日帝が戦争の名分に掲げた「大東亜戦争」と表記し、「戦争の初期、日本軍が連合軍を撃破したのは、長く欧米の植民地支配下にあったアジア人に勇気を与えた」と、アジア解放のための戦争という帝国主義論理を前面に立て、侵略戦争を合理化している。甚だしくは、戦犯裁判を通して敗戦後日本が国際社会に復帰した東京裁判の正当性にまで疑問を呈している。古代史から近現代史まで、全般を通してわい曲された彼らの歴史観が貫徹されている。

それだけでなく、九十九か所を修正した公民教科書には「憲法は天皇制の維持を確認しており、天皇は日本国を代表し日本国民を統合している」と国民主権の意味をわい小化し、皇国史観を強調している。また「憲法と自衛隊の実態が合わない」と改憲論を展開する一方で、核兵器の放棄に疑問視している。

 問題は、既存の七社の教科書も日本の加害事実を大幅に削除、縮小している点である。これらの教科書も「侵略」を「進出」あるいは「南進」にかえ、「三光作戦」などの加害事実を隠ぺいし、強制性をあいまいにするか過酷性を緩和している。韓国関連の記述を三〇%も縮小し、そのうち四社は「慰安婦」の記述を削除した。

 日本政府が検定で合格させた歴史教科書の問題点をまとめてみると、第一に侵略戦争の正当化、合理化、第二に加害事実の縮小、隠ぺい、第三に皇国史観への回帰、第四に日本の優越性の誇示、第五に学問的に根拠のない話を歴史的事実にでっち上げている、点などである。

歴史歪曲の前面に立つ日本政府

 町村文部科学大臣は三日に談話を発表し、「教科書の検定は、執筆者がどういう歴史観を持っているかを検定で問うものではない」としながら、「修正して合格したものは非常にバランスが取れている」「明白な間違いがないので、再修正は考えていない」と日本政府の立場を明らかにした。

 検定申請時から論議になっていた「つくる会」の歴史教科書に対して、日本政府は「日本の教科書は国定ではなく、検定で政府が関与することはできない」と言い逃れしてきたが、教科書検定審議会が文部科学省の諮問機関であり、文部科学大臣が最終的に検定合格を決めているのは衆知の事実である。わい曲教科書を検定合格させることで、日本政府は八二年の教科書問題後、検定基準を設定した「近隣諸国条項」を自ら放棄したことになる。

 自民党は九三年、「歴史検討委員会」を発足させて「大東亜戦争の総括」を刊行して侵略と加害事実の否定に先頭に立ってきた。「明るい日本議員連盟」「日本の将来と歴史教育を考える若い議員の会」などが相次いでつくられ、戦後の自虐的歴史認識をたださなければならないと主張してきた。「つくる会」の先駆的な役割をした強力な支持勢力が、まさに自民党の右翼国会議員である。

 日本のように侵略の歴史を持つドイツの場合、歴史家らが、民族主義・自国中心主義的にわい曲された教科書の歴史記述を是正するために、東ヨーロッパの歴史学者らと国際的な歴史教科書大会を続けてきた。被侵略国のポーランドと七二年から教科書問題の協議を通して発表した「共同教科書勧告」は、ドイツの歴史教科書に大きな影響を与えている。

 イギリスの場合も、イギリス軍が行ったインド人大量虐殺事件やアイルランド侵略、中国アヘン戦争などの事実を歴史教科書に記述している。歴史は相対的なものである。

 学生らにわい曲された歴史教育を行えば、日本軍国主義が復活して新軍国主義が形成され、再び韓国を侵略し従属国にするため襲いかかるだろう、と憂慮する声が強い。

 唯一、過去の侵略国に対する誠実な謝罪と反省、賠償を回避し、侵略の歴史を正当化、美化する日本は、国際的に信用を失って孤立するだけである。歴史教育は民族意識と国民意識の両性に大きな役割をはたす。わい曲された歴史を学んだ日本の青少年が、再び過去の侵略の前てつを踏まないとだれが保証できるだろうか。日本政府は歴史わい曲に対する抗議の声に真摯(し)に耳を傾けなければならない。

 (金明姫記者)


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