民族時報 第941号(01.04.01)


【焦点】

 東京地裁、「元慰安婦」らの請求棄却 

 原告ら法廷で抗議文朗読

  日本の植民地支配や太平洋戦争の過程で、旧日本軍の軍人・軍属や日本軍「慰安婦」として徴用あるいは強制連行されて犠牲を強いられたとして、韓国人被害者と遺族四十人が日本政府を相手に起こした「アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求訴訟」の一審判決公判が三月二十六日、東京地裁(丸山昌一裁判長)で開かれ、丸山裁判長は「原告の請求を棄却する」との判決を言い渡した。

  判決では、原告らの被害事実についてほぼ認定しながらも、原告が請求の法的根拠として提起した国際法や日本の国内法に基づく補償や請求権の存在について、これまでの戦後補償裁判での司法判断を踏襲して否定した。また原告が主張した未払い賃金の請求についても、韓日条約では両国が個人の請求権を消滅させたのではなく、外交保護権を放棄したものであり、具体的対応は双方が国内法で処理することを確認したもの、としたうえで、日本が六五年に制定し、韓国人の請求権を法的に「消滅」させた「措置法」を有効とした。  わずか一分に満たない「請求棄却」という主文だけの朗読に対して、韓国からかけつけた約十五人の原告代表らは怒りを隠せずに法廷で抗議文を朗読、「アリラン」を歌いながら怒りと悲しみを表した。

  判決に対して、弁護団は「この裁判を通して国内外に大きく問題提起してきた。満足できる結果を期待していたが残念だ」と語った。

  この日夜、都内で開かれた報告集会で、原告らは「きょうの判決はとうてい受け入れられない」「『金目当てだ』という一部の心ない発言に怒りを覚えてきたが、この裁判を通して日本が過去を反省して、加害国から友好的な隣国になってくれることを期待してきた。控訴して勝利を目指したい」と語った。

  九一年十二月に提訴、翌六月から始まり、約九年間で三十四回の公判を数えた裁判は、原告に軍人・軍属とその遺族、そして当時初めて実名で名乗り出た金学順さんら元日本軍「慰安婦」が加わり、六五年の韓日条約の「政府間決着」で放置され続けてきた個人被害の実態を内外に明らかにするとともに、日本政府への責任追及の先駆けとなった。この裁判を契機に、日本政府や日本企業を相手に起こされた戦後補償裁判は現在までに六十件を超えており、戦後補償と歴史清算を求める世論は大きな広がりを持った。

  しかし裁判の過程で、原告のうちすでに金学順さんら六人が亡くなっており、日本政府の反人道的な姿勢と法の壁に加えて、「時間の制約」もかかえている。

  原告らは控訴を表明しており、歴史清算問題を解決するためにさらなる追及の声が求められている。原告らは日本の歴史教科書わい曲問題にも触れて、「戦後補償の実現は正しい歴史認識と教育問題に直結する課題だ」と訴えた。


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