民族時報 第941号(01.04.01)


【主張】

 米国のNMD体制推進に反対を

 「強い米国と力の政策」を騒々しく掲げながら、ブッシュ政権が登場して二か月が過ぎた。しかしこの二か月間に、世界はあたかも八〇年代にレーガン政権が暴れ回った冷戦時代に戻ったような殺伐化してしまった。

 ブッシュ政権は世界の多くの国と摩擦を起こしており、緊張を意図的にあおっている。二月十六日にイラクへの不法な奇襲爆撃を加え、敵対関係の解消を約束した北韓に対しても挑発的な発言を繰り返して、軍事的な脅威まで加えている。米国が主導する世界的な覇権構図に順応しない国を「不良国家」と呼び、ばく大な軍事力で制圧するとの態度は明らかに時代錯誤的なものであり、平和を愛する世界各国民衆の厳しい糾弾を受けて当然である。米国が引き起こすこのような騒動の中身は、ブッシュ政権が無理に進めているミサイル防衛体制である。

 ミサイル防衛体制は、米国本土に飛んでくる大陸間弾道ミサイルを情報衛星で探知して大気圏外で迎撃する米本土ミサイル防衛(NMD)体制と、「不良国家」などの短距離ミサイル攻撃から海外駐屯の米軍と同盟国を保護するとの名分で、九〇年代中盤から進めてきた戦域ミサイル防衛(TMD)体制の二つがあるが、本質は同じである。ブッシュ政権が進めているミサイル防衛体制は、決してその目的が防衛にあるのではなく、非常に攻撃的な概念であることを見落としてはならない。中国とロシアが憂慮しているように、米国が対空防衛網を構築して相手の大陸間弾道ミサイルを無力化させれば、軍事的均衡が崩れて、米国の一方的な軍事覇権が完成するためである。

 軍事専門家らが実用性がないとの理由で反対するミサイル防衛体制に、ブッシュ政権が執着するもうひとつの理由は、共和党の強力な支持基盤である米軍産複合体の死活がかかっているからである。クリントン政権時代に投入された初期の予算だけでも六百億ドルに達するこの巨大な計画を現実化するために、ブッシュ政権は二千四百億ドル必要だとみている。脱冷戦時代を迎えて深刻な経営危機に陥っている米軍産複合体にとっては、向こう十年間にわたる安定的な収入源を保障してくれる確実なプロジェクトなのである。

 しかし、ブッシュ政権のミサイル防衛体制を、われわれが絶対に反対しなければならない理由は、ほかでもなく米政府が推進名分のひとつに北韓のミサイル脅威を誇張して対北強硬政策を打ち出し、南北間の和解と協力を妨害して六・一五共同宣言の実践を破たんさせようとする反統一的な政策のためである。米国は韓国政府にパトリオットミサイルとイージス艦の導入などを強要しており、このままでは韓国政府はブッシュ政権のNMD・TMDに手足をしばられて、今後の数年間、役に立たない米国製武器を導入するために数十兆ウォンのばく大な血税を浪費することになる。

 いま「統一連帯」に結集した民主勢力だけでなく、広範な市民・社会団体が立ち上がってNMD・TMD反対運動を活発に展開しているのは、あまりにも当然なことである。国会でも二月二十八日、与野党の改革派議員二十八人が共同で「米国政府のNMD推進中止を求める決議案」を提出した。民主党の千容宅議員が言うように、「どのような新しいミサイル防衛計画も、軍事的な得がないまま北韓と中国を刺激するだけでなく、対北和解・協力政策に害になる存在」であることを直視しなければならない。米国のミサイル防衛体制に対する全民族的な反対闘争を展開しよう。


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