民族時報 第937号(01.02.21)


【解説】

 国家保安法改正を巡る国会内外の動き

 国家保安法の改廃問題が大きな山場を迎えている。国内民主勢力は一昨年前から大衆的な廃止闘争を展開し、ハンストや無期限の座り込み闘争へと引き継がれている。これに対して、国会は改廃問題を避けてきた。しかし昨年、金大中大統領が北を訪問して金正日国防委員長と首脳会談を行い、六・一五南北共同宣言を発表して統一と和解、協力を約束するとともに、金国防委員長を南に招待したことで、政府も国会も国家保安法問題を避けて通ることができなくなった。同法の改正をめぐって、与野党議員が韓国の政治史上初めて、党派を超えて連帯機構を結成した。連帯機構結成の意味を中心に、国会内の国家保安法改正の動きをみてみる。

与野党議員が共同歩調

 民主党(総裁・金大中大統領)の李在禎議員ら十五人と、ハンナラ党(李会昌総裁)の金元雄議員ら八人の、一、二年生の改革少壮派議員二十三人は十四日、国会内で会議を開き、「政治改革のための議員の集い」(政治改革の集い)を結成した。目的は国家保安法の改正と国家人権委員会法、腐敗防止法の制定など改革法案を共同で進め、他の民生関連法案についても独自の声を上げようというもの。

 与野党議員が政派と利己主義、地域主義を脱皮して連帯機構を結成したのは、政治史上初めてのこと。今後、改革と民生立法では「党議政治」の打破を打ち出しており、「ボス」に支配されてきた保守的な政治スタイルを打ち破るものとして注目を受けている。

 政治改革の集いはこの日、「国家保安法四人小委員会」を構成して同法改正案を作成するとともに、開会中の二月臨時国会に独自案として提出し、自由投票による成立を目指すことにした。また今後、改革法案と民生法案の制定・改正の必要性が提起されれば、市民・社会団体などと連携して積極的に対応するとしている。

 同集いは月一回の定例会を持つことにし、双方三人ずつの運営委員会を構成することにした。近く両党からさらに七、八人の議員が参加する予定だ。

意志のない政権と与野

 民主党とハンナラ党の改革派議員が連帯機構をつくるまでには、国家保安法改正への金大中政権と民主、ハンナラ両党の対応が大きく影響している。

 金大中大統領は、今年の施政演説で国家保安法の改正など改革立法を最大の課題として打ち出し、一月十三日には「北韓が労働党規約を変えなくても、われわれが先に国家保安法の改定を行って懐の深さを見せるのが、わが国の進む道」だとし、十六日には「国家保安法改定は、鼓舞・称賛条項や、北韓に行ったからと処罰する条項など、一部誤用、悪用されていると主張されている内容を直すもの」と述べるなど、改正を主張してきた。

 大統領の指示で与党民主党は党内に国家保安法改定検討小委員会を構成し、また金重権代表は新年記者会見で国家保安法など改革法案の処理に努力すると表明した。しかし、連立与党の自民連は「一字一句変更できない」と頑強に反対し、ハンナラ党は党内論議の自制を求めて実質反対の姿勢を変えなかった。また在郷軍人会や一部の保守的なマスコミが改定反対や時期尚早論を打ち出し、政府と与党の改定方針が揺らぎ始めた。

 金民主党代表は記者会見の直後から「世論収れん」を持ち出して改定作業の遅れを示唆したが、さらに金国防委員長の訪問前の改定は「整地作業」の誤解を生むため訪問後に改定するとし、「これは金大中大統領の意志」だと明らかにした。

 民主党は連立の自民連とハンナラ党が反対した場合、過半数に達しないなどの理由をあげて改定方針を打ち出せないでいる。またハンナラ党は改定反対を「党議」として全議員をしばろうとしている。

成熟度問われる政権

 与野党の改革派議員は年明けから共同の会合を開いて準備を進めてきた。「党議拘束」を排除して自由投票にすれば、民主党のほとんどとハンナラ党の一部、自民連の一、二人を含めて、改定の可能性があるという。政治改革の集いが主張するのは、第二条の「政府潜(せん)称」と第十条の不告知罪条項などの削除と、第七条の鼓舞・称賛罪適用の条件緩和などに限定されており、廃止とはほど遠い。しかし、反共・保守社会と政治に抵抗して部分的にも改正しようとする改革派議員の活動は今後、政治の民主化に期待をもたせるものだ。

 明洞聖堂入り口での「無期限座り込み闘争団」と並行して、「国家保安法廃止国民連帯」と「正しい国家人権機構の実現のための民間団体共同対策委員会」「腐敗防止立法市民連帯」の三団体が「三大改革立法戦取のための国民行動」機構を作り、全国的な闘いを展開している。

 国家保安法の廃止は、民族統一と民主化のために一日も遅らせることのできない歴史的な要求になっている。政府当局が進んで同法を廃止するよう求める声が強い。 (梁珠賢記者)


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