民族時報 第935号(01.02.01)


【論説】

 ブッシュ新政権の対北韓政策を見る

 ジョージ・W・ブッシュ元テキサス州知事は一月二十日、米国第四十三代大統領に正式に就任した。彼は就任あいさつで、「米国と自由を脅かす敵は過ちを犯してはならない」とし、「われわれに対する攻撃と不純な意図には決然として立ち向かう」と「力の外交」を強調した。こうしたブッシュ政権のタカ派的な体質は、新政権の外交安保チームの顔ぶれにも反映されており、南北首脳会談と六・一五共同宣言によって切り開かれた、南北の和解と統一の流れに障害をもたらすのではないかと憂慮されている。

 ブッシュ政権の韓半島政策を担当する外交安保チームの主な顔ぶれは、湾岸戦争の司令官だったコリン・パウエル国務長官、親台湾派のドナルド・ラムズフェルド国防長官、そして「現実外交」を強調するコンドリーザ・ライス・ホワイトハウス安保保障担当補佐官らだ。

 パウエル国務長官は十七日、人事承認のための上院外交委員会公聴会で、対北韓政策を包括的に見直す方針を示した。彼は「北韓の独裁者(金正日国防委員長)が自衛の範囲をはるかに上回る大規模な通常戦力を配備し、ミサイルや大量の破壊兵器を開発しているかぎりは、米国とアジアの同盟国は警戒を怠るべきではなく、持続して警戒状態に臨むべきだ」との原則を強調し、@ミサイルの開発と輸出、韓国の脅威となっている戦力配備問題が根本的に解決しないかぎり、人道的な食糧支援以外の見返りは与えないAクリントン政権の関与政策を続けることに問題はないが、性急な関係正常化には走らないB日本と韓国との協議を重視し、現実的かつ非常に慎重に対応する――と語った。

 「相互主義と警戒感」を強調し、金国防委員長を「独裁者」と呼称して、クリントン前政権の北韓との合意を白紙に戻すようなパウエル長官の発言は今後、北韓・米国関係が難航することを暗示している。

 また、ラムズフェルド国防長官も十一日、クリントン政権が配備の先送りをした米本土ミサイル防衛(NMD)、戦域ミサイル防衛(TMD)の開発と配備に意欲を示しながら、北韓を「世界のミサイルの主要な供給元だ。彼らは、ミサイル能力を持つことで、近隣諸国の対応に影響を及ぼすことができると考えている」と、脅威の元凶と位置づける発言をした。

 こうした一連の発言は、ブッシュ当選に一役買った米国の軍事産業に対する予算配分の必要性と政権のタカ派的体質から出たものだ。同時に外交安保チームの、九〇年代の北韓・米国間のし烈な政治・外交戦および交渉過程と合意に対する、不十分な理解水準を示しているともいえるのである。

 クリントン政権下で、北韓・米国関係は交渉と戦争の瀬戸際を行きつ戻りつしながら、結局は米国が「ペリー報告書」――@金正日体制に崩壊の兆候はなく取り引きせざるをえないA戦争をすれば勝利するが、ばく大な被害を受けるBジュネーブ基本合意の堅持C交渉で核・ミサイルイ脅威を除去し国交を正常化するD北韓がこれを拒否したら抑止戦略を発動する――に基づいて、北韓との交渉による共存関係の道へと進むことを選択し、決定する過程だった。それは米国にとって、決して「望んだ選択」ではなかった。長くは韓国戦争以来五十年間、短くは九〇年代の十年間、米国がありとあらゆる手段で封鎖・圧迫・威嚇を行使しても、ついに北韓を屈服させられなかった、という事実を認めた結果から導きだすほかなかった、「強要された決断」だったのである。

 ブッシュ大統領をはじめ、外交安保チームの「威勢のいい発言」が、こうした事実の重みを本当に理解したものではないにしても、北韓・米国関係が、クリントン前大統領の訪朝=「テロ支援国家」指定解除まで展望された段階から、ある程度の後退と調整局面に入るのは不可避だろう。しかし、ブッシュ政権が「ペリープロセス」に基づく政策を継続する以外、現実的な選択肢がありえないことに気づくまでに、そんなに時間はかからないはずだ。

 北韓はクリントン政権に対したように、「誠意に対しては誠意で、威嚇や脅迫に対しては絶対に屈服しない」姿勢を、ブッシュ政権に対しても貫くだろう。そのうえ、G七のうちすでにイタリア、カナダ、イギリスが北韓と国交を樹立し、ドイツも樹立を閣議決定した。北韓を取り巻く国際環境は大きく変化しているのである。

 金大中大統領は、国民からの批判の高まりと支持率の低下を、南北関係の進展によってばん回しようとしている。そのため、ブッシュ政権に対して前政権の政策を継続するよう働きかけるだろう。

 そして何よりも、米国の新自由主義政策による経済支配と生活苦、SOFA改正交渉や老斤里(ノグンリ)住民虐殺事件で見せた米国のごう慢な態度などで高まる一方の韓国国民の反米感情は、米国の好戦的な韓半島政策の継続を許さないだろう。

 ブッシュ大統領は就任前の十四日付のニューヨーク・タイムズとの会見で、「北韓がこれ以上、近隣諸国の脅威とならないと判断された場合、韓国をはじめ同盟国と協議を行った後、駐韓米軍の削減を検討する方針だ」と明らかにした。彼がこれを現実化の決断を下さざるをえない状況は、意外に早く訪れるかもしれない。

 (李奉洋記者)

 


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