民族時報 第887号(99. 7. 1)


 

 論説

 

 マスコミ統制を図る「言論団」を解体せよ

 

 金大中政権は、各種の疑惑事件を暴露して政府を困惑させたマスコミの統制を画策している。六月十八日付の東亜日報は、国家情報院(国情院)が「言論団」を新設する計画だと報道した。国情院に広報補佐官室があるにもかかわらず、対共政策室の下に言論団を新設する方向で組織改編するというのだ。これは「ミンクコートロビー」事件の報道を「マスコミの魔女狩り式の世論扇動」と批判した金大統領の意中と無関係ではないようだ。

 言論団の新設に反対するハンナラ党は「これは過去の政権のように、査察と工作を通して言論界を握ろうとする陰謀であり、反改革的な発想である。国情院の計画どおりに組織改編されれば、言論人への懐柔・圧力が頻発して言論の自由が相当程度、脅かされる可能性が大きい」と指摘した。ハンナラ党のスポークスマンは声明を通して「国民の政府の志向が、結局『統制国家』『情報国家』だったのか。国内政治への介入をやめて生まれ変わるといった国情院の宣言は、まったくのうそではないか」と詰め寄った。野党のある議員は「金大中政権は安保破たん・政治破壊・道徳性喪失などによって、だんだん政権安保に赤信号がともり、国民の目と耳をふさぐための言論統制に没頭している」と非難した。

 野党はもちろん、当事者のマスコミも言論団新設を批判している。東亜日報は翌日の社説で「内部改革を打ち出した国情院が、一年余で過去の姿に戻ろうとしているのではないかと憂慮せざるをえない。過去、情報部や安企部のマスコミ対策が、言論統制と干渉などの工作的な活動に偏ったのは、三つ子でも知っている。権力が言論を管理の対象とする時代は過ぎた。時代の変化に伴って情報機関も変わらなければならず、いまの国情院は過去の情報部や安企部とはまったく違う「国民の政府機関」であることを自認してきた。それならば、たとえ事実がそうでなくても、誤解と憂慮の素地が大きく、情報機関の生理上、程度を越えやすい「言論団」新設の推進は中断されなければならない」と主張した。

 言論団の創設は、最近では目がくもり耳が遠くなって民心を正しく見ることができない金大統領のマスコミ感覚が、強硬方向に旋回したものと見られる。九五年十二月当時、野党総裁だった金大中氏は、国民会議の地区党創党大会で次のように述べた。「金泳三政権は検察とマスコミを使って政治をしようとしている。政府は(早版の)新聞が配達されて十分もしないうちに新聞社に抗議電話をするなど、ますますマスコミに圧力をかけている」。それから四年が過ぎた今日、自分が批判していた金泳三政権の言論統制を踏襲しようとしている。金大統領が就任した直後の九八年三月三日、記者懇談会で「安企部が政治に介入するのはもちろん、法規定外の権限を行使することもなくさなければならない」と述べた改革意志にも逆行する言論団新設を強行している。

 マスコミとの蜜月期間が終わり、マスコミの政権批判が頭をもたげはじめた時期の九八年十二月、大統領は「マスコミも自ら改革に乗り出さなくてはならない」として赤信号を送った。「ミンクロビー事件」でマスコミの集中砲火を浴びて政権が揺らぎはじめると、ついに金大統領はマスコミに向かって刀を振るった。九九年六月十日、国民会議議員との晩さん会で、金大統領は「マスコミが魔女狩り式に世論を扇動したという話がある」と述べた。

 金大統領のマスコミ感覚の変化が示しているように、政権を握る前と後で違いがあり、執権初期の蜜月期間のマスコミ感覚と政権危機時のマスコミ感覚が違う。執権与党の気にいる記事には満足するが、最近になってマスコミが政権批判をはじめると、くつわをはめようとしているのだ。権力の座に上がった後、金大統領はマスコミを政権安保用に利用しようと、言論団を新設するところにまで至ったのだ。野党時代に権力・言論癒着を声高く批判していた彼が、大統領になってから「権力・言論癒着」を追求している。

 金政権が、「四大疑惑事件」に対するマスコミ批判を「反改革勢力の攻勢」だと決めつけ、これを統制するために言論団を作ろうとするのは常軌を逸している。最近、マスコミが「四大疑惑事件」を集中報道する理由は、疑惑事件に対する国民世論を伝えようとすることにある。疑惑によって国民世論が悪化し、民心が政権から離れている状況を伝えることで、政権に警鐘を鳴らしているマスコミに向かって、「反改革勢力の攻勢」「魔女狩り式の世論扇動」だと反応するのは、本末転倒だ。

 すでに政府内にはマスコミ担当部署が多くあるのに、国情院に言論団を別途作ろうとするのはマスコミの侍女化をねらったものであり、これは独裁に向かう道だ。マスコミを掌握しようと五月三日に国政広報部署を新設したのは、大統領の公約である「公報部署の廃止」を正面から否定することだ。国政広報部署が設置されて一か月半後の言論団新設は、政権側のち密なマスコミ統制作戦にほかならず、国民の口を封じようとするものと見られる。国民の口をふさいでおいて、うまくいった政権を見たこともなく、国民の言論を統制して最後まで無事でいた執権者も見たことがない。国民の目と口をふさごうとする言論団は解体されなくてはならない。国情院の言論団が作り出す凍土の王国を、国民は決して許さないだろう。

 (全東秀記者)

 


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