民族時報 第886号(99. 6.21)


 

 論説

 

 「4大疑惑事件」と金大中政権

 

 「高位公職者宅連続窃盗事件」を始発点に、「三・三〇再選挙の国民会議五十億選挙資金説」「ミンクコートロビー事件」「大検公安部長のスト誘導発言」と続くいわゆる「四大疑惑事件」で、金大中政権が最大の危機に陥っている。逮捕された窃盗犯が、高位公職者らの自宅から超豪華な宝石と外国紙幣の札束を盗んだと自供した「高位公職者宅連続窃盗事件」で、政権の道徳性が揺れはじめた。

 これに続き、選挙資金に五十億ウォンが使われたとのハンギョレ新聞の報道によって、不正選挙の先頭に立った与党の本性が暴露された。さらに、これを報道したハンギョレ新聞に対し、百一億ウォンの訴訟を起こした与党の言論統制を非難する世論が沸き立った。そして新東亜グループ会長の夫人が逮捕された夫を釈放させようと、金泰政・前検察総長(八日に法務部長官を解任)の夫人にミンクのコートを贈ったという「ミンクロビー事件」に至って、国民世論が爆発した。この事件と関連して、金泰政氏を大統領が庇(ひ)護すると、国民の非難の矛先は金大統領にも向けられた。そのうえ「検察が昨年十一月、造幣公社労組ストを誘導した」との、秦炯九・前大検公安部長の発言が収拾できないほど大きくなり、政権危機を迎えたのだ。

 「四大疑惑事件」は偶然に発生したものではなく、道徳不感症にかかった金政権が引き起こした必然的な結果であり、これまでの政権と違って、道徳性を生命とする金政権で国政疑惑事件が相次いで起きるのは、政権の終末を早めるだけである。あまりにも早く政権がぐらつく音が聞こえるのも、まさしく道徳性喪失のためだ。

 問題は、道徳性喪失に鈍感な金大中大統領が疑惑関係者らを擁護していて、時遅くして事態収拾に乗り出すなど、国民の強い改革意志とは呼吸が合わないことにある。「ミンクロビー事件」で示された民意をきちんと読めなかった大統領が、金法務部長官を更迭した後も自分を合理化し弁明した。

 先の大統領選挙の際、金前検察総長は金大中候補の「大統領選挙秘密資金の捜査」を避けながら、李会昌候補の息子の兵役問題を拡大させて、金候補の大統領当選に決定的な影響を与えた。したがって、金大統領は秘密資金捜査の留保に対する「恩返し」として、金長官を最後まで留任させようとしたと思われる。それにもかかわらず、金大統領は「大統領選挙の時、検察総長は法律家として正しい判断を行った」と持ち上げ、金泰政氏の辞任を主張した者を攻撃した。金大統領はまた、「ミンクロビー事件」を粘り強く追跡したマスコミの報道姿勢にねらいを定め、「今回のこと(報道)について、一度検討しなければならないと考える」とし、マスコミに責任を転嫁した。

 金大統領は「四大疑惑事件」で国政が動揺しているにもかかわらず、自己合理化に執着している。「ミンクロビー事件」は大したことではないのに、マスコミが国民を扇動して事態が拡大されたとの大統領の現実認識が、国の政治をこれほどまでに落とし込めた。

 金大統領が直接「四大疑惑」に対して謝罪し、道徳的疑惑をきれいに明らかにしなければ、嵐のように怒った世論をなだめることはできない。ところが与党は「スト誘導工作」事件に対してだけ国政調査を行うとねばっており、いまだに事態の深刻さに気づいていない。いま、「第二の六月抗争」へと気運が高まっていく民心の流れを読むことができず、権力のうま味に酔っている。与党は「スト誘導工作」事件に抵抗する労働者のストライキが、「第二の六月抗争」の導火線になっている現実を見ようとしない。むしろ、与党単独で国政調査を強行するなど民心を刺激することだけを繰り返し、「対策のない政権」の実体を見せている。

 「スト誘導工作」事件は単純な疑惑にとどまらず、造幣公社を公企業構造調整のモデルにするために、ストライキが解決段階に入ったのに検察が意図的に超強硬案を打ち出したのだ。マスコミに暴露された「第二回公安対策協議会」の文書は、政府が造幣公社の事態に組織的に介入したことを示している。検察が労働部などを押しのけて労使関係の対策を主導したのは超法規的なやり方であり、「検察国家」を連想させる。検察が公安対策の一環として労使問題を扱ったのは、ファッショ国家で起きる独裁の発想だ。したがって、公安対策協議会をただちに解体しなければならない。

 一方、公安対策協議会のシナリオに従って会社側が労使協商を打ち切り、労組のストを不法と断定した証拠があふれ出ると、労働者がゼネストを宣言して立ち上がった。民主労総はいうにおよばず、政府に協調してきた韓国労総までもゼネストに参加するなど、政府段階で収拾不可能な状況になっている。万一「ミンクロビー」事件で政府に不信感をいだいている一般国民までがゼネストの波に加勢すれば、「第二の六月抗争」が起きるだろう。

 金大中政権が登場して一年四か月目に、国民抗争の初期の段階に入った。これまで世論をリードしていた金政権が、「四大疑惑事件」を糾弾する世論に押されている。政権出発後、初めて迎えた深刻な危機状況だ。十二年前の六月抗争のときに叫んだ「独裁打倒」の怒りの声が、金政権に向かって押し寄せている。「ストをすれば国が滅びる」と言っていた政府が、むしろストをするよう工作して労働者を「悪者」に仕立て上げ、連行・拘束するなど弾圧した政権を、だれが信じて従おうとするだろうか。国民は警鐘を超えて弔鐘を鳴らし始めたことを、金大統領はよく知らなければならない。

 (李正萬記者)

 


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