民族時報 第869号(98.12.1)


 

 解説

 

 IMF管理下の1年を振り返る(中)

 

 郭 洋春(立教大学助教授)

 

 金融機関の構造調整

 IMFとの主要合意の一つは構造調整を通した経済改革であった。しかし、構造調整は遅々として進んでいない、というのが国内外の評価である。

 当初、構造調整の中でも、通貨・金融危機の責任者と非難された金融機関に対する構造調整は、早くから推し進められた。その結果、銀行、総合金融会社(ノンバンク)、証券会社、投資信託会社、リース会社など金融圏全体で九十七の会社が閉鎖された。また、人員も九七年末に比べて三〇―四〇%削減され、今年だけでも三万人の人員が整理解雇(リストラ)されている。

 こうした金融機関の構造調整を受け、IMFのカムドシュ専務理事は十月の年次総会で、「韓国は救済金融を受け入れている国の中で、模範国である」と評価したほどである。しかし、国際的信用格付け会社であるムーディースは「韓国の金融システムは事実上、破産状態にある」と発表し、IMFの認識を真っ向から否定した。なぜならば、国際的基準から見たとき、韓国の金融機関の不実債権は百七十七兆円に上り、企業の構造調整過程でさらに不実債権が増える可能性があるからである。つまり、金融機関の構造調整をいくら行っても、企業、特に財閥企業に対する構造調整が行われなければ無駄である、という判断なのである。

 企業に対する構造調整

 では企業に対する構造調整はどのようになっているのか。これはひと言で言って、二極化している、ということだ。すなわち、六―六十四大財閥のうち、不渡りや協調融資停止などによって二十数の財閥が事実上解体し、主力企業一、二社を残し単なる専門企業や超ミニ財閥へと変容した。また、この過程で十四財閥の四十三の系列会社と中堅大企業二十九社が売却され、合わせて二千五百企業が整理された。さらに、中小企業の場合には、二万余社が不渡りを出し、一万三千余社がストライキ中である。しかし、これら企業は韓国の企業群の中で、それほど大きな役割を担っているわけではない。

 要するに、対国民向けには底辺層の企業に対する構造調整ばかり大々的に行っているが、今回の通貨・金融危機の直接的な責任企業である大財閥に対する構造調整は遅らせている、ということだ。現に、ヘテ、ニューコア、チンド、韓火、東亜建設、ウバンなど十一大財閥は二兆九千九百二十七億ウォンの協調融資を受けている。

 進まぬ財閥の構造調整

 そして、企業に対する構造調整が最も進んでいないのが、五大財閥に対するそれである。六月、五大財閥の二十の系列会社が廃業対象に分類されたが、大部分は売上げ比重が低い小規模の系列会社へと編入したり、他の系列会社との合併方式により再編成されただけであった。五大財閥は、主取り引き銀行に提出した財務構造改善計画で、系列会社を三〇―四〇%減らし、九九年末までに負債比率を二〇〇%まで下げる、と約束した。しかし、十月に公正取引委員会が調査したところによると、企業廃業が本格化した四月以後、三星は二社、大宇とLGが各々一社系列会社を増やしているのである。さらに、前述した負債比率削減についても、逆に例外認定を要求するなど、構造調整努力どころか従来のタコ足式経営を持続させようとしている。これに対し、イギリスのファイナンシャル・タイムズは最近の六―六十四大財閥の構造調整を「速い足」と述べ、五大財閥の構造調整を「カニの足」とちょう笑している。

 韓国企業の構造調整がうまくいくかどうかの最大のポイントは、一にも二にも巨大財閥の構造調整であり、それなくしては韓国経済の再生はありえない。金大中政権が、真に韓国経済を再生させようとするならば、五大財閥に対する抜本的構造調整を断行しなければならないが、残念ながら、その兆候は今のところ見ることはできない。それを行わない政権は歴代政権と何ら変わることがない、といわざるをえない。金大中政権の真価がいま問われようとしている。

 (つづく)

 


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