民族時報 第868号(98.11.21)


 

 解説

 

 金大中政権下での人権弾圧の実態(7)

 

 さらに悪化する事態

 本シリーズで取り上げた事例のなかで、一つとして解決の方向に向かっているものはなく、事態はさらに悪化するとともに、新たな闘争も次々と生まれている。

 八・一五特赦で、順法誓約書を書いて仮釈放された九十四人のうち、二人の学生が順法誓約書の撤廃を要求して、九月下旬から明洞聖堂でろう城を始めた。これに対して、当局は「順法誓約書の撤廃要求自体が仮釈放違反」だとし、再収監の脅しをかけてろう城を中止させようとしている。署名者のろう城は今月に入って十六人に増え、順法誓約制度への批判の高まりを見ることができる。

 公安当局は今月初旬、民族統一愛国青年会の会員九人ら二十二人を国家保安法違反で拘束、新たな「でっち上げ事件」や統一運動弾圧が憂慮されている。しかし、もっと驚くことに警察が十二日、来年度の韓総連総学生会長の立候補者が韓総連の路線を支持すれば、国家保安法上の利敵団体構成容疑で拘束すると発表し、誕生してもいない団体を「利敵団体」と決めつけたことである。

 当局は十三日、保安観察法に違反しているとして、九七年九月に出所した李三石氏と、韓総連代表として九五年の汎民族大会に参加したため拘束され、四月に出所した李恵貞さんを拘束した。同法は、国家保安法違反者のうち三年以上の刑で投獄された者は保安観察処分の対象になり、管轄警察に出所事実を申告しなければ二年以上の懲役か百万ウォン以下の罰金に処せられる内容だ。

 八日に行われた「九八民衆大会」の参加者が、解散地点で予定どおり解散しようとしたところ、警察がこん棒を振りかざして襲いかかり、十四人の市民や学生らを連行した。これに抗議した市民が盾で殴打され負傷している。

 これらの弾圧事件以外にも、日常的な人権弾圧として不法検問があり、無差別連行・拘束と不当な判決によって、刑務所が超過密になるだけでなく、教導官や暴力団などによる暴力で、刑務所内が無法地帯になっている。

 旧政権下の事件は放置

 民主化と統一促進のために歴代独裁政権と闘い、多くの人が人知れず殺されたり、「利敵団体」などにでっち上げられ、個人や団体関係者の多くが無実の罪で投獄されている。なかには金大中氏と志を同じくし、同氏の呼びかけで闘争に出た人もいる。このような犠牲者の真相究明や名誉回復などは、良心囚の釈放とともに政権出発直後に実行されなければならなかった。

 犠牲者の家族らは金大中大統領と「国民の政府」に大きな期待をかけた。しかし、政権出発後、九か月になっても何一つ手がつけられていない。これらの要求を放置しているのもまた、人権弾圧である。

 家族らは自らの闘争でかち取ろうとしている。その一つは、民主化実践家族運動協議会(民家協)の政治犯釈放の要求だ。民家協は、独裁政権時代に続けていた木曜集会を三月から再会し、現在も継続している。そして各界の民主勢力と共同で「民衆の基本権保障と良心囚釈放のための共同対策委員会」を発足させ、百万人署名運動を展開している。

 闘争の過程で命を落としたり疑問死した夫や息子、娘らの真相究明や名誉回復を要求しているのは全国民族民主遺家族協議会(遺家協)である。遺家協などは「民族民主烈士・犠牲者の名誉回復と疑問死の真相究明のための汎国民推進本部」を結成し、何度もキャンペーンを行い、機務司など弾圧組織に抗議し、今年中に特別法を制定せよと求めて国会前でろう城闘争を継続している。遺家協は、金泳三政権時代に活動を休止した後援会を再建した。良心囚釈放や犠牲者の真相究明運動などは、独裁時代より大きな運動になっている。

 人権弾圧は金大中「国民の政府」になってさらにひどくなっている。「人権弾圧政権」と呼ばれるゆえんである。金大統領が万一、就任一年目か来年の八月十五日に全政治犯を釈放したとしても、それは金大統領の成果ではなく、国民の民主化を望む人権闘争の結果、やむなく実行せざるをえなくなったにすぎない。

 (おわり)

 


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