民族時報 第866号(98.11.1)


 

 解説

 

 金大中政権下での人権弾圧の実態(5)

 

 背中から貫通

 金大中大統領の「国民の政府」になって、窃盗容疑者などへの無差別なけん銃乱射が急増し、犠牲者が続出するなど「警察による人命軽視」が問題になっている。

 @八月三十一日午前七時ごろ、ソウル市クァンジン区の住宅街で、民家に侵入した金君(十七歳)に対し、四人の警察官が十六発の実弾を発射して金君は負傷した。

 A九月十三日午後五時ごろ、ソウル市東大門区で、盗難車でソウル大病院に逃げ込んだ二十代の男性に、二人の警察官が病院内で十発の実弾を発射し、男性は背中に銃弾を受けて重体になった。

 B同月十四日午前零時ごろ、忠清南道唐津郡で、資材を盗もうとしたシン君(十九歳)が背中を撃たれて死亡した。

 この時点ですでに警察の人命軽視が問題になり、専門家らは警察が銃器を使用するとき、犯人によって対応を変える「警察比例の原則」を守らなければならないと指摘した。しかし、けん銃の乱射は続いて中学生まで犠牲になった。

 C十月十五日午後八時ごろ、ソウル市銅雀区で、盗んだオートバイで逃げようとした中学三年生の李君(十五歳)が背中を撃たれて死亡した。

 D十九日午後七時ごろ、ソウル市西大門区で民家に盗みに入ろうとした李氏(五十八歳)が追われて屋根に逃げたが、二発の銃弾を大腿(たい)部と背中に受けて死亡した。

 これらの事件に共通するのは、けん銃の使用が時と場所を選ばず、市民を恐怖に陥れ、これといった凶器を持っていないものも十分に説得せず、逃げようとするものを後ろから背中を撃って重傷や死亡させるなど、「過剰に対応」していることだ。

 十一人の警察官告発

 国会の国政監査資料によれば、今年一月から八月までの警察官の銃器使用は二百七十九件で、昨年一年間の二百九十五件にほぼ肉薄している。そのうち犯人検挙で使用された回数は二百十三件で、四五%増加している。とくに七月に装備関連規則をゆるめたことから、八月は一か月で五十一件の発射事件があった。警察庁は十月二十日、今年に入って銃器使用で六人が死亡し、二十数人が負傷したと発表した。

 警察官の職務執行法は「武器使用以外のほかの手段がないと認定される相当な理由があるとき」、銃器を使用するよう規定されている。しかし、七月の規則改定で「最初に二発の空砲を入れる」とした規定の代わりに、一発の空砲を入れるようにしている。

 問題は何発の空砲を撃つかにあるのではない。ソウル市江北区の一派出所の警察官は「国民の生命の安全を守るという原則よりは、犯人の検挙に集中せよとの首脳部の指示に追われている」と述べている。「殺しても逃がすな」ということだろうか。

 このような状況に対して、民家協など十の人権団体で構成する韓国人権団体協議会は二十日に声明を発表し、「犯罪の容疑者がどのような罪を犯していようと、警察の銃器使用という即決処分によって死ななければならないほどの大きな罪を負った人はいない」とし、現政権の人命軽視を強く批判して「生命の重要さに対する人権教育」を求めた。

同協議会は二十二日、「銃器を乱用して被害者が死亡するか、重傷を負うなど、警察官職務執行法および職権乱用の容疑がある」として、銃器を乱用した警察官十一人をソウル地検に告発した。訴えられるべきは政府自身だ。

(つづく)


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