民族時報 第847号(98.3.21)


 

 インタビュー

 

 「3・13特赦」で思うこと

 

吉松 繁・全国会議共同代表に聞く

 

 ――金大中大統領が就任し、十三日に特赦で在日韓国人政治犯の孫裕炯氏、金炳柱氏の二人と在日関連政治犯の朴菖煕氏らが釈放されたが、今回の措置について、どう思うか。

 「古い体制を部分的に引きずった政権だが、金大中氏自身はら致事件をはじめ、さまざまな弾圧を受けながら四度も死線を乗り越えて大統領になった人であり、実際、彼自身が政治犯として獄中経験をした人だから、獄中につながれている政治犯への思いは、歴代のどの大統領よりも強いだろうと思っていた。その意味で、期待していた。高齢の在日韓国人政治犯二人が釈放されたことは当然の措置で、喜ばしいことだ。これも、長い救援運動の成果だと思う」

 「その一方で、実際のところ、政治犯全員の釈放はないだろうと思っていた。なぜなら、先ほど指摘したように、旧体制を引きずった政権であり、部分的な改革が言われているが、依然として安企部は強固に機能するだろうからだ。しかし、引き続き救援運動を粘り強く展開しながら、今回、特赦の対象からはずれた残りの在日韓国人政治犯二人の釈放を近いうちにかち取りたい」

 ――政治犯を生み出す根本的要因である国家保安法の改廃が必要だと思うが……。

 「それはもちろん、安企部の民主的な改革と並んで、国家保安法も改正されるべきだ。新生国家建設のためにも、金大中大統領は民主主義の根幹に触れる人権抑圧と暴力装置である安企部を根本的に改革し、国家保安法を改正すべきだろう。そうしない限り、政治犯が引き続き生み出されるばかりか、南北の和解と対話はいつまでも進まないだろう。また何よりも、金大中大統領が進める改革は上滑りし、表面的なものにとどまるだろう」

 ――今後の政治犯救援運動のあり方について。

 「二人の在日韓国人政治犯が獄中に捕らわれている以上、引き続き救援運動は必要だ。つまり、救援運動の目的は政治犯の生命と人権、家族を守ることからスタートしたもので、在日政治犯全員が釈放されるまで、この課題を守り、国内や国際世論に訴えていかなければならない」

 「全国会議は、在日政治犯の釈放をかち取るために運動する救援団体であり、基本的に国内政治犯は対象にしていない。なぜなら、在日政治犯の救援運動は、日本人自身の人権にかかわる問題だからだ。したがって、早い時期に在日政治犯二人の釈放をかち取りたい。そのときは、救援運動団体としてひとつの区切りをつけることになろう。わたし自身の区切りも、そこでつけたいと思っている。とにかく二十八年間、政治犯救援運動を続けてきたが、大きな歴史の流れを感じる。救援運動に区切りをつけた後は、日本人として南北の和解と統一に向けた運動に連帯し、日本の対朝鮮半島政策を変えさせていく運動を作り出していきたい」

 ――金大中大統領に望むことは何か。

 「まず、長い間国内外で民主化・統一運動を行ってきた民主団体や個人に対する名誉回復を図るべきだと思う。そして、国内への自由往来を保障すべきだ。それが、金大中政権に課せられた歴史的使命であり、原則だと思う。しかし、わたしの場合のように、当事者が韓国への入国を働きかけていったり、名誉回復を訴える運動を行うことも、これからは重要になってこよう。自分たちの権利を自分たちの力で、闘い取っていくことだ」

 「次に、金大中大統領が打ち出した政策を忠実に実行してもらいたい。整理解雇制が導入されたが、労働者の生存権と人権が十分に保障されなければならず、そのための政治的措置を速やかに立てるべきだ。それが民主主義の基本だ。そして重要なことは、民間を含めた人的交流を通して、統一への突破口を切り開いてもらいたい。『国民大和合』『国民の政府』を掲げて登場した金大中大統領が、国民の声や要求を反映した政治を行えるかどうか、見守りたい」

 (P)


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