民族時報 第847号(98.3.21)


 

 主張

 

 良心囚の釈放が15%の赦免

 

 五十年目に野党政権が誕生したことと、金大中大統領自身の過去の経歴に照らして、新政府が出帆すれば良心囚の大幅な赦免が行われるものと、多くの国民が期待していた。民家協など各界の民主団体や人士は、今回こそは「選別なき」良心囚の釈放を新政府に強く要求し、海外でも韓統連を中心に良心囚の全員釈放を求めるハガキ署名運動を展開、一万通近いハガキなどを金大中大統領に送った。

 しかし、新政府が十三日に行った特赦措置では、良心囚の釈放はわずか七十四人に終わった。これは、金泳三政府の出帆時の水準にも満たない、あまりにも失望に耐えない数である。これに対して、民家協や全国連合、KNCC、参与連帯、経実連などの在野、人権、宗教、市民団体などが「良心囚釈放の水準は極めて不十分である」との声明を発表した。

 とくに民家協は「全体良心囚の四百七十八人のうち、一五%にすぎない七十四人だけを釈放したのは、良心囚の二八%に当たる百四十四人を釈放した金泳三政府の出帆当時の赦免、復権の水準にも満たないもの」とし、「国民政府の改革意志に甚だしい疑念を持たせる」と、新政府に対する不信を表明した。

 全国連合も「今回の赦免は保守勢力の反発を必要以上に意識した水準」だとし、「時局関連の未復権対象者に対して、追加釈放と赦免・復権を早急に実施せよ」と要求した。また、金寿煥枢機卿は良心囚の釈放の幅について、抗議を込めた要望を青瓦台に申し入れた。

 新政府は今回の特赦措置を五百五十二万人に達する「史上最大」と宣伝しているが、約五百三十二万人は交通違反者であり、過去、各種の懲戒処分を受けた公務員が約十六万人も含まれている。その反面、国内だけでなく国際社会からも注目されている世界最長期囚の禹ヨンガク氏は除外され、釈放された七十四人のうち大半は残余刑期六か月未満の人たちである。甚だしくは残余刑期が四日という人もいる。このような事実をみれば、今回の赦免は国民を愚ろうする行為だとの非難を免れることはできず、国民の怒りを呼び起こすしかない。

 良心囚とは民主化と祖国統一の実現のために身を投じて闘い、過去の独裁政権から弾圧を受けた愛国者である。「国民の大和合」をなし遂げるとして、全斗煥や盧泰愚のような光州虐殺の元凶であり、軍事反乱罪と内乱罪で死刑と無期懲役刑を宣告された超一級国事犯を赦免しながら、大多数の良心囚を獄中に閉じ込めておくのは道理に合わないことである。

 「過去の束縛を解く」との今回の特赦で、「転向書を書かなかった者は検討対象から排除」したという。これは過去の束縛を解くどころか、旧時代の慣例をそのまま踏襲したものである。これでは、いつになれば民主化が実現できるというのだろうか。

 金大中大統領は新政府の性格を「国民の政府」と規定した。そうであるならば、国民の基本的権利は完全に保障されるべきである。すなわち、思想、信仰、良心の自由や結社、集会、示威の権利が留保されることなく保障されなければならない。国民の基本的権利が保障されるときだけ、五十年目の与野党間の政権交代の意味を生かすことができる。

 もはや、わが社会から政治的反対派に利敵や容共分子との汚名を覆い被せることはなくさなければならない。新政権が名実ともに「国民の政府」になろうとすれば、国家保安法などの悪法を撤廃し、すべての良心囚を選別することなく即時釈放しなければならない。


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