民族時報 第843号(98.2.11)


 

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 労使政委員会合意―整理解雇制など導入

 

 労働組合、経営者団体、政府・政党の代表で構成する「労使政委員会」は六日、経済危機の克服のために整理解雇制と勤労者派遣制の導入、大企業の改革、政府組織の改編など十議題、百五項目を一括妥結した。政府は労働関係法改正案を臨時国会に提出し、十四日の最終日までに整理解雇制と勤労者派遣制の可決を目指し、今月中に実施するとしている。労使政委員会の妥結内容には、労組の政治活動の保障や教員の労組結成の認定などが含まれている。しかし、財閥や政治の改革が進まないなかで、労働者だけへの苦痛の押しつけが先行することに対して、労働界から強い反発が出ている。

 

 労使政委員会は整理解雇の条件を、経営悪化防止のための事業の譲渡と合併・買収など緊急な経営上の理由がある場合に限定し、企業側に@解雇を避ける努力A解雇の六十日前に労組への通報と協議B労働部への事前の申告C性差別の禁止D再雇用の努力――などの義務を課した。勤労者派遣は、専門分野については許可業務を列挙するポジティブ・システム(積極的条項)で、単純業務については禁止される職務を除外し、すべて許可するネガティブ・システム(消極的条項)と規定することにした。

 また労組の政治活動に関して、今年前半に選挙法と政治資金法の改正を行い、六月の地方選挙から政治活動ができるとした。教員労組は、次の定期国会で団結権と団体交渉権など二権を付与し、全教組が合法化されることになった。実施は来年七月からとなる。公務員は来年一月から職場協議会の設置が許されることになった。

 教員労組が合法化されていないのはOECD加盟国のなかで韓国だけであり、また韓国は労組の政治活動の自由など、国際労働機構(ILO)条約の批准を迫られていたことから、労働側が労組の政治活動と引き替えに整理解雇制の導入などを受け入れたのは、「妥協のし過ぎ」との批判が一部から出ている。

 労使政委員会は失業対策の財源に対して、当初政府が提示した四兆四千億ウォンを五兆ウォンに増額することにした。しかし、労働界が要求した労組専従者の賃金支払いと労働者の経営参加などについては、継続論議することになった。

 今回の妥結に関連して、民主労組の裴錫範・委員長代行は記者会見で、「複雑な心境だ。国が直面しているこの状況で、このような選択をせざるをえなかった」と述べ、金大中次期大統領と新政府が現在の不当な解雇を防がなければならず、労働界の要求に背いた場合、強力な闘争を行うとした。また、朴仁相・韓国労総委員長は「労働運動を行っている者として、組合員が職場を追い出されるのを許した心情が良いわけがない」と述べるなど、苦しい心境をのぞかせた。

 労使政委員会の妥結に対する労働界の反応は厳しい。現代グループ労組総連盟など蔚山地域の労働・社会団体で構成する「蔚山地域闘争本部代表者会議」は六日、労使政委員会が合意した整理解雇制の導入は絶対に認められないとし、再協商を要求した。民主労総は九日、ソウル市内で代議員大会を開き、妥結案に対する承認案を否決した。これに伴って、民主労総は執行部が総退陣して非常対策委員会を構成し、再交渉を進めることにした。

 労働現場では、妥結案が解雇条件を強化したように見えるが、実際は企業の合併・買収に際して整理解雇を可能にしたと見る向きが強い。

 


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