民族時報 第827号(97.8.1)

 

解説

 

4者会談予備協議と北韓・米国関係

 

 八月五日にニューヨークで南・北・米・中の四者会談の予備協議が開かれる。四者会談提案とは、昨年三月に北韓が行った北韓・米国間の暫定協定締結および将校級会談開催のための提案に対する対抗提案であった。暫定協定提案の概要は、北韓・米国間の平和協定に至るまでの信頼醸成のための暫定措置を実施することであり、一方、四者会談提案の建前は「南北が主導して平和体制を構築する」ことであった。ようやく「予備」協議にたどり着いたに過ぎない背景には、平和協定をめぐる北韓・米国・韓国の対立があることは明らかである。

 また、会談出席者に中国を含むことへの意見対立もあった。米日安保再定義で中国、北韓が仮想敵に掲げられたため、米中関係がギクシャクしたが、それでも米国は、北東アジアでの米国の地位を維持するために中国をなだめる必要があった。そこで、すでに韓半島の軍事的緊張の当事者ではなくなった中国を引っ張り出したわけだ。韓国政府にとっても、自らが当事者に格上げされ、米国の支援も期待できる「南北の平和協定を米中が保障する『2プラス2』」を主張してきた経緯と、北韓・米国間の平和協定を阻止するという直接目的に照らして、四者会談に固執する必要があった。

 一方、平和保障協議に対する北韓の年来の基本立場は、八四年一月に提唱した南北・米の三者会談、つまり北韓・米国間の平和協定と南北間の不可侵宣言のセットである。ここには、中国が介在する余地はない。なぜなら、中国は北韓に軍事基地を置いているわけではなく、北韓と中国の友好協力条約は軍事同盟としての性格を持たない。つまり、中国は韓半島の軍事問題の当事者ではない。それにもかかわらず、北韓が四者予備協議に応じたのは、八九年の韓中国交以来の中国との微妙な葛藤(かっとう)が最近、急速に修復したからである。中国の北韓へのコメ援助決定は、そのひとつだ。中国の関心はあくまで韓半島の安定にあり、そのために北韓を「盾」にする点にあるなど、北韓・中国のねらいは異なるが、同床異夢は米中間、韓中間にも当てはまろう。

 先述したように、北韓は韓半島の平和保障を北韓・米国間の平和協定と南北の不可侵宣言として構想してきた。このうち南北の不可侵宣言は、すでに九二年二月に発効した「南北合意書」で実現を見ている。しかし、その後の核問題による緊張に伴い、履行が棚上げされてきた。だが、北韓・米国関係が正常化の軌道に乗れば、すぐにも履行が可能であることは言うまでもない。すなわち、米国が当事者として参加する平和保障体制が何らかの形で実現されれば、南北の不可侵の履行と合わせて、平和保障問題は基本的、かつ急速に解決を見ることになるのである。

 このように、@四者予備協議で何が核心争点であるべきかA四者予備協議の対話構造はどうなっているか、という問いへの答えは決して複雑ではない。@は、米国が平和協定にどのような決定を持って臨むのか――つまり、あくまで「南北の当事者の主導」を理由に、筆頭の軍事的当事者である自らは平和協定を避けるのか、暫定措置でも受け入れるのか――という点だ。Aは、「中心」としての北韓・米国協議、「準中心」としての南・北・米協議、「周辺」としての中国の参加、という図式になろう。

 四者予備協議を前に、この間の動きは慌ただしい。四者予備協議にも出席する実務者による北韓・米国協議が開かれ、第三回南北赤十字会談では第二次穀物支援が合意され、江澤民・中国主席の十月訪米が決まり、北韓・日本の非公開協議も行われ、KEDO(韓半島エネルギー開発機構)事務所が開設された。一方、韓国政府は来年度軍事予算を約一二%増額すると表明し、米国議会では北韓「制裁」緩和を阻む動きが台頭し、米日ガイドラインの見直し作業が詰めに入った。重大な岐路にある今、韓半島の平和保障問題協議で何が肯定され、何が否定されるべきなのか、関係当事国は根本に立ち返って熟慮すべきであろう。

 (韓栄煥記者)