民族時報 第827号(97.8.1)

 

論説

 

大統領選挙の地雷「黄長Yファイル」

 

 八七年の大統領選挙の時は金賢姫、九二年の大統領選挙の時は李善実がだしぬけに現れ、与党候補の当選に決定的な助けとなった。今年の大統領選挙では、黄長Yが「第二の李善実」事件を予約している。亡命直後「南韓に固定スパイ五万人が暗躍」説を流した黄は、七月十日の記者会見で「名単形式で整理されたリストはないが、北韓にいる時、聞きかじった話と、自分自身がピョンヤン、海外で接触した国内外人物のリストはある」と明らかにした。

 「黄長Yファイル」という地雷がいつさく裂するかわからないが、選挙で与党候補が不利な時、絶妙のタイミングでスパイ団事件などをぶち上げ、終盤の逆転をねらう蓋(がい)然性が高い。在野統一運動勢力をスケ−プゴートにする大型公安事件を通して、再執権しようとする症候群が再びうごめいている。

 平和統一のために亡命したという黄長Yのひと言に、南韓の平和統一運動家らが続々と拘束される、とんでもないことが起きそうだ。在野の国民(民主)候補が予想外の人気を得る場合、「アカ狩り」で在野の政治勢力化に冷水を浴びせるかもしれない。九二年大統領選挙の時、金大中氏を公安事件に引っかけることで、保守的な有権者の大量票を得ることに成功したが、今年の大統領選挙では、右傾化した金大中氏を公安事件の関連者としてらく印を押せば、笑いぐさになるので、国民候補に対する魔女狩りが予想される。

 黄長Yは「統一時代の病的患者」だ。狂犬病にかかった犬にかまれたら、狂犬病を患うように、黄と接触した人は「国家保安法のはやり病」に感染する危機におかれる。「北韓の地下組織が相当数、南韓に浸透している」との狂犬のような言葉を口実に、公安政局が作られる可能性があるが、いたずらに飛びかからないだろう。

 むしろ、黄の亡命を仲介した人士ら、黄の亡命劇を主導した金賢哲、朴泰重、黄の亡命を事前に感知することで、黄と間接的に接触することになった金泳三大統領への司法処理がまずなされてこそ、法執行の平等が保障される。南北交流協力法によれば(北韓住民と直接接触しなくても)北韓住民と接触した人と会合・通信した場合、北韓住民接触申告書を提出しなければならない。したがって金賢哲氏はもちろん、金泳三大統領も「法に従う」ならば、法に違反した容疑で調査を受けなければならない。権力を持った者が北韓住民(黄長Y)と接触しても無罪であり、在野人士・進歩的知識人が接触すれば国家保安法を適用する権力遊びが、すなわち「韓国病」の温床なのだ。

 選挙の勝利のために黄長Yファイルを利用したり、再執権のために民主化・統一運動勢力に国家保安法のわなにはめる政治風土を、今回の大統領選挙で除去しなければならない。黄長Yファイルの刀の柄を握っている公安機関が、選挙戦を左右する選挙風土を改革しなければならない。民衆のための民主主義を主張する人士らが、選挙を通して合法的な政治領域に進出するのに、国家保安法が最も大きな障害物になっている政治現実を根本から変えなくてはならない。反外勢・民族自主を唱える愛国者を、左翼公安事犯に仕立てるやり方をただちに撤回せよ。北韓同胞の困難に同情したり、北韓を正確に理解することで、民族統一に寄与しようとする国民の意志をくじく政治指導者らは、自らの反統一的な罪悪を告白せよ。黄長Yファイルまで安保商品として包装し、反北意識を国民に注入する保守言論は、民族の前でざんげせよ。

 平和統一に献身するために亡命したという黄長Yのファイルが、南韓の平和統一運動勢力の平和を破壊している現実に対して、黄自身がこたえる番だ。北韓でかいま聞いた話を土台に作成したファイルが、反平和・反統一の怪物になっている暗たんたる現実の原因提供者である黄長Yはこたえてみよ。

 (崔康佑記者)