焦点

 

「黄長Yリスト」を政治利用か

 

 三月三十日付の朝鮮日報はマニラ発の連合通信を引用し、「黄ジャンヨップ・北韓労働党書記が韓国に行く前に、フィリピンで韓国とフィリピンの情報要員に、北韓の内部極秘情報を説明する可能性があると思える」と報道した。内容によると「(黄書記を通して)韓国の野党人士らが主として関連したと報道された七〇年代の韓民統事件や、八九年の徐敬元・前平民党議員密入北事件、九二年の李善実スパイ事件などの真相が公開される可能性が高く、彼の真相公開は韓国の政治圏を強打するかもしれない」というものだ。

 一方、同日付の東亜日報は、金泳三大統領が「黄ジャンヨップリスト」を公安政局のカードとして使い、一挙に政局を転換しようとしていると報じた。

 この二つの記事は、情報源は異なるが、韓宝鉄鋼への天文学的な特恵融資事件と、息子・金賢哲氏の内外政策への介入などによって、完全にレームダック現象を起こしている金泳三大統領が政権危機を乗り切るために、「黄ジャンヨップ亡命申請事件」を政治的に利用しようとしている点で共通している。

 韓民統(韓統連の前身)は、韓国の民主化と祖国の自主的平和統一を求めて運動をしてきた団体であり、北韓とは何の関係もなく、「韓民統事件」は朴正煕軍事独裁政権が民主勢力弾圧のためにでっち上げた事件だ。金泳三政権がその「亡霊」を蘇(よみがえ)らせるために、現在フィリピンに滞在中といわれる黄ジャンヨップ書記に、「韓民統」を含む過去の「北韓関連事件」などを語らせようとしているのだ。

 また「黄ジャンヨップリスト」は、黄ジャンヨップ書記が亡命申請をした直後に、金泳三政権の中枢部に五万人の北韓スパイが入っている、と述べたというリストのことだ。だが、金泳三政権は「黄ジャンヨップリスト」が存在するのかどうか明らかにしていない。

 金泳三政権は、賢哲氏が国会喚問(今月二十五日)前の中旬ごろにも、「黄ジャンヨップ書記の証言」と「黄ジャンヨップリスト」を公開して、韓宝不正事件と金賢哲疑惑問題を一挙に吹き飛ばし、政局の主導権を再度握ろうと画策しているようだ。政権延命のための一大謀略である。

 「黄ジャンヨップリスト」には、与野党指導層の名前が載っているともいわれている。したがって、「金泳三大統領がそれを使えば、自分も傷を受ける」といわれている。しかし、「まだ一年」任期が残っている大統領としては、政局の流れを取り戻すために「肉を切らせて骨を切る」戦法をとるだろうというのだ。

 国内マスコミは「黄ジャンヨップリスト」の存在有無と、黄書記が北韓の関連情報に十分に接近することのできる人物かどうかなどについて、こぞって強い疑問を投げかけている。「死に体」になった金泳三政権が、政権延命のために民族と国家をもてあそんでいることに、国民は心の底から怒っている。

 

民族時報 97.4.11