解説

 

深刻な経済低迷の要因は何か(上)

郭 洋春(立教大学助教授)

 

OECDに加盟した韓国経済の実情

OECD加盟の意味

 九六年、韓国はOECD(経済協力開発機構)に加盟した。OECDへの加盟は韓国にとって大きな意味があった。韓国政府によると、OECDとは、二十五の主要国が集まり、世界経済の運用方向を論議して新たな秩序を定立する組織であり、経済分野に対する国連安全保障理事会のような位相を持っている、とのことだ。要するに、自他ともに認める先進国への仲間入りを果たすことができる、ということだ。

 しかし、数年前にメキシコやトルコがOECDに加盟している現状を考え合わせるならば、韓国政府が考えるような状況が生まれるかどうかは、はなはだ疑問である。とくに、産業構造を何ら改善しないまま、単にGNP(国民総生産)の増加のみで経済成長を判断する現在の韓国政府の態度では、先進国入りはおろか経済危機に陥る可能性すらある、といわざるをえない。

先進国経済とほど遠い

 なぜなら、現在韓国がおかれている経済環境は、極めて厳しいものがあるからだ。それを象徴するのが、対外債務と経常収支の大幅赤字である。対外依存型の経済構造の韓国にとって、これらの悪化は経済危機に陥る要因になる。昨年、韓国の外債は一千億ドルを超えた。これは国民一人当たり百七十九万ウォン(一円=約十三ウォン)の負担になる計算だ。とくに、償還期間一年未満の短期外債が六〇%に肉薄する「不良外債構造」が深刻な問題になりつつある。また、総外債から対外資産を除いた純外債も、昨年六月の時点で二百四十三億ドルを超えた。

 一方、外債増加に直結する経常収支は二百三十億ドル、貿易収支も二百四億ドルの赤字を記録した。貿易収支の大幅赤字の原因は、対日貿易赤字の増大と対米貿易収支の黒字から赤字への転落にある。韓米日三か国の貿易構造は、従来韓国が日本から資本財、中間財を輸入し(対日貿易収支赤字)、米国に完成品を輸出(対米貿易収支黒字)する、という構図であった。それが九〇年代に入って、対日貿易構造は変わらないまま、対米貿易構造が完成品の輸出以上に米国からの資本財、中間財輸入増によって、赤字へと転化してしまったのである。これは対日貿易収支の改善を目的として、金泳三政権が提唱した「輸入先多角化政策」がもたらした結果である。

 もし、このまま経常収支赤字の累積や短期外債の急増状況が是正されないならば、ドル需要が急増し、ウォン安が加速して資本の海外流出を引き起こし、最悪の場合、八二年と九四年のメキシコ事態(=経済破たん)と同じような状況を迎える可能性すら否定できない、という見方も出始めている。

出口見えない韓国経済

 こうした事態を克服するには、産業構造の改革が必要であることはいうまでもない。だが、韓宝事件に見られるように大統領の息子が「虎の威」を借りて、国政や経済運営を私物化するような現状では、それを期待することはできない。逆に、OECDへの加盟によって、より一層、市場開放圧力が強まることが予想される。それは、ますます韓国経済の対外依存性を強め、経済状況を悪化させることを意味するのである。

 

民族時報 97.4.1