寄稿

96年韓国政治犯救援全国運動総括

渡辺一夫(在日韓国人「政治犯」を支援する会全国会議共同代表)

 金泳三政権の民主化・統一運動への弾圧が続く公安政局下において、96年韓国政治犯救援全国運動は在日6人、日本関連16人を含む韓国政治犯350人の釈放を課題にスタ−トした。

 8・15を目指しての前半期は、救援世論の高揚に向けて署名運動、集会、宣伝活動、韓国大使館デモ、また外務省交渉に取り組んだ。特に、5月16日の全国運動出発集会後の国会議員署名は、前回を上回る130人の超党派議員の署名が得られ、この署名簿提出のために、7月に在日政治犯の孫裕炯さんの娘夫妻、救援会関係者ら9人の渡韓団を派遣した。署名簿は結果的には日本大使館を通して韓国政府に提出されたが、野党の民主党、新政治国民会議、人権問題に取り組む宗教界、民家協、人権サランバンへの要請行動は、在日と日本関連政治犯釈放への大きなインパクトを与えることができた。

 こうした運動が、8・15光復節特赦において、在日韓国人政治犯の李憲治さん、金泰洪さんの釈放をかち取ることにつながった。15年間獄中で闘い抜いてこられた2人の釈放は、救援運動の成果だ。昨年9月に釈放された李成雨さんの来日も具体化してきており、また日本関連政治犯の李炳咼さんも今年5月に釈放された。

 しかし、在日政治犯の中で高齢でガンを患い、重病である孫裕炯さんが釈放されなかったことに強い怒りを禁じえない。投獄されて16年になる孫裕炯さんは9月になって半身不随が再発し、絶食尿飲の15日間、七転八倒の壮絶な闘いによって運よく危機を脱することができたが、まったく予断を許さない健康状態だ。

 後半期は孫裕炯さんら在日4人、日本関連15人を含む全政治犯の釈放をクリスマス特赦でかち取るために、全国キャラバンを中心に運動を展開してきた。関東、関西、花巻、仙台、長野、福岡、飯塚、高知、徳島で取り組まれ、のべ15か所での開催となった。このキャラバンでは、困難の中で地域のさまざまな問題とむすびながら、韓国政治犯釈放のために尽力する多くの市民運動家と出会って、胸が熱くなるものがあった。

 韓総連への大弾圧、統一運動、労働運動、言論・出版への弾圧と猛威をふるう公安統治と、朝鮮半島の平和と統一を阻害する南北対決政策へ突き進む金泳三政権は、かっての軍事独裁政権とまったく変わりない。韓総連への弾圧に抗議し、政治犯の釈放を求めて9月14日には韓国大使館への緊急行動に取り組み、11月30日には韓国大使館デモを行った。30日のデモでは、参加者へのビデオ撮影というかつてない嫌がらせの人権侵害行為をしてきたことは、9月下旬の東風徹事務局長(汎民連関連者を救援する会)の国外退去と、15000人の署名押収などの弾圧と軌を一にするものであり、政治犯救援運動への弾圧だといえる。10月2日の真寛僧侶の逮捕、日本関連政治犯の李和春さんや金三石さんへの懲罰房入りなど、政治犯への弾圧も激しくなってきている。

 こうした弾圧をはねのけ、在日韓国人政治犯4人、日本関連政治犯15人と韓国全政治犯の釈放を目指し、さらに運動を強化していきたい。

民族時報96.12.11