民族時報 第1209号(11.09.01)


【資料】朝鮮半島平和体制構築へ

平和と協力のための韓日共同宣言

 二十世紀は二度の大戦を経たのち、北東アジア一帯に積もり積もった苦しみと傷はまだいやされていない。 日本の侵略戦争と植民地支配による苦痛は解決されておらず、アジア各国の互恵協力のための未来を妨げている。

 朝鮮半島での戦争後につくられた軍事的対決と葛藤(かっとう)の構造は冷戦後にも解決されないまま、非対称的軍事同盟の形で残り、民衆の平和な生存権を深刻に損なっている。軍事同盟を維持するため葛藤と対決は拡大生産され続け、軍事的緊張は高まり、福祉にまわすべき民衆のばく大な血税が軍備増強に浪費され、不平等な対米関係による犠牲を強いられている。

 各国は戦争の苦しみと傷あとを清算し、数十年続いた不平等な軍事同盟と軍事的対決構造を解消し、和解と協力、平和共存の新たな関係をむすぶため積極的に努力すべきだ。

 私たちは世界最大の軍事力の密集地帯であり、戦争の危険地帯である東アジアの平和を実現することこそ、この地域の民衆の平和的生存権を守るだけでなく、世界的レベルで進む帝国主義的な覇権政策を無力化させる近道であることを確信しつつ、次のとおり要求する。

 一、侵略戦争と植民地犯罪を清算することは、関係改善と平和実現の基礎となる。

 二十世紀初め、日本帝国主義の侵略戦争による被害と苦痛はいまだにきちんと解決されていない。侵略戦争と植民地統治による犯罪行為を清算しなければ、帝国主義侵略政策は清算できない。

 菅直人首相は二〇一〇年、日本による朝鮮強制併合百年を機に、「植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する」と宣言した。しかし、このような「言葉」とは裏腹に、二〇一一年の中学校の社会科検定教科書では「近代化」という名で植民地支配を正当化し、これまでほとんどの教科書で記述していた関東大震災時の(朝鮮人)虐殺への言及や、日本軍「慰安婦」など日本の戦争と植民地犯罪を削除するなど、戦争政策を依然として美化しており、 米日(日米)同盟強化を口実に、持続的な軍備増強と自衛隊の実質的軍隊化を推し進めている。

 ・日本政府は、日本軍「慰安婦」被害者をはじめ戦争と植民地犯罪被害者らに「心から」公式謝罪し、法的に賠償せよ。

 ・日本政府は、過去の戦争と植民地犯罪の真実と反省を記述した教科書で、未来の世代に平和と人権教育を実施せよ。

 ・日本政府は、平和憲法の改定(改悪)と、自衛隊の海外進出合法化の企みをただちに中断せよ。

 二、朝鮮半島と東アジアの緊張緩和のため敵対行動を中断し、直ちに対話を再開せよ。

 二〇〇八年、六者協議が合意なく決裂した後、再び進められた米朝間の対話が滞っている。二〇〇九年十二月、ボズワーズ特別代表の訪朝で包括的に合意した朝鮮半島の非核化と平和体制構築のための交渉が再開されておらず、昨年は疑惑の哨戒艦「天安号」沈没事件を機に、韓米両国が主導し、日本が参加した大規模な軍事演習と朝鮮半島一帯の兵器の増強が域内の軍事的緊張をさらに高めるなか、延坪島砲撃戦にまでつながってしまった。

 七月のインドネシアのバリ島での南北協議、ニューヨークで行われた米朝協議と今後の推移を注視しつつ、次のように要求する。

 ・対話や交渉でなく軍備の増強と武力示威による圧迫は、決して平和実現の方法とはならない。米国政府は対北交渉の実質的当事者として、二〇〇五年の九・一九共同声明と二〇〇九年十二月の合意に基づき、米朝関係の正常化と朝鮮半島の平和体制構築のための交渉を直ちに開始せよ。

 ・「北脅威論」を根拠に進められる大規模な軍事演習、地域のMD構築などは、軍事的緊張を高め続けるだけだ。すべての武力示威や武力増強の動きを直ちに中断せよ。

 ・西海(黄海)上の軍事的衝突の危険性が日増しに高まっているところから、軍事的衝突の防止と西海平和地帯設置のための対話を直ちに実施せよ。

 ・疑惑の「天安号」沈没事件を前提条件として南北対話を妨げるのは、事実上対話と協力のための交渉を拒否する以外の何ものでもない。韓国政府は一切の前提条件を撤回し、南北共同宣言など、これまでの合意履行のための対話を再開せよ。

 ・日本政府はこの数年間続いている対北制裁一辺倒の政策を中断し、二〇〇二年の九・一七ピョンヤン宣言の精神にもとづいて、日朝国交正常化を進めるための対話を早期に再開せよ。

 三、朝鮮半島と東アジアの平和体制を構築し、確かな平和を実現しよう

 現在、東アジア一帯では数十年続いてきた韓米日の覇権軍事同盟とこれに対する中朝ロの対立により、毎年のようにばく大な軍備増強が行われており、民衆は常に戦争の脅威にさらされている。一時的な対話や交渉の枠を越え、確固で安定的な平和体制を構築することこそ、平和的生存権を実現する唯一の方法だ。

 ・これまで核兵器廃棄の公約にもかかわらず、米国の核能力はまったく統制、削減されておらず、オバマ政権は「核のない世界」の公約をうたっても、依然として核の先制攻撃政策に固執している。米国政府は、核の先制不使用を明確に公約し、「言葉」ではなく「行動」によって実質的な核兵器軍縮、核兵器廃絶に臨め。

 ・北東アジアの核戦争危機をはじめ一切の戦争危機を除去するためには、すべての核攻撃の脅威と戦争計画を廃棄しなければならない。韓米日政府は、防御の名分のもとに実質的な攻撃をくわだてる「拡大抑止」(核の傘)戦略を破棄し、地域のミサイル防衛網の構築を直ちに中断せよ。

 朝鮮民主主義人民共和国政府は、朝鮮半島の完全な非核化実現のための公約を守れ。

 ・今年三月十一日に発生した東日本大震災と津波、福島第一原発事故はじん大な被害をもたらし、今後原発事故による放射能物質の被害は日本だけでなく、国境を越えてさらに拡大する恐れが高い。スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマと続く深刻な原発事故から教訓を得て、核兵器や原発から自由な世界をつくるため努力していかなければならない。

 ・韓米日政府は、東北アジアにいまだに残っている冷戦型の軍事同盟を直ちに解体し、新たな平和保障体制を構築せよ。

 ・二〇〇七年一〇・四宣言の「終戦宣言」と二〇〇五年九・一九共同声明の「朝鮮半島の恒久的な平和体制構築」の公約を履行せよ。


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