民族時報 第1209号(11.09.01)


【論説】「MD前進基地」化を目指す

海軍基地建設問題で揺れる済州島

 済州島の韓国海軍基地建設反対運動が激しくなっている。理由は、住民の意思を無視した基地建設で平和の島・済州島が紛争の火薬庫になり、海洋生態系が破壊されるというのだ。ところが李明博政権は警察兵力を動員し、住民らの反対運動を封鎖している。八月十四日には、ソウル・京畿地域の戦闘警察六百人と放水車三台、デモ鎮圧車両十台が反対運動を鎮圧するために済州島に上陸した。住民らは「本土からの警察兵力は討伐隊と変わらない」と憤慨し、撤収を要求した。しかし工事現場の公権力投入は現在、無期限延期状態だ。野党と住民、市民社会団体の強力な反対運動と国内外の反対世論に直面したためだ。


 海軍は二〇〇七年六月、済州島西帰浦江汀村海岸を海軍基地候補地に選定した。その後、住民らの基地反対闘争が始まり、粘り強く展開されてきたが、李政権はこれを黙殺し、二〇一〇年四月に海軍基地の建設着工を強行した。陸上敷地十六万坪、イージス艦など艦艇約二十隻が停泊する軍港埠頭千九百五十メートル、最大十五万トン級クルーズ船舶二隻が係留する民間クルーズ港埠頭千百十一メートルの海軍基地建設計画を立てた。総額九千五百八十七億ウォンの予算で二〇一四年の完成予定であり、現在、建設工事は五%進行した状態だ。

 米軍原子力空母の寄港により紛争の火薬庫に

 海軍基地建設反対の理由は、米国が主導するミサイル防御体制(MD)前進基地として利用される危険性が高いためだ。韓米相互防衛条約により米軍の原子力空母の寄港地になれば、中国を刺激することになるはずであり、平和の島・済州道は紛争の火薬庫になる可能性もある。韓米政府はMD導入について水面下で合意したものと見られている。二〇一〇年十月二十二日、当時の金泰栄国防長官は国防部国政監査でMDを慎重に検討していると発言し、MDへの参加を認め、同年九月、米国務省のフランク ・ローズ副次官補が東京で行った演説で「日本と韓国はすでに重要なMDパートナー」と明らかにした点が注目される。

 海外メディアも済州海軍基地建設の危険性を指摘する声が大きい。米国CNNは八月十二日、世界的平和運動家のグロリア・スタイネムにインタビューした。スタイネムは、基地建設は済州島の環境に対する災害であり、世界的に危険な軍事競争を引き起こすかもしれないと憂慮した。また、コリア政策研究所のクリスティン・アンは、八月五日付のニューヨークタイムズに「望まぬミサイルを強要された済州島」を寄稿、「米国の利益のために建設されているということを率直に認めずにいるが、済州海軍基地は米国のための基地」で、「中国を狙ったもの」と指摘した。

 また、ル・モンド・ディプロマティーク(世界七十三か国で発行)韓国版一〇年十月号は「韓米の軍事的取り引きに従った結果、住民の激しい反対にもかかわらず、済州島はもうすぐ沖縄と同じ運命をたどる状況」であり、韓国政府が海軍基地建設をゴリ押しするのは、米国の軍事政策に韓国が追従した結果だと分析した。

 海軍基地建設候補地の選定プロセスにも問題点が多数あった。政府当局は一部の住民を懐柔、買収した後、五%の賛成住民だけが参加した村の総会を根拠に、土地収用を強行した。また世論をわい曲、操作する一方で、反対する住民らを拘束、告発し、数億ウォン規模の損害賠償訴訟を起こしもした。警察を村の各所に配置して監視するなど、戒厳令を彷彿(ほうふつ)とさせる恐ろしい雰囲気を作り上げ、住民らは「四・三事態の縮小版」と話す状況だと言われている。またユネスコが生物保全地域に指定し、工事が不可能な地域を、ハンナラ党が主導する道議会が違法に指定解除する横暴も行われた。

 済州海軍基地白紙化を求める江汀平和大会

 村の住民と全国の市民社会団体会員、平和運動家ら五百人が集まった八月六日の「第二回海軍基地白紙化を求める済州江汀平和大会」で、民主党など五野党は海軍基地白紙化を約束した。民主労働党の李正姫代表は、「済州海軍基地が米国の対中国圧迫戦略であるMD戦略の手段として活用される限り、平和と安全を阻害する」とし、白紙化を要求した。住民らはアピール文を通して「平和に暮らしていたひとつの村が、国家権力によってせい惨に破壊されている」と怒りをあらわにした。

 五野党の国会議員二十一人で構成された真相調査団は八月四日、三か月間行われた真相調査結果を発表し、事業の一時中断と再検討、特別委員会の構成、公権力投入の中止を政府に要求した。調査結果は▽海軍が国会と合意なしに海軍基地建設を強行▽文化財保護区域の江汀海岸事業敷地と近隣海域のユネスコ生物圏保全地域、海洋保護区域などが海軍基地によって生態系と環境を破壊▽実質的、内容的手続きに深刻な過失▽政府の住民意見収れんの不備、情報未公開とわい曲、住民に対する民事・刑事訴訟などの葛藤を放置、助長することで、江汀村が崩壊の危機にあると明らかにした。

 済州海軍基地建設反対運動は、日々拡散している。工事現場にバリケードをつくって工事を阻止し、体に鎖を巻いてろう城闘争を行うなど、激しい反対闘争が展開されている。また、海軍基地建設の問題点と不当性を広く知らせるため組織された「済州市一徒二洞対策委員会」の数百人は「平和のバス」に乗り、江汀村に行き、住民の闘争を支持、激励、連帯している。

 李政権は七月二十四日、戦闘警察三百五十人を投入し、八月九日には、警察二百人を動員して工事現場周辺を掌握し、村の住民と対じした。平和の島・済州島が米国の戦争基地となる危機にさらされている。

 (河民宇記者)


[HOME] [MENU] [バックナンバー]