民族時報 第1182号(10.06.01)


【資料】客観性と公正性欠いた内容 国政による全面的再調査を

   「天安」号沈没事件調査結果に対する国内40団体会見文

 「天安」号沈没に関する民軍合同調査団が五月二十日、調査結果を発表したことに関連して、民主労働党や韓国進歩連帯など四十の政党、市民社会団体が同日、調査が信用できないとして、全面再調査を求める記者会見文を発表した。全文を紹介する。

 李明博政権による天安号沈没事件に対する調査結果を認めることはできない。

 軍と李明博政権が二十日、天安号沈没事件に対して「北の武力攻撃による挑発」と規定する真相調査結果を発表した。

 われわれは、調査内容、調査過程と方向、調査主体など、あらゆる側面から調査の科学性と客観性、透明性と公正性を認めることはできない。以下のとおり、われわれの立場を明らかにする。

 第一に、われわれは軍が提示する「証拠」を信用することはできない。

 軍は、「一番」という文字が書かれた「魚雷のスクリュー」破片を、事故の起こった海域で回収したのを決定的な証拠としてあげている。軍発表の事実関係に対する客観的な検証問題を除外しても、事故海域で北の魚雷のスクリュー破片が発見されたということが、そのまま北が魚雷で天安号を攻撃したという決定的な証拠にはなりえない。なぜなら、それは北側の海域からいくらでも潮の流れによって漂着しうるからだ。北の訓練用軽魚雷が、南海と西海の潮の流れがぶつかる地点で回収されたということは、その可能性を示している。激しく腐食した破片の状態を見ても、それが今回の事故と関係しているとみるのは難しい。こうした点から、軍内部でも慎重論が提起されたという。

 天安号の煙突と切断面、海底で発見されたという火薬痕と金属破片も、事故海域が韓国軍の射撃訓練区域一帯という点から、韓国軍や米軍のものではないということが立証されてこそ、証拠の一つとして提示できる。火薬痕は天安号自体の砲煙の可能性も検証されなければならない。しかし軍は、こうした過程を経ていないという。

 こうした軍の調査内容は、厳正で科学的な調査とは距離がある。こうした点からわれわれは、客観性と科学性が担保されない調査内容を認めることはできない。

 第二に、われわれは軍の調査過程と方向を信用できない。

 軍は、天安号沈没事件の真相を明らかにしてくれる核心的で基本的な資料さえ、まったく公開しなかった。韓国海軍戦術指揮搭載装置(KNTDS)のレーダー映像と裂傷感知装備(TOD)の映像、事件発生前後の航跡記録と交信記録、天安号の切断面、生存者の陳述書などが、まさにそれだ。こうした基礎的な資料さえ公開しない不透明な調査結果発表を、われわれはまったく信用できない。

 また、軍は当初から座礁や疲労破損などの他の可能性を事実上遮断したまま、ただ外部からの攻撃を立証することだけに没頭した。また、提起される数多くの疑惑と問題提起に対して、説得力ある答弁も反論もできないでいる。むしろ、問題提起する人らを告発し、口にくつわをかませようとした。こうした行為は、公正で客観的な調査に反するものだ。

 ところが、軍は「決定的証拠」と主張する魚雷のスクリューの破片が発見される前から、天安号沈没の原因を北の攻撃と誘導した。また、魚雷攻撃を受けた場所だと、軍が示したガスタービン室は、いまだ引き上げられてもいなかった。ところが、軍は魚雷攻撃の可否を判断しうる核心的な船体部位に対する科学的で慎重な調査を行いもせず、調査結果を急いで発表した。コンピューターのシュミレーションも、これを反映できなかったのはもちろんだ。

 こうした点からわれわれは、軍が北の魚雷攻撃という結論をあらかじめ下しておいて、それに合わせて調査を行ったとみなさざるをえない。したがってわれわれは、調査過程と方向において、客観性と公正性を欠如した軍の調査結果を信用できない。

 第三に、われわれは調査対象者が調査を主導した結果を信用できない。

 軍は、事件発生の責任者であり、事件の隠ぺい・わい曲の責任者だ。はなはだしくは、船体に対する証拠隠めつ疑惑まで提起されている実情だ。軍は、調査の対象者だ。調査対象者が調査を主導することは、調査の公正性を決定的に破壊する行為だ。調査対象者は、自身の責任を最小化する方向に調査を進める可能性が高いためだ。こうした点から、李明博政権は最低限、事件発生当時の責任者らが調査を主導し、指揮する状況は阻まなければならなかった。しかし政府は、事件発生当時の指揮官をして調査を指揮させた。こうした点からわれわれは、被告人が検事となってしまった軍の調査結果を決して認めることはできない。

 われわれは、軍と李明博政権が、国民がまったく信頼できない荒唐無けいな調査結果を発表したのは、各自の利害関係が作用したものと見る。軍は、自身に向けられている国民の憤怒をそらして自身の責任を最小化し、李明博政権は「北風」を利用して選挙に有利な局面をつくろうとする意図から、拙速に発表したものと見る。さらに李明博政権は、朝鮮半島の非核化と平和協定締結による反北守旧勢力の既得権崩壊の危険を、天安号事件を口実に阻もうとしている。

 われわれは、李明博政権が天安号事件を北の攻撃と断定したことによって、朝鮮半島に軍事的緊張が高まることを非常に憂慮する。北はすでに李明博政権の調査結果発表をでっち上げだと規定し、検閲団を派遣するという立場を明らかにしながら、「どんな制裁に対しても即時全面戦争を含めたさまざまな強硬措置で対応するだろう」と警告している。

 また不十分な調査結果の発表で国論が分裂し、国際的に自ら恥をさらしはしないか気がかりだ。

 したがって、われわれは軍と李明博政権の今日の調査結果発表を認めることができないという点をはっきりと明らかにする。われわれは天安号沈没事件の真実を知りたいと願う国民と同じように、ありのままの事実を知りたいと願う。

 われわれはKNTDSレーダー映像とTOD映像など核心的な資料を公開し、国政調査を含め国民が信頼することのできる主体による全面再調査を要求する。われわれは真実を願う国民とともに天安号事件の客観的で、科学的な真相究明のために、われわれのすべての努力を尽くすだろう。

 二〇一〇年五月二十日

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