民族時報 第1165号(09.08.15)


【焦点】新教科書執筆基準 独裁政権を部分評価

    韓国版の歴史修正主義

 教育科学技術部(教科部)は四日、二〇一一年から中学と高校で使用される新しい歴史教科書で、「大韓民国の正統性」を強調する内容の教科書執筆基準を発表した。しかし、李承晩と朴正煕独裁政権に関する部分が、現在の執筆基準よりも後退しているため、歴史学界から「執筆基準は執筆者の自律性を保障して多様な教科書を発行するとの趣旨に反するだけでなく、ニューライトなどの右派団体の主張をそのまま反映したものだ」として、憂慮の声があがっている。

 新しい歴史教科書は、中二と高一が二〇一一年三月、中三が二〇一二年三月から使うことになる。

 執筆基準の内容を見ると、三・一運動と臨時政府に対する記述で「三・一運動と大韓民国臨時政府につながる民族運動の歴史は、現憲法の前文で、大韓民国の正統性を認められていることを指摘する」との内容が新しく追加された。特に大韓民国政府樹立について、「大韓帝国および大韓民国臨時政府を継承した正統性のある国家であることを説明する」などの内容が補強された。

 朝鮮戦争と関連した内容は「朝鮮戦争が北朝鮮の南侵で始まった事実を明確に記述」するようにし、李承晩政権に対しても「李政権が農地改革を推進し親日派清算に努力したことを記述する」との内容を入れた。

 朴正煕政権について現行では、「長期執権による維新体制の成立で韓国の民主主義は大きな試練に直面した」と記述している。しかし新執筆基準では「二度の憲法改正を通して一人長期執権体制が成立したことを取り扱う」とだけ記述された。

 教科部関係者は「特定理念・歴史観に偏向せず、客観的な観点で叙述するように強調した」と説明した。

 しかし専門家は、一部の内容は事実と異なり、右派団体の見解をそのまま反映したものだと批判している。

 尹ジョンベ全国歴史教科書会会長は「『大韓民国は親日派清算に努力した』との部分があるが、わが国は親日派を清算したことがない」と指摘。「『大韓民国が成就した民主主義と経済発展に相関関係があることも叙述する』との部分も、ニューライトや財界の要求を修正なしに受け入れたもの」だと述べた。

 金ハンジョン韓国教員大学教授(歴史教育)は、「四・三抗争や麗水・順天事件など建国時期の重要な事件と労働・市民運動の展開に関する内容が抜けたのも右派団体を意識した結果」として、「昨年の歴史教科書論議に照らしてみると、執筆者が相当な圧迫を感じることが明らかで、教科書編さんの自律性が大きく損なわれる」と指摘した。

 李明博政権が進める「歴史の見直し」が教育現場にも浸透しようとしている。


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