民族時報 第1163号(09.07.15)


【資料】「制裁と圧迫」が有利と判断/李政権の対決政策が影響を

   オバマの対北政策は前政権のコピー

 朴ギョンスン(セセサン研究所副所長)

 「対話」を唱えたオバマ政権のもとで、朝鮮半島の緊張が激化し、予断を許さない。この情勢を韓国の進歩勢力はどう見ているのか。インターネット新聞の統一ニュース(七月六日付)に掲載された、民主労働党付設セセサン(新しい世の中)研究所の朴ギョンスン副所長の論文を二回に分けて要約・紹介する。

 北朝鮮とはいかなる対話もしないと叫んでいたブッシュ政権下でも朝米対話がおこなわれ、「テロ支援国」指定解除までした。ところが、朝米対話を強調していたオバマ政権下ではむしろ、朝米関係が最悪の状況になっている。

 対話と交渉を通して北朝鮮の核問題を解決すると公言したオバマ大統領が、対北圧迫戦略に旋回した理由はなにか?

 第一に、朝米の水面下での対話の失敗だ。朝米両国は、オバマ政権発足後、さまざまな通路を通して朝米交渉の条件をめぐって公式、非公式の論議を交わしてきた。米側は食糧、エネルギー、安全保障と北朝鮮の核抑止力を放棄する意向があるのかを打診した。これに対して北朝鮮は、(六者協議、〇八年)二・一三合意当時から一貫して主張していた原則的立場を伝えた。北朝鮮の原則的立場は、まず、米国の軍事的な対北敵視政策の放棄なくして核計画の廃棄はなく、次に、核兵器の廃棄は、核軍縮会談を通して対北敵視政策の放棄、核の除去、韓米同盟の破棄を通してのみ可能だ――というものだった。こうした北朝鮮の立場が、確固としていることを確認したオバマ政権は、北朝鮮の要求を受容するのは困難だと、内部的な判断を下したのだ。

 第二に、韓日両国政権のしつようなロビー活動だ。とくに李明博政権は、オバマ政権の登場後、対北政策の変化に神経をとがらせ、朝米間の対話局面への旋回を防ぐことに心血を注いだ。そして、このような戦略は部分的に成功した。オバマ政権は、ブッシュ政権の一方主義的な外交方式に批判的な立場を取りながら、協調的な外交を鮮明にした。それは同盟国との協力関係を基本に、国際問題で同盟国の意見を尊重しながら、米国の利益を貫徹していくということだ。

これがすなわち、オバマ式外交の盲点だ。朝鮮半島問題において、韓日両国と協調して対北政策を進めていくということは、対北敵視政策を一層強化するということにほかならない。

 北朝鮮の対応と、李政権の意図は突発的なものではなく、大統領選挙以前から十分にわかっていたことだ。ところが、これを口実に対話と交渉を拒否し、旧態依然とした対北圧迫戦略に旋回したのは、オバマ政権の対北政策の根本的な限界に起因している。オバマ政権が呼びかけた対話と協商とは、どこまでも米国の利害関係を根本的に侵害しない限度内で許容されるものであり、それ以上ではないということだ。米国の朝鮮半島支配戦略と影響力の維持を侵害する対北敵視政策の完全な撤回、核の傘の除去、韓米同盟の廃止は、絶対に交渉の対象になりえないというのが、オバマ政権の基本的立場である。

 オバマ政権の就任初期の、いわゆる「善意の無視政策」で包装されていた対北政策が、北朝鮮の人工衛星の打ち上げと二回目の核実験によって、ついにその実体をあらわした。それは、いわゆる「戦略的管理論」と名づけられる新しい形態の対北敵視政策だ。制裁と圧迫によって北朝鮮を米国に有利な条件の交渉に応じるように強制していくということだ。すなわち、ブッシュ政権時代の対北圧迫論のコピー版だ。

 制裁と圧迫で北朝鮮を屈服させるという対北敵視政策は、これまで成功したことがない。それにもかかわらず、オバマ政権は再び、ブッシュ政権時の失敗した戦略を繰り返している。ブッシュ政権の対北政策を猛攻撃しながら、対話と交渉を強調したオバマ政権が失敗した戦略を反復しているのはなぜか。

 第一に、屈服に対する恐れだ。今後の朝米交渉は、米国の戦略的な後退なしには進展できない構造になっている。核廃棄段階の朝米交渉は、米国の対北軍事的敵視政策の撤回と、北朝鮮の核プログラムの廃棄を、「行動対行動の原則」にしたがって段階的に履行していく構造になっている。軍事的敵視政策の撤回とは、別の表現をすれば、駐韓米軍の駐屯体制の部分的、全面的再編であり、北朝鮮に対する軍事的封鎖網を解除する過程だ。

 米国が北朝鮮の核プログラムの廃棄を願うなら、それに相応して対北軍事封鎖網を解除しなければならない。ところで、これは朝鮮戦争以後につくられた停戦体制の解除過程を意味し、それは米国の朝鮮半島に対する軍事的支配力と影響力の後退過程となる。現在、米国内の支配勢力は、このような戦略的後退を受け入れる準備がまったくできていない。そのために、むやみに朝米対話に応じることができないのであり、朝米対話を積極的に受け入れられないために攻勢に転換したのである。

 第二に、朝鮮半島をめぐる国際的環境と条件が変化したため、実効性ある制裁を通して北朝鮮の屈服を引き出すことができるとの期待をもつようになったからだ。なによりも、李大統領自身が盧武鉉前政権とは異なり、韓米同盟の強化至上主義者であり、対北圧迫政策の突撃隊の役割を自認しているため、実効性ある対北制裁の可能性が開かれたと考えている。それだけでなく、対北経済制裁に決定的なカギを握っている中国の戦略的な利害も変化しており、対北制裁に参加する可能性がこれまで以上に高いと判断している。韓国と対北制裁に積極的に参与するなら、北朝鮮を圧迫して対話の場に引きずり出すことができるという自信感が生じたのだ。

 しかし、北朝鮮を実効性ある制裁で、米国に有利な対話の場に引きずり出すことができるとの戦略的管理論には、重大な欠陥がある。制裁強化と核抑止力の強化の対決戦で、制裁強化論の勝算の可能性が構造的に低いだけでなく、制裁の実効性の保障においても、なんの担保もない。

(続く)


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