民族時報 第1160号(09.06.01)


【論説】軍事独裁政権への回帰/統一運動弾圧で南北対決へ

    汎民連南側本部への全面弾圧が持つ意味

 五月は悲しみと喜びが交差する月だ。軍靴に踏みにじられた五月の光州は私たちの胸に血のあざをつくり、百万の人波が街を埋め尽くしたBSE(牛海面状脳症)牛肉輸入反対のキャンドルデモは、海外に住む同胞らにも自尊心と勇気を抱かせてくれた「事件」だった。しかし、李明博政権はこれを教訓にするどころか、五月に入って国民弾圧の手綱をより一層引き締めている。

 国家情報院と警察庁保安捜査隊は五月七日、国家保安法違反嫌疑で祖国統一汎民族連合(汎民連)南側本部など全国二十四ヶ所に対する押収捜索を強行し、李揆宰議長と六・一五共同宣言実践南側委員会幹部三名など六名を逮捕した。また五・一メーデーに開かれた汎国民大会、五・二キャンドルデモ一周年集会、生存権を要求して立ちあがった五・一六大田運送労組貨物連帯と関連して総七百名以上を連行し、現政権の理性を失った姿を見せつけている。

 一方、警察庁長は五月十九日、不法暴力デモに厳しく対処するとして催涙弾使用の可能性も言及した。この日のソウル新聞は、警察内部の文献を入手、警察が「左派団体と常習デモ人員二千五百名を根こそぎ捕まえて、法秩序を早い時期に確立させて、政府の政策を支援する計画」であることを暴露した。進歩性向の団体と良心的な市民らを左派団体とデモ常習犯と中傷し、彼らを徹底して弾圧するというのだ。翌日、韓昇洙国務総理は関係部署長官会議を開いて都心の大規模集会を全面禁止するという方針を決定した。思想と言論の自由をはく奪し憲法で規定した国民の基本権さえも侵害し、政権批判の声を粉砕しようとする李明博政権はいま、軍事独裁時代に回帰しているといっても過言ではない。私たちは、汎民連弾圧をどのようにみるべきだろうか。

 汎民連弾圧は南北対話の拒否と同じ

 汎民連は九十一年、南北海外三者連帯組織として出発して以降、合法的な空間で活動してきた統一運動団体だ。しかし公安当局は、拘束者らに金大中・盧武鉉政権時代に進行した合法的な南北間協議に難癖をつけて国家保安法上の鼓舞称賛、会合通信、利敵団体加入、利敵表現物制作発表などの嫌疑をかぶせている。また、汎民連共同事務局の事務副総長を北から派遣された工作員として規定し、共同事務局を通して南側本部の活動を背後操縦、司令伝達したという嫌疑をかぶせ、北を引き込む一方、汎民連とは関係ない六・一五南側委員会地方幹部と民主労働党、青年運動幹部を逮捕した。民間の合法的活動さえ不法化する構えだ。

 今回の汎民連弾圧でわかることは、李明博政権が△六・一五、十・四宣言を全面否定して南北対決姿勢を露骨にさらけ出しており△市民社会団体をはじめとした進歩陣営全体に対して強行弾圧で対応し闘うことを宣言したと解釈できる。その背景に四・二九再補欠選挙で表れた民心離反が汎国民的なキャンドルデモの再発を呼び起こすのではないかという深刻な危機意識と、安定した政権維持のために六月臨時国会でMB(李明博)悪法通過・立法が切実な状況をあげることができるだろう。六月抗争二十一周年を迎えて開かれる「李明博独裁審判汎国民文化祭」、言論関係法など「MB悪法」反対運動、民主労総ゼネストなどせきが切れたように展開される反対運動を未然に粉砕しようというのだ。従って市民社会団体を不法団体と規定し、甚だしくは記者会見も不法集会と見なして弾圧し、公安政局を造成し国民を恐怖に落とし入れている。警察内部の文献でも「左派団体は六・一〇百万汎国民大会の安定的開催のためにキャンドルデモ連席会議などが連帯の強化に尽力」と分析、警戒体制をしいている。

 「公安政局の造成は国民脅迫の陰険な計略」

 汎民連弾圧に市民社会団体と野党は「汎民連弾圧対応市民社会共同対策委員会」を発足、李明博政権と正面から立ち向かう態勢だ。民主党は「李明博政権は自身の政権に反対する者を全て捕まえて閉じ込めようとするみたいだ」と民主主義が圧殺の危機を迎えていると糾弾している。李明博政権の公安弾圧に対しては「宣戦布告」(民主労総)、「民心離反を公安政局の造成で突破しようとする政権側の計画的な捜査」(六・一五共同宣言実践南側委員会)、「国民を脅迫、批判の声でつぶそうとする陰険な計略」(六・一五南側委員会言論本部)と糾弾している。民主労働党は汎民連に対する弾圧は、キャンドルデモを不穏勢力の先導と攻め立てて弾圧しようというところに本質があると分析している。

 李明博政権は南北関係をはじめ、政治、経済、社会、教育政策など社会全般にわたる政府の失策に対する国民の批判を謙虚に受け止めるどころか、むしろその失策を正当化しようとしているのだ。

 李明博政権が今後もこうした強硬政策を推し進めるならば、国民は「政権退陣」運動に打って出るに違いない。

(金明姫 記者)


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