民族時報 第1160号(09.06.01)


【追悼辞】

    盧武鉉前大統領の霊前に

  韓統連議長 孫亨根

 尊敬する盧武鉉前大統領が突然逝去したとの悲報に接し、わたしは悲痛な心情を抑えることができません。盧大統領は在任中、進歩と改革、平和と和合を実現するうえで大きな業績を収め、多くの国民に希望を抱かせました。

 なによりも盧大統領は、祖国統一の実践綱領である十・四共同宣言をわたしたちに残してくれました。それは六・一五共同宣言を継承発展させようとする盧大統領が、こん身の力で達成した最大の業績です。盧大統領のこの業績は、祖国統一の歴史に永遠に刻まれることでしょう。また汚辱にまみれた歴史の再検討の作業を推進し、六十年ぶりに四・三済州抗争の犠牲者が名誉回復をしたのは、盧大統領が生み出した立派な業績です。

 盧大統領はわたしたち海外同胞からも限りのない尊敬を受けました。

 韓統連メンバーらが祖国への自由往来さえも許されないことに心を痛めた盧大統領は、韓統連の活動が民主化と祖国統一に貢献したことを高く評価し、韓統連メンバー全員に旅券を発給する英断を下してくれました。わたしたちは盧大統領の配慮のおかげで、夢にまで見た祖国の土を初めて踏むことができました。韓統連だけでなく、海外で統一運動を推進するすべての同胞に、韓国への往来を認めたのも盧大統領です。

 わたしは、わたしたち海外同胞に祖国の発展のために生きる勇気と希望を与えてくれた盧大統領に、心からの敬意と感謝の言葉を直接お会いして伝えることができなかったことを考えると、とても胸が痛みます。

 盧大統領が実践し、完成させたかったのは「愛の政治」ではないでしょうか。盧大統領がめざしたのは弱者や虐げられた人びとに愛情を注ぎ、自らが同じ立場に立ってともに前進する政治であり、北とは同じ民族同士という立場に立って相対し、和解と統一をすすめるという政治だったのではないでしょうか。現在、最悪の南北関係の状況を見るにつけ、盧大統領を失った喪失感の大きさを痛感せざるをえません。盧大統領のめざした「愛の政治」は、突然の逝去で志半ばで未完に終わったかも知れませんが、その理想を実現するのは、残った者たちの責務であると考えます。

 いま韓国は、憎悪と抑圧、報復をこととする為政者によって社会が混乱しています。同胞を疑い憎悪し押さえつけるところからは何も生まれてこないでしょう。そのような政治からは、争いと戦争がもたらされるだけです。盧大統領も憎悪と報復政治の犠牲者といえるでしょう。わたしは「愛の政治」を回想しながら盧大統領を見送ろうと思います。歴史が証明しているように、わが国民はけっして愚かではありません。盧大統領の死を無駄にせず、かならず祖国の地に正義を打ち立てることでしょう。冥福を祈ります。安らかにお眠りください。

 二〇〇九年五月二十七日


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