民族時報 第1152号(09.02.01)


【読書案内】差別する心を治す本

    『よみがえった黒べえ』

 文:木下川解放子ども会、絵:渡辺つむぎ

 東京の下町・墨田区木根川(きねがわ)は、皮革産業を地場産業とし、豚皮なめしは全国の七〇〜八〇%を占める関東一の皮革の街だ。街を歩けばどこからか皮革の匂い、焼肉とキムチの匂いがただよってくる。戦前から多くの在日同胞が暮らし、毎年、木根川橋のたもとでは関東大震災朝鮮人追悼式が行われている。ここは在日朝鮮人の歴史も刻んできた街でもある。

 木根川解放子ども会は、一九八一年から約三十年間、地域の子どもたちとともに歩んできた。毎年のサマーキャンプでは構成劇を上演して、被差別部落の人々の闘う姿を伝える。「よみがえった黒べえ」は、川元祥一さんの原作(『有明山の笛』筑摩書房刊)を子ども会で脚本化し、これまで四回上演した。それを見て感動した渡辺つむぎさんが、絵を書きためて、本書の出版につながった。

 「皮や」の伊助や伊助の村の人々を、おさむらいや町の人々は「けがれた仕事」と差別し排除する。けれども、病気で死んだ牛の黒べえが、伊助によって何一つ捨てることなく馬のくらやロウソク、肥料などによみがえることで、「差別する心を治さない」おさむらいの権の進(ごんのしん)らの愚かさと、人々の健康を守り生活を豊かにする「皮革」の仕事の尊さを教えてくれるのだ。

 収録された子どもたちの感想文から、皮革の街の子どもたちの心の中にも黒べえが「よみがえり」、差別を許さない、尊厳をもった人間へと成長していく姿を知ることができる。

問い合わせ先 部落解放同盟墨田支部 電話03―3614―1903

(徐幸代)

(定価1000円)


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